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召喚獣による召喚で異世界で召喚士になりました  作者: bamleace
一章 ~ワーズヴェシン街~
21/126

18 とっておきと盾

他の方の作品を読むと、書く時間が減るという罠!

 大技ってなんだろうか。命を犠牲にとか、そういうタイプだと困る。

 厳しい戦況だが、そこまでするほどではないと思っている。出直せばいいだけだし、攻略法も分かっている。次頑張ればいいだけだ。

「その大技ってなんだ?」

「はい、炎の中級魔法を使います。ただちょっと時間が掛かるです」

 ふむ。中級って事は今までのより凄い魔法って事なんだろうな。今持ってる中のとっておきと言う事か。

「ちなみに聞くけど、それってミネットは怪我とかしたりしないんだよな?」

「ただの中級魔法なので、それはないです。これから使うのは炎の場(フレイムフィールド)なので大丈夫です。ただ、今の私だと発動にちょっと時間が掛かるのですが」

「分かった。それじゃそれまで援護する」

 時間は掛かるがただの魔法だと分かって安心した。自らを犠牲にする系統の魔法なら辞めさせていた所だ。

 まぁよくよく考えれば、そんなものをイヴァン達が許すはずもないよな。


 発動には時間が掛かるという事なので、それまではこちらからの攻撃は控える事にした。どうせ炎で固めなければ倒せない相手だ。それまでは体力を温存しておくに限る。

 しばらくゴーレムの相手をしていると――といっても、前衛組が頑張ってくれて、俺は回復しかしていないんだが。

 どうやらミネットの準備が出来たようだ。今まで使っていたファイアアローは短い詠唱で発動出来ていたが、さすがに中級となると詠唱もイメージも大変なようだ。それでも思っていたよりかは早い。

「準備出来たです。皆さん、下がって下さい!」

「分かったよ。皆下がって!」

 イヴァンはミネットが使う魔法について知っているのか、かなりゴーレムから離れた位置まで下がっていた。ローザもそれに続いている。

 運悪く、マリアはゴーレムの近くにいたため若干遅れてはいるが、あのゴーレムの速度では追いつけないだろう。

 と、安心してしまっていたが、ゴーレムもマリアを逃がす訳にはいかなかったようだ。

「マリア! 後ろゴーレムが来てる、速く!」

 これまで普通のゴーレムらしい太くごつい腕だったゴーレムの腕が、変形し細い腕が幾つにもなってマリアに迫ってきていた。それまでのごつい腕よりも速く、まるで触手のようだ。キモい。

 逃げているマリアも突然の事に反応が遅れてしまい、その触手腕に捕らわれてしまった。

「きゃ!」

「マリア!」

「マリっち!」

 触手腕は元のゴーレムの腕に戻り、マリアはゴーレムの手の中に捕らわれる形になっている。このままではマリアが危険だ。

「今助けるぞ!」

 このまま握る潰されでもしたら……。そんな事はさせない。

 俺の召喚獣とイヴァンがゴーレムの腕に攻撃し、ローザがマリアを引き出そうとする。しかし、ゴーレムの抵抗も強くうまくいかない。

「この! 離しなさいよ!」

「マリっちを離せー!」

 どうする……。腕を炎で攻撃して地道に腕を破壊するか? でもそれだと時間が掛かり過ぎる。

 どうする、考えろ。手持ちの召喚獣じゃ効果は薄い。マリア達を強化し直したが、それでも砂から抜け出せていない。

 俺の召喚獣じゃ無理なのか……。ミネットの魔法なら可能か?

「ミネット、今の状態でそのフレイムフィールドを撃っても、マリアは平気か?」

「いえ。広範囲を炎で焼くので、マリアさんにも被害が……。すみません、他の魔法にしてマリアさんを助けるです」

 それだと今の魔法が無駄になる。とっておきだと言っていたので、それなりに魔力を喰うんだろう。連発は出来ないかもしれない。

 ミネットの魔法に頼ると、倒す手段が無くなるかもしれない。だからと言って、俺の召喚獣では……。

 うん? いや、手はある。俺の召喚獣では助けるのは無理だが、召喚獣だからこそ可能だ。だがこれをやってしまうと、色々と厄介な事になるな。

 いや、迷っている暇はない。

「魔法はそのままでいい。マリアを助ける方法が分かった。マリアを助けたら魔法を撃ってくれ」

「ほ、本当ですか?」

「あぁ。イヴァン、ローザ! ゴーレムから離れてくれ。マリアは大丈夫だ、すぐに助ける! その後にミネットの魔法だ」

「え、大丈夫なのかい?」

「本当? マリっちを助けられるの?」

「あぁ、大丈夫だ。それより離れないと、ミネットが魔法を撃てない」

 思いついたマリアを救う方法。考えてみれば簡単な事だ。だけどイヴァン達への説明が面倒なので、とりあえず下がらせる。


「この辺りなら平気だね。それでアキヒト君、どうするつもりなんだい?」

「アッキー、早くマリッちを助けて!」

 俺も早く助けたいのは山々だよ。助けた後にゴーレムがまた触手腕を使ってくると厄介だったし、皆避難する必要があった。

「あぁ、大丈夫だ」

 心を決める。行くぞ!

「マリア、召喚解除!」

 俺がそう叫んだ瞬間、ゴーレムの手に捕らわれていたマリアが光となって消えた。

 捕まえていたはずの獲物が突然消えて混乱しているのか、ゴーレムが手を広げ確認している。

「え?」

 イヴァン達が驚く。無理もない。今までいた人間が消えたんだからな。だけど安心してくれ。

「来い、マリア!」

 そう叫ぶと、俺達の目の前に光を伴い人が現れる。もちろんマリアだ。うん、無事だな。

 どうやって助けたのか。答えは単純だ。マリアは俺の召喚獣で、自由に召喚と解除が出来る。いつも召喚しっぱにしていたが、それを一旦解除して召喚し直しただけだ。

「助かったわ、アキ。よく思いついたわね」

「まぁな。あまり使いたくなかったが。それより怪我は……無いみたいだな」

「えぇ、無事よ。それにしても嫌なゴーレムね」

 っと、イヴァン達が呆けているな。敵前だぜ? そんな場合じゃないだろ。気持ちは分かるけど。

「ミネット、魔法!」

「え……。あ、はいです! フレイムフィールド!!」

 呆けていたミネットだが、注意をするとすぐに魔法を撃ってくれた。

 ゴーレムの中心に、大きな炎が広がる。

 おー、すごいな。高さは俺の身長と同じくらいか? 火柱ではなく、広い範囲だな。それくらいの大きな炎がゴーレムを中心に広がっている。キャンプファイヤーみたいだな。

 さすがにゴーレム全体を包むことは出来ていないが、それでもゴーレムの足から腰までと、下半身部分を炎で覆っていた。

「グォォォォ!!」

 さすがにゴーレムも苦しいのか、叫んでいる。少しうるさい。そしてうるさいのがすぐ横にも。

「ねえねえ、さっきの何? 何だったの? なんでマリッち消えたの? なんで出てきたの? どうして?」

「あぁもう! 今は戦闘中だぞ、落ち着け!」

「でもさー、何でー?」

「ローザ、アキヒト君の言う通り今は戦闘中だよ。アキヒト君、後で説明してくれるかい? 僕も気になっているんだよ」

「あぁ、終わったら説明する」

「うん、ありがとうね。それじゃゴーレムを倒すよ」

 説明が面倒だし、何よりどう思われるかが怖い。だから使いたくなかったが、仕方ない。

 こう話している間も、炎はゴーレムを包んでいた。効果時間長いなぁ。あんな魔法もあるんだな。出来れば使いたかったが、俺召喚士だしなぁ……。

「そろそろ炎終わるです!」

「それじゃ僕とローザとマリアさんも平気だね? 三人で足を一気に破壊するよ! アキヒト君、補助お願いね」

「うーん、気になるけど、終わってからかー。うん! さっさとやっつけよう!」

「ワタシは大丈夫よ」

 俺は三人に補助を掛け直した。炎は大分収まってきている。焼かれた部分はかなり変色しているようだ。既にボロボロと剥がれている部分もある。

「はぁ!」

「どりゃぁぁぁ!」

「せぃ、や!」

 前衛三人組が炎で硬化したゴーレムの足を攻撃する。どんどんと破壊される足。

 あれだけの炎だ。かなり効いていたみたいだな。うーん、やっぱ魔法っていいなぁ。

「さっきは! よくも!」

 マリアの恨みがこもった攻撃がゴーレムの足を穴だらけにする。

 うわー、あれは酷いな。

「グォォォォ!!」

 ゴーレムが叫ぶ。それもそのはずだ。既に足は破壊しつくされ、立つことは出来ない。そのまま上体が地面に転がる。

 こうなればもうこっちのものだ。さっきの触手腕は要注意だが、ロクに攻撃出来ないだろう。それにしても、まだゴーレムは死んでいないのか。普通の生き物なら既に絶命してもいいダメージだと思うが、そこはゴーレムというところか。

「やったわね」

「でもまだみたいね! アッキー、ミーちゃん! 炎よろしく!」

「ミネット、さっきのもう一度撃てるかい?」

「ちょっと辛いですが、撃てるです」

「よし、ならもう一度フレイムフィールドだ。それまで皆はゴーレムに注意。特にさっきの腕には注意だよ!」

 おおぅ。さっきのもう一度撃てるのか。ならゴーレムの上体も一気に焼き固める事が出来るな。それまでは補助と回復に徹するか。

 しかし俺って回復と補助くらいしか出来てないな……。役に立ってるよね? 僧侶ポジションって奴?


 しばらく前衛は回避、俺は回復、ミネットは魔法準備をしていた。

「準備、出来たです!」

「よし、皆離れて!」

 魔法の準備が出来たのだが若干辛そうだ。魔力が心配になる。これを撃ったらもう次は出来ないかもしれないな。

 ゴーレムはというと、やはり足を失ったのが大きいのか、攻撃もそれまでよりも弱々しい。さっきのような触手腕も使わないようだ。

 よしよし、これでミネットの魔法を撃って上体を壊して倒せるだろうな。

 さっきも油断していて触手腕で困った自体になったというのに、今も勝利を確信したのか油断していた。

 ゴーレムがその倒れた上体のまま右腕を大きく振り上げているのも、最期のあがきとしか思っていなかった。あそこからなら、仮に触手腕になってもこちらに届く前にミネットの魔法が発動して終わりだ。

「よし、皆離れたね。ミネットお願い!」

「行くで……キャ!」

 まさに魔法を発動しようとした時、振りかぶっていたゴーレムの腕が振り下ろされた。それだけなら、何を? と思ってしまう。

 だが自体はそうでは無かった。

 振り下ろされた腕から砂の塊が全員に向かっていたのだ。大きさは拳大よりも大きいのが幾つも飛んできている。さながら砂のショットガンか。

 俺よりも前方にいたイヴァンは盾で防ぎ、マリアとローザは何事もなく回避したようだ。

 問題は俺とミネットに向かっている砂だ。俺もどうにか回避できるだろう。だがミネットはかなり消耗をしていたし、魔法の発動前だ。避けるのは厳しいだろう。だからと言って、当たればどうなるか分からない。

 くそ、抱えて避けるか? でももうそんな余裕もないな。俺が防ぐしかない。

「ミネット! アキヒト君!」

 イヴァンが叫ぶ。俺はミネットの前に立ち召喚獣をフル動員する。

「サラマンダーとシルフは撃ち落とせ!」

 ミネットの側にいたので対応はできるが、逆に砂の弾丸も数が多い。二人分をどうにか耐えないといけない。撃ち落として数を減らし、漏れたのは土で防ぐしかない。それ以上は……考えたくないな。

「ダメ! 全部は落とせないよ!」

 くっ、イヴァンが盾で防いだ時もかなりの衝撃に見えた。それなりの威力があるはずだ。これは撃ち落とすだけでも難儀だな。

 それでもシルフとサラマンダーは大多数を撃ち落としてくれた。さすがに全部は無理だったが、これなら!

「ノーム、土の盾だ!」

 実際は盾ではなく壁、それも杭を何本か建てて壁のようにしているだけだ。だがイメージで意図は伝わっている。

「ふんぬっ!」

 よし、壁が出来た。少し隙間があるがそれは仕方ない。隙間から砂も見えるし良しとしよう。

 一応防御の態勢を取る。頭と心臓を腕でガードするだけだが、しないよりはマシだろう。

「来るぞぃ!」

 ノームが叫んだ瞬間。

 ドン!

 うおぉ、来た来た来た!凄い音だ。腹に響く。

 ドン! ドン! ピシッ! ドン! ピキピキ……。

 ん? ピシッ? ピキピキ? 変わらず腹に響く。

 ドン!

 腹に響……いや、痛い! 壁が抜かれたのか!

「ぐっ……!」

 撃ち落として数を減らして、土の壁でも駄目だったのか。かなりの衝撃だ。泥人形の攻撃の比じゃないな。

 ドン!

 今度は左足。思わず膝を付きそうになるが耐える。

 ドン!

 次は右腕。守ってなきゃ頭直撃だったな。それでも衝撃で持って行かれそうになる。

 倒れそうになる。だけど俺の後ろには仲間がいる。無防備なミネットがいる。俺が倒れれば、この弾丸を受けるのはミネットだ。

 その根性だけで踏み留まる。後何発だ?

 ……来ないな。終わったのか?

 恐る恐る前方を確認すると、ボロボロに崩れた土の壁、腕を振り下ろした体勢のままのゴーレム、こちらを心配そうに見ているイヴァン達が見えた。マリアは……こちらに走ってきている。

 凌いだのか?

 振り返ると、涙目のミネットが立っていた。見た限りでは怪我は無さそうだ。

 凌いだ! かなり痛いがゴーレムの攻撃を凌いだのだ。

「ミネット、魔法だ!」

 叫ぶ。叫ぶと痛いが叫ぶ。俺は平気だ。檄を飛ばすように叫ぶ。

「ゴーレムを倒すんだ!」

 チャンスは今しかない。もう一度さっきのをやられたらさすがに無理だ。もちろんウンディーネで回復は開始している。それでも全快は遠い。腕と足は折れてるかなぁ……。思わず膝を突いてしまう。

「行くです! フレイムフィールド!!」

 ミネットの魔法が放たれる。最初のより強い気がする。ゴーレム全体が、炎に覆われている。

「グォォォォオオ!」

 ゴーレムが叫ぶ、焼ける。

「もうすぐ終わるです。兄さん、お願いします!」

「うん、ミネットさすがだね! ローザ、マリアさん行くよ!」

 ゴーレムを焼いていた炎は収まっていた。さすがに全体を焼かれていたゴーレムは、かなりのダメージを負ったようだ。

 見るからに動きが鈍っていて、砂での回復も機能していないように見え、動く度に体の表面の砂が剥がれ落ちている。

「行くよ! はぁぁぁぁ!」

 イヴァンがゴーレムの左腕を攻撃、ボロボロに破壊されるゴーレムの左腕。

「グォォォ!」

「今度はこっちよ! せいっ!」

 マリアが右腕を突きまくる。穴だらけになり、自重で崩れ落ちるゴーレムの右腕。

「グォォォォォ!!」

 手足を失い、そのまま倒れるゴーレム。

「これで最期だね! 行っくよ! うりゃぁぁぁぁぁ!」

 ローザが高くジャンプし、そのまま勢い付けて倒れこんでいるゴーレム目掛けて斧を叩きつける。

「グォォォォォォォォォ!!!」

 断末魔だったのだろう。これまでよりも大きく叫んだゴーレムのその巨体は、ボロボロに崩れ去った。


「アキ! 大丈夫なの?」

「あぁ、大丈夫だ。ちょっと痛いけど、回復はしたから平気だよ」

 ゴーレムは既にいない。崩れて跡形も無くなっているし、倒したって事だろう。

 俺の怪我も大分回復している。普通に動く程度ならもう大丈夫だ。それでも激しい運動は出来ないだろうな。

「アキヒト君、本当に平気かい? あの砂は結構な威力だったと思うけど」

「大丈夫さ。壁で威力は抑えられたし、回復してあるからな。それより皆こそ怪我はないか?」

「僕達は平気だね」

 確かに見た限りの怪我は無いみたいだ。まぁイヴァンは盾があるし、マリアとローザは回避してたからな。

「なら良かった。ミネットも平気か?」

「はいです。アキヒトさんが守ってくれたので大丈夫です」

 こっちも平気か。ん?

「顔が少し切れてるな。最後の砂で切っちゃったかな。治すよ」

「え? あ、本当です。でもこれくらいなら大丈夫なのですよ?」

「いやいや、可愛い女の子の顔に怪我なんて駄目だろう。後が残る前に治すぞ。ウンディーネ、頼む」

「か、可愛いだなんて……」

 ウンディーネのお陰で怪我は後も無く治せた。

 うんうん、女の子なんだから、怪我は駄目だよね。特に顔とかね。

「よし、治ったな。可愛い子の顔に怪我があったら大変だしな。よかったよかった」

「また可愛いって……。あ、ありがとうなのです」

 うーん? 顔が赤いけど、照れているのかな。褒め慣れてないのかなぁ。

「アキ? ワタシも足にちょっと怪我してるんだけど?」

「え、あぁ、うん。治すよ」

「それだけ?」

 何だ……マリアさんが怖いぞ。

「えーっと……。綺麗な足に後が残ったら大変だな」

「うん、そうね」

 結局マリアの足も治した。


「えーっと、いいかい?」

「なんだ、イヴァン」

「うん、ミネットを守ってくれてありがとうね」

「ミネットの魔法が鍵だったしな、当然さ」

 ミネットの魔法が無ければ倒すのは実質無理だっただろう。ちまちまと攻撃していては、こちらがいつか疲弊して負けてしまっていたはずだ。

「うん、それでもありがとうね。さて、皆。一応冒険証で確認しておこうか。ゴーレムがボスだろうから、僕達の昇級クエストは達成進みになっているはずだよ」

 イヴァンは良い奴だな。ってそうか、倒した気になっているが、あのゴーレムがタダの雑魚っていう可能性もあるのか。

 冒険証にはクエストの進捗状態が記載されている。昇級クエストであるボス撃破が達成されていれば、達成済みに変わっているはずだ。

 まぁ俺とマリアはまだ昇級出来るポイントに達していないので、クエストは受注出来ていない。なので確認はイヴァン達にお願いするしかない。

「達成出来てるよ! やった!」

「出来てますです」

「うん、大丈夫だね」

 やっぱりゴーレムはボスだった。そりゃそうだ。あの強さで雑魚――中ボスとか言われたらキツイ。

 でもボスを倒したんだ、俺達五人で。マリアと二人ならあれは無理だろうな。イヴァン達と組めて本当によかった。

「やったな!」

「うん、ありがとうね、アキヒト君とマリアさん」

「おいおい、お礼は街に戻ってからにしようぜ。ここから戻らないといけないんだしさ」

 ボスは倒したとはいえ、ここはまだダンジョンの奥深くだ。ここから街に戻らないといけない。体力も魔力も心配だし、少し休憩はしたいが。

「あぁ、それは大丈夫だよ?」

「あれ、アッキー知らないの?」

「え、何が?」

「えっと、ボス部屋の奥には地上に繋がる転移魔法陣があるのです。アイテムとかお金は不要なのですよ?」

 え、マジで?知らなかったよ。ふむ、これが異世界の不思議か。

「アキ……。ギルドで貰った冊子に書いてあったわよ?」

「マジでか……。知らなかったわ。ま、まぁなら安全に地上まで戻れるんじゃん。早く行こうぜ!」

 ここは勢いで逃れるしかない。さぁ、帰ろうぜ!

「いやいや。ゴーレムの素材回収していかないと」

「うーん。でも砂だしね。何かあるのかな?」

 話題は変わったからセーフだ。しかし、素材か。全部砂だろうしなぁ。硬い砂があれば何かに使えたりするのかな。

「に、兄さん。何かあるですよ!」

 砂を漁っていたミネットが何かを発見したようだ。

「ん、どれだい? これは……」

「盾、かな?」

 ゴーレム後の砂の中から出てきたのは立派な盾だった。魔物の落し物って事なのかな。持っていたようには見えないけど。

「これはボスの宝箱みたいだね。ボスを倒すとたまにアイテムを落とすらしいんだ」

「へー。そうなのか。しかし盾か。とりあえずイヴァンだな」

 この中で盾持ちはイヴァンだけだしな。俺らには不要なものだ。

「良さそうな盾だね。ひとまず持っておくよ。他には何も無さそうだね。それじゃ今度こそ帰ろうか」

「やっと帰れるよー!」

 ふぅ。何はともあれ、これで終わりだな。危ない場面もあったが、一気にボスまで倒せてよかったと思う。

ご意見ご感想があれば嬉しいです。

12/14:誤字脱字修正

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