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召喚獣による召喚で異世界で召喚士になりました  作者: bamleace
一章 ~ワーズヴェシン街~
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15 コウモリと赤コウモリ

むぅ、話があまり進まないですね……

 早速ダンジョンに行こうということで、俺とマリアはイヴァン達と一緒にダンジョンにいた。

 人数が多いのもあるが、一階はサクサクだった。そもそも、俺達だけでも一階なら余裕だったのだ。そこに、俺達よりも先輩なイヴァン達が加われば、さらにサクサクという事だ。

 イヴァンが片手剣と盾で敵を受け持ち、ローザが斧で、ミネットが魔法で倒す、というのが三人の戦法だった。そこにマリアという前衛が加わり、一階は何の問題もなく突破出来た。

 俺? 俺は何もする事が無かった。やばそうなら補助をするし、怪我をしたなら回復をするつもりだ。

 だが、そんな事態が起きていないので、後ろから付いていっているだけになる。少し申し訳ない気分だ。マリアという召喚獣を使役しているので、正確には何もしていない訳ではないが、傍から見ると何もしていないだろう。

「やっぱり人数が多いと楽だね」

 人数が多いだけでは有利になるとも限らないが、イヴァンも楽だと感じたのだろう。俺達を評価してくれているのかもしれないが、やはり申し訳ない気持ちになる。

 そうそう、魔法だが、ミネットが戦闘で使った事で初めて見ることが出来た。魔法は基本イメージで放つ事が出来るが、詠唱というか流派があるらしい。詠唱の内容や、そもそも無詠唱とかだ。

 ミネットの場合は、属性、意志、形状の三節から構成される一般的なものらしい。『炎よ、敵を滅する球となれ! ファイアーボール!』みたいな感じだ。

 これを毎回言わないといけないのは恥ずかしいと思うのは俺だけだろうか。

 もちろん無詠唱という方式もあるが、イメージが威力にも影響するため、威力、発動時間、使用魔力の点から、三節での詠唱が一番バランスがいいらしい。


 そんな事を考えていたら、魔物とエンカウントしたようだ。一階はサクサク進んで、今は二階にいる。俺達からすれば攻略中の最前線のフロアだが、やはり前衛が多いと楽だ。

 二階の魔物は、一階にもいた泥人形と、東の森にいたリトルホーンラビよりも一回りでかいホーンラビの二種類だ。

 ホーンラビは結構でかい。リトルの時はちょっとでかい兎くらいだったのに、ホーンラビはもう柴犬レベルのサイズだ。角は相変わらず先が丸いとは言え、あれで体当たりされたら痛いだろう。

 そんな訳で、遭遇したのは泥人形三体とホーンラビ三匹という構成だ。少し数が多いかな? たまには一仕事するかな。

「来い、サラマンダー! ローザに補助だ!」

 とりあえずサラマンダーで腕力の補助をしておく。

 一階の様子を見ると、一番近接攻撃力があるローザは、泥人形はほぼ一撃だった。当たりどころなのか、倒しきれない場合もあり、その時はマリアかイヴァンの追撃が必要だった。

 補助して一撃確定になれば、戦いやすくなるだろう。

「お? なんか力が湧いてくるよー! アッキーありがと!」

「これで泥人形は一撃で倒せると思うんだが、どうだ?」

「りょーかい。それじゃやってみますか!」

 ローザは早速とばかりに泥人形に攻撃を仕掛けた。獲物は斧。力いっぱい攻撃すれば、泥人形は真っ二つに出来る力量はあるのは一階で分かっている。たまに出来ない時は、魔物の個体差か当たりどころとかでバラツキが出るのだろう。

 なので腕力を上げた。これで一撃確定になれば、補助した意味があるという事だ。無かったら悲しい……というか役立たずだ。

「うりゃー!」

 ローザの斧が泥人形を襲う。

 気になり観察していたが、無事に一撃で仕留める事が出来たようだ。良かった。

「よっし! いつもよりなんか楽だったよ! これが補助かー」

 イヴァン達も気になっていたようだが、追撃不要を確認すると、他の魔物に向かっていった。

 しかし一撃で倒せたからよかったものの、ローザは少し先行気味だな……。補助を信じてくれていたという事なのかな。

 その後も、イヴァンが兎を盾で受け持ちつつ、マリアとローザが他の敵を各個撃破して、終わってみれば圧勝だった。

 あれ、これ補助いらなかったんじゃね?

「アキヒトさん凄かったのです! 補助凄いのです!」

「補助があると楽になるね。アキヒトくん、ありがとうね」

「いやー、力がみなぎってたよー。病みつきになるねー」

 イヴァン達は絶賛だった。うん、補助して正解だったな。


 そんなこんなで二階もサクサクと進んで、早くも三階に来ていた。

 時計がないので正確な時間は分からないが、今までの俺達の記録では最速に違いない。攻略情報にあった目安時間くらいだろうか。そうなると、入り口から大体六時間ってところになる。

 さすがに休憩をすることになり、三階の入り口で休憩を取ることになった。

 三階の魔物は、一階にいたコウモリと、それの色違いで一回りでかいコウモリ、アサルトバットだ。よくある色違いで少し強いって奴のようだ。ちなみに色は赤だ。

 パワーも速さも、一階のコウモリよりも上らしい。

 力押しでは倒せないし、飛んで動くしで近接には厄介な事この上ない。そのため、ここ三階がこのダンジョンの壁という訳だ。

 事実、イヴァン達も攻略が思ったように進まないらしい。

 イヴァン自身は守り側に重点を置いているため、攻撃の役割はミネットとローザになる。

 対コウモリでは、ローザの斧は不向きだ。当たれば一撃で倒せるはずだが、当てるのは難しい。

 対してミネットの魔法は、当たりこそするが、一撃で仕留めるには至らず、さらに一匹ずつになるため、時間も掛かるようだ。

 さらに魔法でヘイトを稼いでしまうのか、コウモリがミネットに向かってきてしまうので、敵を引き受けているイヴァンの意味がなくなってしまう。

 結果戦闘時間も長くなるし、怪我もしたりで、攻略速度がガクッと落ちるようだ。

 休憩中に、そのような会話をして、三階からは気を引き締めて行く事になった。俺とマリアが未経験なフロアなのもあるし、先述通り、イヴァン達も攻略中の最前線なためだ。


 休憩も十分に取ったので、三階の攻略を進める。

 おっと、早速エンカウントだな。バサバサと音がするから分かりやすい。

 普通のコウモリ三匹に色違いが二匹か。確かに色違いは少しでかいな。それに、もう数が多いのが当たり前になってきてる。マリアと二人では対応は難しかっただろう。

 今はイヴァン達含めて五人だが、俺は何か召喚しないと実質四人だし、何か召喚しておくか。

「来い、シルフ!」

 対コウモリには、風のシルフが一番だ。敏捷アップも出来るし、攻撃も有効だしで、シルフさん便利!

「とりあえず三人に敏捷アップだ」

「あれー、人増えたー? 頑張るよー!」

 そうか。イヴァン達の事を紹介するのを忘れていたな。こちらの手を明かす事になるが、イヴァン達に召喚獣の紹介はしておいたほうが良かったかな。

 まぁいいか。イヴァン達も何も言っていなかったし、補助と回復が出来るって確認だけで良かっただろう。

 とりあえず、今は様子見で前衛組に補助をかける。

「ありがとう、アキ」

「サンキュー、アッキー」

「アキヒトくん、僕にもかい? ありがとうね」

「これで動き易くなるはずだ。腕力よりもいいと思う」

 素早くなれば、コウモリの攻撃を避ける事も出来るし、攻撃もし易くなるはずだ。さすがにローザの斧は意味がないレベルかと思うが、マリアやイヴァンの攻撃が当たりやすくなれば、意味があるはずだ。

 そう考えている間に、マリアが普通のコウモリの方を、一匹倒していた。

 元々補助無しでも戦えていたからな。順当な戦果だ。

「やるね、マリっち。アタシも負けてられないねっと! ってやっぱ駄目かぁ」

「ローザは敵の牽制で。僕とマリアさんで倒すよ」

 ローザが負けじと斧を振るうが、コウモリには躱されてしまっていた。

 しかし、マリアという攻撃役が増えたため、これまでよりも戦いやすくなっているみたいだな。うーん、補助の意味あったのかな……。

「私も頑張るです! 風よ、敵を撃ちぬく矢となれ! ウインドアロー!」

 召喚の補助と前衛の活躍に乗ったのか、ミネットが魔法で援護攻撃をしてきた。属性は風のようだが、確か一撃では倒せずに、タゲを取ってしまうって話しだったはずだ。

 RPGなんかでは、魔法は基本必中なパターンが多い。もちろん無効化とか吸収とかあるので、魔法を放てばダメージになるという訳ではない。

 しかし、この世界という現実では、魔法といえど狙って撃たなれければ当たらない。あさっての方向に撃てば当たらないし、魔物が避ける事もある。前にシルフの攻撃も避けられた事もあるので、魔法を当てるというのも難しいと知っていた。

 先ほどのミネットのウインドアローは、外れる事無くマリアが相手をしていた赤コウモリに命中した。が、倒すまでには至っていないようだ。もっと威力があれば倒す事も出来ただろうが。

 大したダメージではないのか、それとも怒っているのか分からないが、聞いていた通りに赤コウモリがミネットに向かって来ている。

「くっ、ミネット!」

 イヴァンがそれに気づくも、ミネットに向かっている赤コウモリを止める事が出来る距離ではなかった。そもそも既に二匹を相手にしているので、キャパオーバーだ。

 それまで相手をしていたマリアが赤コウモリを追いかけるが、さすがは赤コウモリ。普通のコウモリよりもでかい癖に早いく追いつけない。

「きゃ! こっちに来ないでです!」

 従来のパターンでは、魔物がミネットに向かって混戦になり、辛うじて魔物を倒す事が出来るも、怪我を負ったりで大変だった。

 だけど、今回は俺とマリアがいる。後衛は一人じゃない!

 俺はミネットを庇うように立ち、杖を構える。赤コウモリはそんな俺を気にすること無く、コースを変えずに俺に向かって来ていた。

「アキ!」

 赤コウモリを追いかけてきているマリアが叫んでいる。マリアは俺が何をするか分かっているはずだ。

 赤コウモリ。確かに早い。普通のコウモリよりも早い。だが、それでも俺には遅い!

「ふんっ!」

 杖を思いっ切り振り切る。ただの早い(百五十キロは出てないはずだ)ストレートボールなんざ、打ち返すのは余裕だ。

 後衛に向かってくるコウモリは、野球のボールの如く打ち返す。それが俺の攻撃だ。もちろん、倒しきる事が出来ないのは分かっている。止めはマリアに譲るさ。

「せいっ!」

 俺が打ち返して体勢を崩していた赤コウモリを、追いかけてきていたマリアが突いた。

 対コウモリの王道のコンボだ。

「ありがとう、マリア。こっちはもう大丈夫だから、イヴァン達の所に行ってくれ」

「了解よ」

 まだコウモリ達は残っていて戦闘中だ。攻撃の要であるマリアが前線から抜けるのは、結構な痛手になる。俺は大丈夫な事を伝え、マリアに戻るように告げた。

 前線に戻ったマリアだが、程なくしてコウモリを倒す事が出来た。

「ふぅ。終わったか。ミネット、大丈夫だったか? 怪我とかないよな?」

「ア、アキヒトさん。ありがとうなのです」

「イヴァン達も怪我はないか?」

「うん。僕もローザもマリアさんも大丈夫だね。アキヒト君、ミネットを守ってくれてありがとうね」

「うんうん。補助も凄いけど、アサルトバットを杖で殴り飛ばすなんて、アッキーって凄いね!」

「そうだね。少し見てたけど、あれは驚いたよ。それにマリアさんの追撃もね。息がピッタリというかね」

 やはり後衛というか召喚士は、普通そんな事はしないんだろうな。

「そうか? 前にも普通のコウモリが俺に向かって来たことがあってな。その時も同じように打ち返したんだけど、倒しきれなくてさ。結局マリアが倒したんだよ」

「そう、その時と同じ。打ち返すと思っていたから、構えていたの」

「なるほどねー。うーん、アッキー。斧持ってみない?」

 いやいや。さすがに斧は無理だし、斧持ってる召喚士とか見たことないぞ、ローザ。

「い、いや。遠慮しておくよ」

「そっかー。斧いいのになぁ……」

 まさかの斧フェチなのか?

 しかし、ミネットには申し訳ないが、対コウモリではミネットの魔法は混乱の元だな。イヴァン達三人の時では、重要なダメージソースだったかもしれないが、俺とマリアを含む今のパーティでは、魔法による攻撃は不要に思える。

「今回は良かったけど、さすがに毎回うまくいくとは限らない。だからミネットは、瀕死のコウモリを魔法を攻撃したほうが良くないか? 倒せれば、こっちには向かって来ないんだし」

 そうイヴァン達に提案してみた。毎回コウモリが打ち返せれば、それに越したことはないが、さすがにそうも言っていられない状況もあるはずだ。

「もちろん、倒しきれなくてこっちに向かって来た時は、俺が対応する」

 理想を言えば、多少時間が掛かるが前衛だけで相手をするのが最善だろう。だがそれだとミネットが可哀想だ。なので、確実に仕留められる方法が、瀕死相手のコウモリという訳だ。

「えと、このフロアでは私は魔法を我慢するです」

「えーと、ミネット、いいのか?」

「はい、アキヒトさんが怪我をしてしまったら大変です!」

「と言っているが、イヴァンいいのか?」

「ミネットがそう決めたなら僕は良いよ。ボス戦ではミネットの魔法は頼りになるしね。今は温存しておこう」

「ならアタシ達が頑張らないとねー。イヴァンもマリっちも頑張ろ!」

「分かった。それでも万が一にもコウモリが来たら、俺が対応するからな」

 コウモリがしっかり対処出来れば、このフロアも難しくはないだろう。

 というか、対コウモリでは俺も補助と回復くらいしか出来ないと言う事になる。もちろん、こっちにコウモリが来たら打ち返すが、それもそれだけだ。召喚獣で魔物を一掃とか出来ればいいんだが、さすがにまだそのレベルではないという事だ。

「それじゃ先に進もうか。ローザもマリアさんも頼むね」

 誰も特に怪我もしていなかったので、先に進む事にした。

ご意見ご感想があれば嬉しいです。

12/14:誤字脱字修正

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