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02 召喚獣による召喚

「ん、眩しい……、朝か?」

 光に眩しさを覚え、俺は目を覚ました。伸びと欠伸しながら思い出す。

「確か、久々にゲームをしてて……、そのまま寝ちゃったのか?」

 そうだ、ゲームをしててそのまま寝落ち。いくらなんでもやりすぎたと反省している。それもそのはずだ。俺は何故か森の中に座っていた。目の前には大きな木々がそびえ立っている。民家の庭にある木ではない。どこかの奥深い森、そんなレベルな木々だ。

「んー? ゲームやりすぎて夢に見ちゃったってことか? 森のマップもあったしなぁ。いくらなんでもやり過ぎだろ、俺」

 自分の部屋でゲームをしていて、目が覚めたら森の中。ゲームの影響で夢を見ているのだろう。俺はそう結論付けた。

「ならもう一眠りするかなぁ。それとも夢の中で遊んでみるか」

 ちなみに一人暮らしをしていると独り言が増えるのである。なのでこれももちろん独り言だった。なので反応なんてものは期待していない。


「あ、あなた。どこから出てきたの? 誰なの?」

 なので反応が返ってきたので驚いた。声の方向は後ろ。振り返ってみると、そこには美少女がいた。

 髪は銀髪で肩に掛かるくらいの長さ。目は少し赤色っぽい。黒基調のコートみたいな服に淡いピンクのスカートがかなり短い。コートみたいなものは後ろが膝下くらいまであるので階段では平気だろう。足は太もも辺りからの黒い柄ニーソックスに靴も黒い。学校の制服を少し改造した感じで、コスプレかという感じの格好だ。年は俺よりも少し下だろう。つまり美少女コスプレさんが立っていた。

 彼女はいないと言っても別に女性、三次元に興味がない訳でもないし、ゲームや漫画が好きと言ってもオタクでニ次元に生きている訳でもない。

 その美少女は学校で一番カワイイのはもちろんのこと、ゲームや漫画ではメインヒロインの立場になれるほど可愛い。俺なんかじゃまともに相手されるかどうかも厳しい高嶺の花だ。遠くから見つめて満足って感じだ。ぶっちゃけイチャイチャできたら最高だろう。

「ちょ、ちょっと大丈夫? 生きてる?」

 そんなことを考えていて返答をしなかった俺に対し、美少女が心配をしてくる。生きてる? って独り言喋ってたし、振り返って動いたの見てるだろうに、どうも動揺しているようだ。

 それにしても、こんな美少女が夢に出てくるなんて……。受験失敗で心にダメージでも負っていたのか? やっぱ彼女無しというステータスを、心のどこかで嘆いていたのか? さっきまでやっていたゲームにもヒロインはいたけど、見た目は違うしなぁ。

 っと、さすがに夢とはいえ美少女を放置してしまうのは頂けない。

「俺は生きているし大丈夫だよ。にしても、君は誰だい? それにここはどこだ?」

 どうせ夢なんだし、美少女との会話を楽しむのもいいだろう。

「よかったぁ。無茶な召喚だったし、まさか召喚が出来るとか思ってなかったわ。えーっと、ワタシは召喚獣よ。さっき創られたばかりだし名前はまだないわ。ここは……、ワーズフォレの森ね」

 召喚獣? それに作られたって。結構凝ってる夢だな。それにワーズフォレか。夢ってことは、どこかの地名から再現されているんだろうけど、世界の地名でもゲームでもないし、聞いたことないな。

 それにしても結構はっきりしている夢だな。いくら相手が美少女とはいえ、夢にまで見てしまう事態はちょっとショックだし、もう起きて現実で頑張りたい。頑張ったところで、現実で彼女は出来ない訳だが。

「召喚獣かー。どうみても人間にしか見えないけど。まぁ夢とはいえ可愛い女の子と会話出来るのは嬉しいけど、そろそろ起きたいかな」

 どうやれば起きるんだろうか。夢の中で寝ればいいのかな? 美少女との会話を惜しみながら起きる方法を考えた。

「何か勘違いしているみたいだけど、ここは夢の世界じゃないわよ? ワタシがこの召喚陣を使って、アナタを召喚したの。アナタ人間よね? ってことは召喚獣じゃないし、どこから来たのかしら」

 え、なんだって? 召喚陣で召喚された? 夢じゃない? そんなゲームや漫画みたいなことがあるわけ……。そう思って頬をつねってみる。痛い……。いや、痛ければ夢じゃないとかそれも漫画の世界の話か?

 どこから来たって……。それにしても目の前の美少女は綺麗な銀髪だ。カツラとかではないだろう。地毛のはずだ。どうみても日本人には見えないのに、さっきから日本語が通じているのが不思議だ。ハーフとか、日本語が達者なのかもしれないけど。

「俺は日本に住んでいる。もちろん人間だよ。部屋で寝ていたはずなんだけど……。それにしても君は日本語が上手だな。ハーフとかか?」

 混乱しつつも、俺はまだ夢だという可能性を捨てきれていない。だって召喚とかそんなのあるわけないだろ……。

「ニホン? 聞いたことないわね。かなり無茶な召喚だったし、人間ってことは異世界から召喚されたのかしら。ニホンゴ? っていうのは言語のことかしら。確かに通じてるわね。召喚の際に何か起こったのかしら。ワタシは創られた召喚獣だからハーフも何もないわ」

 美少女は俺の質問に律儀に答えてくれた。異世界? その単語は、俺の希望を打ち砕くのに十分だった。夢じゃない? それに召喚。つまりこれってファンタジーな世界でよくある異世界召喚じゃないのか……。でも普通は魔王を倒すために国が勇者を召喚するとか、そんなんだろ。なんで森の中で、しかも自称召喚獣に召喚されてるんだ俺。いや、美少女にっていうのはテンプレ通りだけど。

「つまり俺は、君に異世界から召喚されたってことなのか? なんでまた」

「あら、結構理解が早いのね。まぁ経緯はややこしい話なんだけどね。そっちにお爺さんが倒れているの、見える?」

 まぁ理解も何も異世界召喚物はゲームにしろ漫画にしろ多い。むしろ夢じゃないってことを理解しただけだ。

 まぁ一人じゃないってのはよかったかもな。目の前には美少女がいることだし。んで、誰が倒れているって? 俺は美少女が指差した方向を見た。

 そこにはいかにも魔法使いですっていう格好の爺さんが仰向けで倒れていた。ヒゲに杖にローブ。ってかこれ生きてるのか?

「あのお爺さんはワタシの創造主の召喚士なのよ。ワタシを創造して召喚した後に、どうも限界が来たみたいで死んじゃったみたいなのよ」

 あぁ、死んでいるのか……。知らない爺さんだし、そんなに驚かなかった。これには俺も薄情じゃないかと思ったが、そもそも異世界の時点で驚き成分はお腹いっぱいになっていた。

 話を続ける美少女。どうやら、この爺さんが新しい召喚獣を創ったはいいものの、寿命なのか創った反動なのか、直後にぽっくり死んでしまったようだ。

「それでアタシも創られてすぐに(マスター)なしって言うのもイヤだしね。発動が終わって消えかかってた召喚陣を、もう一回ワタシが発動させてみたの。主が生き返るとか、何か起こるかな~と思ってね」

 その結果が、俺だ。消えかかってた召喚陣と召喚獣による召喚で、色々と思わぬ事態が起きたってことになる。

「なるほど。一応聞くけど、俺を元の世界に戻すことは出来るのか?」

「無理ね。召喚陣自体はお爺さんの物だし、そもそも異世界からの召喚なんて聞いたこともないもの。もう一回やれって言われても出来ないわよ」

 ですよね……。内容自体はあれだが、いわゆる奇跡みたいなものだしな、この召喚。それに異世界召喚者の最後も、帰れるってパターンはあるにはあるが、それも魔王を倒した後とか神様に頼んでとかになるし。

 未練がないわけでもないし、帰れないのは残念だ。でもファンタジーの世界に憧れていないといえば嘘になる。男の子は程度の差はあれど、剣とか魔法とかそういうものを妄想した経験があるからだ。俺も子供のことはアニメの必殺技とかを練習していた口だ。さすがにもうこの歳ではファンタジーの世界ってことは理解しているし、中二病と呼ばれる病気にも掛かってはいないが。

「ってことは、俺はこの世界で生きていくしかないのか……。さて、どうしたものかな」

「アナタ、ワタシの(マスター)になってよ!」

 どうしたものかと考えていると、美少女が突然俺に向かってそう言った。

ご意見ご感想があれば嬉しいです。

8/21:三点リーダー、算用数字→漢数字修正

8/31:疑問符、感嘆符、会話文末作法修正

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