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召喚獣による召喚で異世界で召喚士になりました  作者: bamleace
二章 ~王都グーベラッハ~
37/126

03 オススメホテルと赤レンガ

 建物の中は賑やかだった。

 ワーズヴェシンのよりも大きく、人も多い。

「こんにちは、冒険者ギルドへようこそ。ご用件はなんですか?」

 やはりここは冒険者ギルドで正解だった。それならば、さっきの女の子は何の用だったのだろうか。

 まぁいいか。関係ないしな。用を済ませて早く飯にしたい。

 受付のお姉さんが応対をしてくれる。そういえば、ワーズヴェシンでも受付は女性が多かったが、ここも女性が多い。何でだろうか? やはり女性のほうが人気が出るのかな。強面のおっさんとかだと、俺は行きたくないし、きっとそうだろう。

 だから、この街でもお姉さんの受付に行ってしまうのは仕方のないことだ。

「はい。ワーズヴェシンから書状を届けに来ました」

 用はそれだけなのである。

「はい、伺っております。こちらで承ります」

「お願いします」

「はい、確かに。ではこちらが、お約束の奴隷商店の紹介状になります。当ギルド提携のお店ですので、安心安全ですよ」

 お姉さんに書状を渡し、代わりの紹介状を受け取る。

 うむぅ。そういえば、そんな話だったような。しかし、提携の奴隷商店って……。

「……はい。ありがとうございます。提携ですか?」

「奴隷商店と提携している冒険者ギルドは多いんですよ。盗賊とか犯罪者討伐を冒険者ギルドのクエストで発行して、捕まえて貰う場合があるのですが、その時の受け皿になります。なので、円滑に進めるために、提携しているんです」

 なるほどね。確かに盗賊を倒すというのもあるが、捕まえるのが人道的にいいしな。中には生死を問わないとかもありそうだけど、捕縛が基本になるのだろう。

 ……もしかして、俺達が倒したのも、捕まえた方が良かったのかなぁ。でも一応報奨金は貰えたし、平気だったのかな?

「そうですか。……これってやっぱ行かないとまずいですかね?」

 でも気乗りしないんだよねぇ。奴隷って、そもそも縁がないし。それに、元盗賊とか、犯罪者ってなんか怖そうだし。奴隷といえど、近くにいたくない。

「奴隷はお好きではないですか? そういう方も実は多いんですよ。こちらとしては紹介するだけですが、行くだけ行ってみてはどうでしょうか。別に行かなくても、評価が下がるとかはございません」

「そうですか。では、考えておきます」

 行かなくてもいいなら、気は楽になる。紹介して貰った手前、行かないと駄目! とかだったらどうしようと思っていたのだ。

「はい。お願い致します。他に御用はあるでしょうか?」

 うーんと、特にないよな。早く飯にしたいし、どこか探すか。

「アキ、いいかしら?」

「ん? なんだマリア」

「宿もまだ決めていないけど、どこかいい所はあるかしら」

 あぁそうだった。宿も決めないとな。冒険者ギルドでお勧めとか教えてくれるのかな。

「そうですね……。アキヒトさん達でしたら、ちょっと豪華にするならローベルトの宿、そこそこならモーネターブ、安い所でヨルバの酒場がお勧めですね」

 ほむ。三つも提示してきたぞ? しかし、俺達ならってどういうことなのだろうか。

「ローベルトの宿はランクCの方にお勧めしている宿です。その分お値段も張りますが、ランクCの方ならば問題ないはずです。他のは、順にランクD、ランクEの方にお勧めしています」

 なるほど。冒険者のランク相応というか、収入相応で宿のランクも大体決まるのか。確かに、冒険者のランクが上がれば、クエストの報酬も増える。その分、宿も豪華なところに出来るのか。

 ワーズヴェシンの時の宿屋もそういうのあったのかな? でもあの街は宿屋ってそんなに無いだろうし、王都みたいなデカい街ならではなのかもしれないな。

「んー、どうする?」

「私はどこでも構わないけど?」

 俺としても、駄目すぎなければどこでもいいのだが。

「そのモーネターブって、綺麗で食事も美味しいんですか?」

「そうですね……。特に汚いとか、食事がまずいとかのお話は出ていないですよ。場所も北門と西門の間くらいですし、ダンジョンにも行きやすいって評判です」

 お、ダンジョンがあるのか。そういえば、王都の事全然知らないな……。少し探索がてら見て回るのもいいかもしれない。

 うーん、まぁここはランク相応の宿にするか。お金は持っているけど、一回モーネターブに泊まってから考えてもいいだろう。

「それじゃそのモーネターブにします」

「はい、場所は先ほどの通り、北門と西門の間です。赤レンガで出来ている大きな建物ですので、行けば分かると思います」

「そうですか。分かりました」

「はい、他に御用はあるでしょうか?」

「いえ、ないです。よな? マリア」

「えぇ。大丈夫よ」

 宿屋の場所も判明したし、まずはそこで宿の確保と飯かな?


 王都の外周には、全部で四つの門が備わっている。

 東と南は、主に行商や他の街からの旅人を迎える門である。

 北と南は、ダンジョンがすぐあるため、主に冒険者向けの門となっている。

 ちょうどきっちりに、東西南北に位置しているのではなく、微妙にずれているので、若干ややこしい。ずれているのは、冒険者向けの北と西であり、これはダンジョンに合わせた位置になっているので、仕方のないことではあるのだが。


 教えて貰った宿屋に向かうとするか。

 えーと、モーネターブだったか。なんでこう言いにくいんだろうか。なんとかホテルとかでいいじゃないか。

 北門と西門の間だったか。えーっと、今は……西門はまだ見てないから、もうちょい歩くのかな?

 この王都に来た時の門が東門だったかな。で、冒険者ギルドが西側にあるから、南側を歩いてきたんだよな。ってことは、もう少し進む感じかな。

 頭の中に、ぼんやりと地図を浮かべながら、王都の外周を歩く二人。その途中にも沢山の屋台や店があり、歩く速度が遅くなってしまう。

「それにしても、色々なお店があるなぁ。お、あれなんて美味しそうじゃないか?」

「もう、アキ? 見るのもいいけど、まずは宿屋に行きましょうよ。疲れてるんじゃないの?」

 確かに疲れていたが、それはそれだ。こういう色々なお店があると、どうも目移りしてしまう。まるでお祭りだ。

「いやだけどさ。色々あると楽しくないか?」

「そう? 確かに色々なお店があるけど、宿に行ってからにしましょう」

 むぅ。なんだかマリアが真面目になってきたな。外見は可愛い女の子で、はたから見ると、俺が兄でマリアが妹に見えるはずなんだが、これでは兄の世話を焼きたい真面目妹という図式になってしまう。

 まぁ確かに少し年甲斐もなくはしゃぎ過ぎたかもしれない。ここは大人になって、マリアに従う事にしよう。

「分かってるさ。んじゃ宿を探すか」


「これか?」

 赤レンガの大きな建物。一応人に聞いたりもしているし、確実だ。

 だけど。

「大きいなぁ……」

「なんか立派ね……。ここ、本当にランクD相当なの?」

 建物の前で思わず立ち止まってしまったのは、その建物が原因である。

 所詮宿屋。しかも異世界のである。日本のホテルや旅館だと、さすがに建造技術などではこの世界は劣っているはずだ。その証拠に、ワーズヴェシンでの宿屋は、木造の三階建てだった。

 対して、俺達の目の前に建っているのは、全部赤レンガで出来ているであろう五階建ての建物であった。日本でも、これほどの建造物は珍しいと思う。

 もう、ちょっとした城なんじゃないか? と思えるくらいである。

 さすがに城はもっと立派なんだろうけど、ランクDが泊まる宿屋としては、これは合っているのだろうか? それとも、ランクDというのは、そこまで稼げるのだろうか。まだランクDとして活動したことがないから分からない……。

 だけど、いつまでもこうしている訳にはいかない。中に入らないと……。

「……よし、入るぞ」

 意を決して、中に突入をする。

 立派ででかく、重い扉を開ける。


 中は少し薄暗い感じがした。現代の蛍光灯に慣れていると暗いと思えるのかもしれないが、それでも少し暗いように見える。

 だがその明かりも、ここでは合っている。どこかアンティーク調な作りのカウンターと相まって、落ち着いた雰囲気を作り出していた。

 そのカウンターには、何処かの執事のような男性が立っている。

「いらっしゃいます、モーネターブへようこそ。お泊りでしょうか?」

 やはりここはモーネターブで合っていたようだ。この執事さんは従業員さんなのだろうか。

 しかし、こうも立派だと、お値段が気になるんだけど……。

「はい、そうなんですけど……ここって宿屋なんですよね?」

「はい。当店は宿屋でございます」

「随分と豪華ですよね?」

「ありがとうございます。当店は赤レンガを外壁に使用し、内装も落ち着いた物で揃えております」

 うーむ。どうしよう。ワーズヴェシンの宿屋とは大違いだ。泊まっていた方は、女将さんが優しい、どこか家族の優しさを感じる宿だった。もう一つあったのは、豪快なおっさんがやっており、冒険者に人気の賑やかな宿だった。

 対してここは高級ホテルだ。酒を飲んでガハハ! と笑っているおっさんなんていない。

「……ちなみに一泊いくらでしょうか?」

 豪華で落ち着いた感じの宿だ。清潔なのは見て分かるし、食事にも期待出来る。

 でも、お高いんでしょう?

「当宿は、一泊銀貨一枚でございます。御食事は別料金となっておりまして、そちらは一食銅板一枚でございます」

 うーん? あれ、前の宿はいくらだっけ?

 聞いたはいいが、高いかどうか分からなかった。そんな俺に気付いたのだろう。隣にいたマリアがコソッと教えてくれた。

「ワーズヴェシンは、宿泊が銅板二枚に、食事は銅貨三枚だったわ」

 よく覚えているものだ。

 とすると……宿泊施設は五倍で、食事は約三倍か?

 そう計算すると高いけど、確か銅板が千円くらいで、銀貨は一万円くらいだから……そう考えると、日本の宿よりも安いのか?

 この豪華さでこのお値段は、むしろお得なのかもしれない。

 だけど、ランクFの収入では、到底無理だろう。ランクDでそこまで稼げるという事か。

 コソッとマリアにお礼を言い、どうするかも相談した結果、ここに決める事にした。

 お金ならあるのだ。金貨一枚で百日泊まれる。金貨五十枚貰ったから……、あれ、年単位になるな……。

「分かりました。まずは十日でお願いします」

 王都にいつまでいるか決めていないが、まあ十日くらいはいるだろう。

 銀板一枚を執事さんに手渡す。

 このお金は、マリアを創った爺さんのだな……。ランクFだった俺逹には、そんなに稼げなかったし。

「ありがとうございます。それでは、お名前をお伺い致します」

「私が晶人で」

「ワタシがマリアよ」

「はい、承りました。お部屋は四◯四号室になります。ご案内致します」

 四◯四か……。四という数字は、日本だと避ける傾向があると思うけど、こっちじゃ普通なんだな。それにしても、見つかりにくそうな番号だな……。

 そんな訳もないのだが、執事さんに付いて行く事にする。

 階段……なんだよな。エレベーターはさすがに無いのか。それにしても、ワーズヴェシンのよりは高いけど、その分期待が出来る宿屋――ホテルだな。部屋も楽しみだ。


ご意見ご感想があれば嬉しいです。

404は"Not Found"です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 力も無く死に損ないが生け捕りとか底なしの馬鹿なのか?
2020/01/27 13:45 退会済み
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