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召喚獣による召喚で異世界で召喚士になりました  作者: bamleace
一章 ~ワーズヴェシン街~
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27 再会と謝罪

 俺もまだ病み上がりだし、実際歩き疲れていた。まぁ面会でかなり精神的に疲れてしまったのが大きいが。

 なのでマリアの言う通りに宿屋で休むことにした。

 イヴァン達を探さないといけないんだが、さてどこにいるんだろうか。冒険者ギルドで聞けばよかったかな。

 そう思いながら歩いている内に宿屋に着いた。なんだか凄い久しぶりな気がする。

 そういえば部屋ってどうなっていたっけ。

「いらっしゃ……おや、アンタ達かい」

「こんにちは。一日お願いしたいんですが……」

「あいよ、一部屋なら銅板二枚だよ。一日ってことは明日出て行くのかい?」

「はい。他の街に行ってみようかと思いましてお昼ご飯もお願いします」

 さすがに前に取っておいた部屋は既に期限切れか。まぁ荷物は全部袋に入れていたからいいけど、ダンジョンに長く篭るような場合は勿体ないな。

 銅板ニ枚と銅貨六枚を手渡す。

 にしても、金貨を沢山貰ったからお金持ちなんだけど、細かいお金が残っていて良かった。よく無くさなかったなというか、盗賊に盗られなかったな。

「……はいよ。毎度どうも」

 そういえば、この宿での噂はどの程度なんだろうか。

「今日一日ならいいけど、それ以上は他を当たってくれと言おうと思っていたんだよ。どうも冒険者の変な噂があってね。アンタらも面倒は起こさないでおくれよ。食事だったね、すぐに用意するから待っといてくれよ」

 ……ここも結構な噂になっているみたいだ。それもそうか。宿屋っていったら、冒険者の利用が多いからなぁ。信用第一の商売だろうし。

「……はい、お願いします」


 ともあれ食事だな。朝は本当に軽くしか食べていなかったし、その後に緊張したせいで、疲れたしで、今頃お腹が減ってきた。まずは食べて休んで体力を戻さないとな。

 食事スペースに行くと、そこにはイヴァン達がいた。

 偶然か? いや、俺達がこの宿を使っている事は話したっけ。ってことは、待っていたのかな。探す手間が省けた。

「イヴァン、もしかして待っていたのか?」

「ここにいれば、アキヒトさん達に会えると思っていたからね。その……冒険者ギルドで話は聞いたかい?」

 そういえば、イヴァン達も冒険者ギルドから話をされているんだったな。

「あぁ、ついさっきな。街から出て行く事になった」

「その、アッキーとマリっち! ごめんなさい! アタシが酒場で話しているのを、誰かが聞いていたんだと思う……。だから、今回の事はアタシのせいなんだ!」

「いや、これは僕のせいだね。お酒が入っていたとはいえ、軽率だったよ。ごめん」

「兄さんとローザさんだけじゃないです。私も一緒にいたですし……。だから私も、ごめんなさいです!」

 三人が三人共謝ってきた。イヴァン達が情報を誰かに言ってしまったというのは聞いていた。だがそれは故意ではないとギルド長達は言っていた。

 酒……? そうか、ランクアップの後の時か。俺達は早めに切り上げたけど、その後もイヴァン達は飲んでいたんだろうな。その時か。

「いや、元はと言えば、俺がイヴァン達に言ってしまったせいだ。だからイヴァン達悪くないさ。気にしないでくれ」

「でも……」

「俺もマリアも無事だったしな。それに、冒険者ギルドから罰則もあるんだろ? なら俺が言う事じゃないさ」

 下手をすると、人間不信とかそういうのになってしまうのかもしれない。でも既にギルド長達から注意のようなものは受けているしな。

「俺達は大丈夫だから。だからこの話はもうおしまいだ」

 ミネットが泣きそうな顔になっていたので、思わず頭に手を乗せ、ポンポンとした。

 確か歳は十五歳のはずだけど、背が小さくてちょうど手が置きやすい位置なんだよなぁ。

「あぅ……ありがとうです」

「それで、イヴァン達も他の街に行くことになるんだろ? 準備とかしてるのか?」

「うん、ありがとうね。そうだね、僕達も移動することになるんだけど、準備はこれからしようと思っていたんだよ」

「まずはアッキーとマリっちに謝ってからじゃないとって思っていたから……」

「そうか……。実は俺達は明日の昼に出発なんだが、準備がまだなんだ。俺はまだ歩きまわるのは辛くてな。俺は宿で休んで、マリアが買い物をしてくれる事になっているんだ」

 本当は一緒に行きたいけど、実際結構辛いしな。買い物デートなのに……。

「そ、それじゃ、アタシ達と一緒に行かない?」

「うん、そうだね。僕達もまだだし、一緒に準備させて欲しいね」

 おぉ、みんなが一緒か。マリア一人に行かせるのは心配ではあったが、一緒なら安心だな。

「兄さんはお留守番です! 女の子だけで行くです!」

「えぇ~……。分かったよ……」

「女の子だけでお買い物ね。いいかしら、アキ?」

「いいんじゃないか? お言葉に甘えよう。ありがとうな、ミネット、ローザ」

「やったです! お買い物です!」

 しばらくは別行動になるしな。女の子同士で交流を深めるのもいいだろう。

 話している間に料理が来た。

 相変わらずの内容だ。うーむ、マリアに作って貰うもうが良かったのかもしれない。

 贅沢は言っていられない。この宿での食事も、明日の朝までだ。そう思うと、美味しく感じる。

 いや、元々美味しいんだけどね。


「そうだ、忘れない内に返しておくよ」

「ん? 何だ?」

 何か貸していたのあったっけ。

 そう言ってイヴァンが取り出したのは、俺の杖だった。

「あー……。そういえば落としたかも。見つけてくれたのか。ありがとうな」

 すっかり忘れていた。冒険証といい杖といい、さすがに俺もいっぱいっぱいだったって事だ。しかし、よく見つけてくれたものだ。半ば諦めていたのに。

 いやいや、忘れていたのにそれはおかしいな。ともかく、戻って来てくれたのは嬉しい。いい杖らしいし。そういえば、魔力を含めて全体的に能力値が上がったし、装備の新調をしたほうがいいのかな……。

 うーむ、しかし魔物相手ではまだ困っていないしなぁ。砂ゴーレムはどちらかというと、召喚獣の決め手が無かったという感じだしな。

 装備はまだいいかな。でも王都だといいのあるのかなぁ。

 行ってみるくらいならいいよね。そして剣とか買ったりしてもいいよね?

「これが落ちているのを見つけてね。それでダンジョンに行っているにしてはおかしいって事に気づいてね」

 なるほどな。確かに、杖を落としたままダンジョンに篭るというのはないだろう。何か事故か事件があったと思うのも不思議ではない。そのお陰で、俺達に何か起こっていると気付いたって訳か。

 うん、いい杖じゃないか。もう買い換えるとか言いませんよ。……しばらくは。


 大分話し込んだな。さて、食事も食べ終わったし……。

「さてと。女の子達はこの後買い物だよな。イヴァンはどうするんだ?」

「うん。僕も冒険者ギルドに呼ばれていてね。全員じゃなくても良いって言っていたし、行ってくる事にするよ」

 そういえば、俺達の意向を先に聞いてから、イヴァン達の行き先を決めるってギルド長達が言っていたな。その話か。

 なら俺は予定通り、宿で休む事にするかな。

「あの……ですね。その……」

「ミネット?」

「いつか……また一緒のパーティになってくれるですか?」

 なんだ、そんなことか。確かにミネット達からしたらそう思うのも無理もない。しかし俺の心は変わらない。

「あぁ、冒険者ギルドの罰則が終わったら、また組もうな。だからそれまで鍛えておくから、ミネットも魔法頑張るんだぞ?」

「はいです……。頑張るです!」

 そうだ。また一緒に冒険をするんだ。

「うん……。そうだね」

「そうだよ! アッキーもマリっちも、また一緒に冒険するんだからね!」

「そうね。ワタシも待っているわ」

「街を出るのは明日の昼だから、よかったら見送りに来てくれ。それくらいなら冒険者ギルドも許してくれるよな?」

「うーん。僕がこの後聞いてみるよ。駄目だったら……ごめんね」

「それなら仕方ないさ」

 見送りもNGって事はありえるのかなぁ。うーん。罰則っていうから、やはり厳しいのだろうか。なら、今こうして一緒にいて会話しているのもNGになるのか?


「それじゃ、僕はそろそろ冒険者ギルドに行ってくるよ。ミネットとローザ、買い物は頼むね?」

 ずっと話していたかったけど、先ほどの懸念もあるし、なにより皆用事があるのだ。

 ……俺はないけど。でも休むっていうね、大事な役目がね、あるんだよ?

「任せてよ! ミーちゃんとマリっちと買い物してくるからね!」

「はいです! 兄さんも冒険者ギルド、お願いするですよ」

「うん、楽しんできてねっていうのもおかしいけど、仲良くね?」

「えぇ。それじゃ行ってくるわね、アキ。アキはしっかり休んでないと駄目よ?」

「分かってるさ。部屋で休んでいるから。買い物は頼むな、マリア。ミネットとローザもよろしくな」

 さて、名残惜しいが仕方ない。また明日会えるさ、きっと。それに、また一緒にパーティ組んで冒険だって出来るんだ。

 マリア達四人が宿から出て、俺一人が残された。

 ……少し寂しいな。休むとするか。


ご意見ご感想があれば嬉しいです。

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