16 料理と意外な特技
投稿&予約済みの文章をgrepする機能って無いんですかねorz
Google検索するか、テキストに写すか……。
「さて、そろそろ半分くらいまで来たけど、先に進むかい?」
あれからコウモリ戦も特にピンチにならずに、順調に三階を進んでいた。今は、三階を半分くらいまで進んだ所の小部屋で休憩中だ。
「どういう事だ? イヴァン」
「うん、アキヒト君達と組んだばかりだからね。まずはお互いの確認と慣れの意味で三階のクエストも受注したんだけど、ここまで順調だからね。このままボスまで進むのもいいかなって思ってね」
あー、そうだったな。臨時で組んだパーティなので、色々な確認のためにとりあえず三階のクエストを目標にしていたんだった。
人数を増やしたところで、足手まといになる場合は戦力はマイナスになってしまう。なので、互いの実力や連携の確認、後は人柄かな。つまり、いきなりボスに行かずに、まずはお試し期間という訳だ。
すっかり忘れていた。
イヴァン達はいい人だし、戦いやすい。俺達のが冒険者としては後輩なので、偉そうな事は言えないが。
「アッキーもマリっちも強いし、アタシ達いい感じだと思うよー? だからこのままボス行っちゃおうよ!」
嬉しい評価をしてくれるが、やはりローザは脳筋さんなのかな。
「私はちょっと怖いです……。でもアキヒトさん達と一緒に頑張りたいです!」
おおっと? ミネットは慎重なのかと思っていたけど。頑張り屋さんなのかな?
「ワタシもいいと思うわ」
はい、マリアさんも行きたいと。
「みんな行く気満々みたいだね。アキヒト君はどうだい?」
さすがにボスとなると、今までの敵とは違うだろうし、俺としては安全な方向で行きたいが……。しかし、ここで反対意見を言うのもなぁ。
「そうだな……。確かに行くのもありかもしれないが、その前に四階を突破しないと駄目だろ? 四階の感触を見てから決定にしてもいいんじゃないか?」
Noと言えない俺日本人。
「うん、そうだね。まずは四階を突破しないとだね。それじゃとりあえず四階に向かおうか。みんな、いいかな?」
俺以外は元より行く気満々なメンバーだ。反対意見も出ずに、四階に向かう事になった。
それからも特に何事もなく進み、四階への階段前に到着した。
四階、イヴァン達もまだ行った事がないフロアだ。より慎重に進む必要があるな。密かに気合を入れていたのだが。
「さて、無事に四階前に着いたけど、そろそろいい時間だしご飯にしないかい?」
と、イヴァンが休憩を提案してきた。先ほど休憩したばかりだし、軽食も食べている。何故今なんだ?
「確かに結構歩いたしねー。ここでお休みかなー?」
「私は魔力は満タンですけど……、そうですね」
おや? みんなお疲れムードか? 俺はまだまだ平気だけど、仕方ないか。
「マリアはどうだ?」
「ワタシはまだ平気だけど……」
「この後だと、野営出来るポイントはここか五階への階段くらいしかないからね。ボスに挑む場合は、三階か四階への階段、つまりここだね、で野営するのが多いみたいなんだよ。それに街からだと大体半日弱の時間も経っているしね。気づいていないだけで、実は結構疲れていると思うよ」
なるほど。確かに三フロアを通過している。ワンフロアの目安が二、三時間だが、俺達は三階で少し時間が掛かっているので、ぶっ通しで十時間は篭っているくらいになる。
マリアとのペアよりも楽だったので、意識してなかったが、そう言われると疲れてきたかもしれない。
ダンジョンは魔物が多い。いつ魔物が襲ってくるか分からないため、休憩時でもいつでも動けるようにするのが基本だ。これまでの休憩もそんな感じだった。もちろん見張りを立てれば寝る事も出来るだろうが、落ち着いてというのは無理だろう。
なら寝る場合はどうすればいいか。答えは階段だ。フロアの出入り口付近、つまり階段付近は何故か魔物が来ない。ほぼ来ないと言っても過言ではない。なので、長時間休む場合や野営をする場合は、階段でやるのが常識だ。
これは冒険者ギルドで貰う冊子に書いてある。なので俺達も野営する場合は、階段付近で行っていた。もちろん万が一に備え、交代で見張りはしていたが。
「なるほど、分かったよ。そういう事ならここで野営だな」
「うん、それじゃ準備しようか」
「イヴァン達はいつもご飯はどうしているんだ?」
「僕達は料理を作っているよ。やっぱり暖かいのが欲しいからね」
出来合いを買って食べる冒険者もいるが、やはり作りたての料理というのが一番だろう。
「アキヒト君達は?」
「大体はワタシが作るわ。でも、アキも料理上手よ」
俺とマリアの二人の時は、ほぼマリアが料理を作ってくれた。能力の意地というか、女の仕事という感じで譲ってくれなかった。たまに俺にも作らせてくれたが、俺の料理も中々好評だった。
「イヴァン達いつも料理は誰が?」
なんとなくだが、イヴァンは料理出来そうに見える。同じくミネットも上手そうだな。ローザは大雑把そうだし、苦手と見た!
「うーん、それはだね……」
「んじゃ料理作っちゃおうかー」
「私も料理作るのです!」
ミネットもローザも作る気満々だな。しかし、作らせてばかりでは申し訳ないし、俺かマリアも手伝うべきだろうが、ここは女の子同士のがいいかな。
「それじゃマリアも手伝ってきたらどうだ? 俺とイヴァンで野営の準備はするからさ」
そう言いつつ野営に必要な道具、寝袋とかを魔法の袋から取り出した。
「そうね。それじゃ作ってくるわ」
食材や調理道具なども入っているので、魔法の袋をマリアに渡す。
「頼むな。それじゃ俺達男組は、野営の準備でもするか」
「えっと、ミネットは出来ればこっちを手伝って欲しいかな」
「えー、兄さんまたですか? 私も料理作りたいのですが……」
「ごめんね。また今度頼むからさ」
「むぅ、分かったです」
んーと? 意気揚々と料理を作ろうとしていたミネットを、こちら側に持ってくるという事は?
「まさか……。ミネットは料理苦手なのか?」
「……補助や回復魔法と同じ、とだけ言っておくよ」
ミネットが来る前にこっそりイヴァンに確認したが、なるほど。見た目は料理上手そうに見えるのになぁ……。ポイズンクッキングって訳なのかな。
三人なので野営の準備もすぐに終わった。室内なのでテントみたいなものはいらないし、寝袋出したり周りを整理するだけだしな。
料理を作って貰っていて悪いが、時間も余ったので三人でのお話タイムになった。まぁミネットを料理側に行かせないというのが主な目的な訳だが。
「ミネットが補助や回復魔法が苦手なのは、実際に見たことがないからなのか」
「はい、そうです。攻撃系は見たこともあるので、イメージしやすいんですけど、補助や回復は見たことがないのでイメージにくいのです」
「攻撃魔法は派手だし、使う人も多いからね。大規模な戦闘じゃないと、補助とかは中々見れないからね」
魔法はイメージだ。詠唱でイメージをさせる方法もあるが、やはり本人がイメージ出来るかどうかが重要のようだ。
「じゃあ俺の召喚の補助を見たから、イメージ出来るのか?」
「まぁ理屈はそうなんだけどね……。一回で出来るようなものじゃないんだよ」
「そうです。でもアキヒトさんのお陰で見ることが出来たので、練習すれば出来るようになると思うのです」
イメージが出来ないと魔法は出来ないか。その点、召喚士は契約さえ出来れば簡単に出来るようになるからな。そう考えると、召喚士っていいんじゃないか? なんで不人気なんだ……。
「って事は、回復も見たほうがいいって事だな。まぁ怪我をしないと見せられないんだけど」
「そうだね。でも怪我をしないようにするのが一番なんだけどね」
「そうですよ! 怪我をしないのが一番です!」
「それもそうだな。怪我をしたら治すから安心してくれ」
「ご飯できたよー!」
話している内に飯が出来たようだ。
他の人が作った料理を食べるのは、少し楽しみだ。
「ありがとね、ローザ。マリアさんもありがとう。これは美味しそうだね」
「マリっちが凄く上手なんだよ! もうビックリ!」
「ローザさんも手際良かったわ」
確かに旨そうだ。シチューみたいな汁物にパン、ジャガイモの炒めものかな? の三品だ。
「確かに美味そうだな。二人ともありがとな」
「むぅー、私も作りたかったです」
「さ、冷める前に食べようか」
少しどもってるぞ、イヴァン。そんなにか? そんなにミネットの料理はポイズンなのか? 逆に食べてみたくなってき……いや、止めておこう。
それよりもお腹も減ってるし、食べよう。
「頂きます!」
まずはシチューからだ。うん、うまい。具も沢山で食べ応えがある。それにこの味は。
「シチューはマリアが作ったのか?」
「ええそうよ」
「やっぱりな。いつも通り美味いな」
「そう? 良かったわ」
いつも食べている味だったので、マリア作だと思ったが、正解だったようだ。
「確かに美味いね」
「うーん、マリっち料理上手ねー!」
「美味しいし、暖まるです」
イヴァン達にも好評のようだ。
シチューがマリア担当なら、炒めものはローザ作になるのかな。
見た目は普通の炒めものっぽいが、ジャガイモが少し違うな。まずは一口っと。
「お、この炒めものも美味いな」
美味い。これはジャガイモに違いない。でも少し表面がパリパリしていて中はホクホクで、いい食感だ。ベーコンに玉ねぎみたいなものにジャガイモ。味付けもいい。パンにもシチューにも合う。
「そう? それはアタシが作ったんだよ!」
やはりローザ作か。ジャガイモは表面を少し焼いたのかな。シチューにはない食感を楽しめる一品だ。
「うん美味しいね。村でよく食べていた味だよ。僕らの村は馬鈴薯が多く取れるからね。こうして料理に良く使うんだよ」
なるほど。故郷というかお袋の味みたいなものなのかな。
「ローザは料理上手なんだな。これならいいお嫁さんになれるんじゃないか?」
「え? そ、そう? いやー照れるねー」
「僕もそう思うよ」
「イヴァンまで! もー、止めてってば!」
「い、痛いよ……」
照れたローザがイヴァンの背中を叩いている。かなり強いが、照れ隠しか?
そんな中、マリアは黙々と食べていた。こんな感じで、楽しい食事となった。
「私だって……料理上手なのです……」
ご意見ご感想があれば嬉しいです。
UVが8k弱です。
ROM専のときは、面白そうなのをランキングから発掘していましたが、
みなさんどうやっているんでしょうか。