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召喚獣による召喚で異世界で召喚士になりました  作者: bamleace
一章 ~ワーズヴェシン街~
31/126

28 ワーズヴェシンと出立

短めです。

 翌日。

 俺とマリアは西門に来ていた。

 約束の時刻までは後少しだ。

「あの、おはようございます。副ギルド長自ら見送りですか?」

 俺達の前には俺達が乗るために準備されたであろう馬車と、何故か副ギルド長がいた。

「おはようございます、アキヒト殿、マリア殿。そして私はノーラです。そうお呼び下さい」

「いえ、ですが、役職のある方ですし……。いえ、分かりました」

 何故か副ギルド長と呼ばれるのが嫌みたいで、変な威圧感があった。逆らってはならない。そう思ってしまう。

「それでノーラさん、何か御用でしょうか?」

「書状と、後は確認です」

 そうだった、書状を貰える事になっていたんだった。

「ありがとうございます。えっと、書状は二通ですか?」

「はい。一通は王都の冒険者ギルド宛です。もう一通は奴隷商店の紹介状です。商店の場所は冒険者ギルドが案内してくれるはずです」

 奴隷商店かー……。行くつもりは無いけど、わざわざ紹介状まで用意してくれたし、行かないと駄目なのかな。

「王都に着いたら、まずは冒険者ギルドに書状を提出して下さい。必ずです。お願いします」

 これは最もだ。王都で俺達が冷遇されないためらしいが、実際は、俺達がきちんと王都に着いたというのを確認するためでもあるのだろう。

「はい。分かりました」

 まぁ逃げはしない。王都にも興味はあるしね。

「……思ったよりも元気そうですね。もっと落ち込んでいると思っていましたが」

「まだ万全ではないですけど、普通に動く分には問題ないですよ」

 ノーラさんは心配性なのかな? マリアを妹にしたいって言っていたし、お姉さん基質なのだろうか。

「いえ、そうでは……。そうですね。こう言ってしまうとアキヒト殿の気分を害するかもしれませんが」

 言いにくそうだったが、ノーラさんが話しだした。


 召喚士は変人が多いらしい。

 不人気である召喚士に成るという行為自体が、既に珍しい。

 また、召喚獣との絆も大切なので、それぞれの召喚獣と仲良くする召喚士が多い。それ自体は別に悪い事ではないが、召喚獣とだけ仲良くなり、他の人とは疎遠になってしまうケースが多いようだ。

 そのため、召喚士は近寄りがたいというイメージが強いようだ。それがさらに召喚士の人気を下げ……という事らしい。

「ですから、今回の事件で、アキヒト殿は人間不信になってしまったのではないかと心配していたのです。奴隷を薦めたのもそのためです」

 なるほど、な。

 実際はそうではないが、周りから見れば、イヴァン達のせいで盗賊に襲われたと見られてしまうのだろう。それ自体は事実だが、実際はあれは事故みたいなものだ。

 俺も死にそうになったけど、別にそれで恨んだりはしていない。

 しかし……召喚士って、単に職業として不人気なだけじゃないんだな。

「アキは大丈夫よ。変じゃないわ」

「うん、ありがとうな、マリア」

 そう慰めてくれるのは嬉しいけど、俺の召喚獣に言われると、変度合いが加速されそうな気がする。


 さて、そうこうしている内にまもなく出発の時間のはずだ。

 馬車にノーラさんに、何人かの冒険者――護衛だと言っていた人達が準備をしている。

「出発はまもなくですね。忘れ物はないですか?」

「ないですよ」

 ノーラさんにはそう言ったが、今この場所にはイヴァン達はいないのが心残りだ。やはりというか、見送りはNGになったようだ。

 昨日、一応のお別れはしたけど、やはり今会えないのは寂しい。

 今頃は何をしているだろうか。イヴァン達も旅立つらしいから、その準備をしているかもしれない。


「すみません、そろそろ出発しますので、お二人は馬車へ」

 男性が声を掛けてきた。丁寧だが、冒険者なのだろうか?

「あ、はい。分かりました。行こうか、マリア」

「……この街ともお別れね」

「また戻ってくるさ」

「そうね……」

 そんなに長い期間はいなかったはずだが、この街は俺がこの世界に来て最初の街だ。なので離れるのは寂しいものがある。何気にそこそこ大きい街だったし、不便な所も……風呂がないのはさすがにきつかったけど、それでも過ごしやすい街だった。

「それでは、アキヒト殿、マリア殿。王都でもお元気で」

「はい、ノーラさんもありがとうございます。行ってきますね」

 見送りはノーラさんだけだ。副ギルド長だし、そう考えると俺達には勿体無いかもしれない。

「それでは出発します!」

 御者らしい人がそう言い、馬を走らせる。

 そう、行ってきます、だ。いつか戻ってくる。そして、また皆でダンジョンに挑戦するんだ。


 ワーズヴェシン街がどんどんと遠くなっていく。

 意外に馬車というのは……初めて乗ったけど、早いな。

 複数の馬車が連なって走っている。商隊と護衛の人達の馬車、そして俺達だ。商隊を共に出すことで、コスト削減と俺達のカモフラージュになっているみたいだ。

 冒険者ギルドが用意した馬車だけだと、盗賊を倒した()()がバレてしまう可能性があるかららしい。

 俺達に用意された馬車は、小さいながらも人員は御者を除けば俺達しかいない。専用馬車だ。

 ……ちゃんとカモフラージュになっているのか? そもそも俺達って、どういう扱いでこの馬車群にいるんだろうか。うーん。まぁいいか。

 マリアはなんだか元気がないように見える。酔ったか?

「結構早いな。これなら王都もすぐかな?」

「その、ワタシのせいでこんなことになっちゃって、ごめんなさい」

 あぁ。今回の事で責任を感じているのか……。

「マリアのせいじゃない。俺の力不足だ。それにマリアは仲間だろ。守るのは当然だ。だから気にしないでいい」

「でも……」

「ニ人とも無事だったし、お金も手に入った。イヴァン達と別れるのは寂しいが、せっかくなんだし、冒険するのも楽しいだろ? だから一緒に冒険しようぜ、マリア」

 もう少しだけ、二人で冒険をしよう。この世界に来てから、俺達はずっと二人だったんだ。だから大丈夫さ。

「うん……、そうね。ありがとう」

「あぁ。これからもよろしくな、マリア」

「えぇ、よろしくね、アキ」


ご意見ご感想があれば嬉しいです

一区切りです。

ちょっと章構成にしたいと思うので、工事します。内容に変わりはありません。

2-3本ほど幕間として短めのを投稿する予定です。

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