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召喚獣による召喚で異世界で召喚士になりました  作者: bamleace
一章 ~ワーズヴェシン街~
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09 ランクアップとダンジョンのお勉強

 初めてのクエストから数日後。

 あれから薬草納品やリトルホーンラビなど、出来るクエストを毎日行い、今日やっとランクEに上がるためのポイントに達した。

 さすがに初ランクアップなので感慨深いものがある。

「はい、これでお二人ともランクEです。おめでとうございます」

 そう、冒険者ギルドの猫耳さんに、そっけなく事務的に対応されたとしても、ランクアップなのだ。関係ないが、いつもの猫耳さんの名前はセラというらしい。

「はい……、セラさんありがとうございます」

 素っ気ないのには理由がある。ランクFのクエストはどれも危険度が低く、子どもでも出来る。そのため、小遣い稼ぎにというのがこの世界の常識なのだ。だからランクEは子どもでも成れる。

 ランクFは記念発行や身分証代わりに、ランクEは小遣い目的の子どもから、駆け出し冒険者という扱いらしい。

 つまり、俺たちのランクアップは別にめでたくはなく、しかもこの年齢なのでむしろ遅いという訳だ。


 さて、ランクEに上がったので受注できるクエストも増える。危険度は増すだろうが、その分報酬も増えるだろう。ランクFのクエストだと、さすがに生活がギリギリだったからな。

 ランクEのクエストは何があるのか見てみよう。

 東の森の奥地で取れる素材や魔物討伐、南東にある村までの護衛などだ。なるほど、南東に村があるのか。護衛任務とか傭兵みたいだなぁ。だがそれよりも目を引くのがあった。

 ダンジョン内の魔物討伐。そう、ダンジョンだ。存在は知っていたがまだ見たことはない。ダンジョン……、異世界ってやつじゃないか!

 そうなるとダンジョンに行ってみたいが、RPGのお約束的に魔物エンカウントの高さやボスがいたりなど、簡単なものではないはずだ。

 まだまだこの世界について知らない事だらけだが、差し当たってはダンジョンについて知りたい。

 教えてマリアさん!


「ダンジョンってどんな感じなの?」

 ランクアップ記念という訳ではないが、俺たちは街の喫茶店みたいな店で休憩していた。

 ちなみに一回だけ西にある宿屋にも行ったが、ザ・冒険者って感じのごつい雰囲気だったのでやめた。東の女将さんのがいい。

「ダンジョンは、基本的に魔物が多いわね。後は場所にもよるけど階層があるから一日での攻略は無理ね」

「ダンジョンって沢山あるの?」

「沢山あるわね。具体的な数は分からないけど」

「そうなのか、なるほどね。ダンジョン関係のクエストがあったから行ってみたいんだけど、何か注意する事ってある?」

「えーと、そうね。さっきも言ったけど、魔物が多いから準備が必要ね。どのくらい篭もるのかにもよるけど、日帰りって訳にはいかないでしょうから、食料とか休憩するための道具も必要になると思うわ」

 そうか。時間が掛かるから食料とか調理道具とかの道具も必要になってくるのか。魔法の袋を買っておいて正解だな。

「後はそうね……、細かいことは冒険者ギルドの人に聞いたほうがいいと思うわよ」

「ありがとな。んじゃ冒険者ギルドで聞いて、必要な物買って明日からダンジョンのクエストやってみるか」

「了解よ」

 今後の方向性も決まった。せっかくの異世界なんだし、ダンジョンに挑んでみよう。


「ダンジョンですか?」

 俺たちは冒険者ギルドに戻り、ダンジョンについての情報集めをするために、セラさんに話を聞いていた。

「はい、ランクEになったので、ダンジョンのクエストを受注しようと思っているのですが、ダンジョンというのが初めてなので、ご教授頂ければと」

「そうですか。ダンジョンというのはですね、基本的に魔物が多いですね。外にはいない魔物や凶暴な魔物も多いです。危険度は高くなりますが、素材もいいのがありますね。それに複数のフロアがあります。長丁場になることもザラですし、一定階層ごとに他よりも強い魔物がいたりします」

 やはりダンジョンの魔物は他よりも強いし、それにボスがいるっぽいな。一定階層ごとってことは、中ボスみたいな存在なのだろうか。

「この強い魔物も含めて、魔物は一定周期ごとに発生します。そもそも魔物は瘴気が集まって発生すると考えられていまして、ダンジョンは特に瘴気が濃いようです。そのため強い魔物が生まれやすいとされています」

 セラさんの説明は続く。魔物の生まれる原因か。なるほど瘴気ね。悪い空気とかが集まってって事だろう。

「後は、ダンジョン内には装備品などが収められている箱が落ちているようです。これらは宝箱と呼ばれていて、他の冒険者の荷物だとか、魔物の装備の一部とされていますが、特に危険な物ではないので、拾った方が自由に使って構いません」

 宝箱ってやつかな? RPGでは普通にあるけど、確かにあれって不自然だよな。なんで武器とか防具がダンジョン内に落ちているのかと不思議だったわ。

 この世界でも原因はわかっていないみたいだ。確かに、ただ落ちているなら誰かの落し物になるだろうけど、ご丁寧に箱に入っているのはおかしいからな。拾った人の物になるなら、いい装備とか狙うのもいいだろう。

「大抵のダンジョンは攻略が進められていて、出てくる魔物やマップなどの情報が、冒険者ギルドで販売されています。またダンジョンの入口には、到達済みの好きなフロアに移動出来る魔法陣も設置してあるので、攻略には便利です。有料ですけどね」

 攻略情報ってやつか。情報は大切だからな。それにワープみたいな事が出来るのか。行きはギルドカードから行きたいフロアを選択するらしい。有料だが後清算だし、楽そうだなぁ。帰りもワープ出来ないのかな。

 こういう情報を事前に勉強しておけば、不足の事態にならない限りは大丈夫だ。まぁどんなに準備していても大学受験に失敗したりもするんだけどな……。

 ゲームをプレイするときも攻略情報は結構見てたしなぁ。最初から見ると面白みに欠けるので、見ない場合が多かったけど、途中から見たい欲に駆られて見てしまうんだよね。

 それで取り逃しているアイテムとかイベントがあって、最初からプレイし直すか、周回プレイするか悩むんだけど、結局そのまま一回クリアして、それでオシマイってケースが多い。そこまでゲーマーじゃなかったしな。

「この街ですと、西にあるダンジョン、ウィルワーズが一番近いですね。クエストも取り揃えています。このダンジョンは踏破済のダンジョンになっていますので、初級者から中級者向けですね。ランクですとDとE相当です」

 そうそう、西のダンジョンだ。初級者から中級者向けね。最初にもってこいのダンジョンじゃないか?

「あの、踏破済というのはなんですか?」

 セラさんの説明で気になった箇所を質問する。

「はい、踏破というのはダンジョンの全貌が調査完了ということです。出てくる魔物やマップ、主な宝箱の中身の調査が終わっています。なのでダンジョンとしては難易度は低いですね」

 つまり攻略済って事か……。異世界なんだし、知らない魔物とか、未踏のフロアとかそういうのを期待していたんだが、さすがに調査はするよな……。

 まぁ全部分かっているなら危険も少ないだろうし、最初なんだし良しとしよう。

「ウィルワーズの情報をご購入されますか? 銀貨五枚になりますが」

 銀貨五枚……。高いか安いか分からんが、情報は大切だ。クエストを何回かすれば元は取れるだろう。お金は大切だが、情報は攻略のし易さや命にも関わる。ここは買っておくべきだろう。

「はい、買います」

「分かりました。それではギルドカードをお願いします」

 買うことにして、お金とギルドカードをセラさんに渡す。ギルドカードは何に使うんだ?

 しばらく待っていると、セラさんの作業が終わったようだ。ギルドカードが返却される。

「はい、完了しました。ギルドカードに情報が表示されるようになっています。一応同じパーティ内では共有されますが、他の人には公開しないようにしてください」

「分かりました。ありがとうございます」

 おー、ハイテクだな。こう考えると、ギルドカードって情報端末みたいだな。スマートフォンというより電子辞書に近いかもしれないが。

 それにお金を取る情報だし、やはり言い触らすのはダメか。いやしないけどね。

「他に何かご質問は御座いますか?」

「えーっと。行きは魔法陣で行けますが、帰りも似たような手段はないんですか?」

「はい、あります。ダンジョン内から地上に転移する魔法や魔道具があるので、それらを使えば地上に一瞬で戻れます。ただし、魔法はかなり高位な物になりますし、魔法道具も消耗品で高いので、緊急時以外では使われないでしょう。なので、帰還の事も考えてダンジョンに挑んでくださいね」

 あるのか、ダンジョンから一瞬で地上に戻る魔法。RPGではさして難しい部類ではなく、序盤で覚えることが出来る代物だったが、ここでは難しいのか。

 魔法道具も消耗品で高いし、セラさんの言うとおりに緊急時に使うべきだろうな。一応買えるなら買っておいたほうがいいかな。

「ありがとうございます。今の所は他に何も無いです。で、早速ですがダンジョンのクエストを受注したいのですが、何がありますか?」

 セラさんのダンジョン講座を終え、クエストを受注する事にする。ちなみにマリアは黙ってはいるが、横にいて今までの説明をしっかり聞いていた。

「そうですね。ウィルワーズの一階に出てくる魔物の素材集めがいいと思いますよ。数匹倒せば手に入る量ですし、アキヒトさん達はランプアップ直後なので、この辺りがいいかと」

「ならそれでお願いします。マリアもそれでいいよな?」

「えぇ、問題ないわ」

「はい、それではウィルワーズ一階の素材納品になります。対象はマッドプーペとケイブバットです。詳しくは、さきほどの情報と合わせてギルドカードをご確認ください」

「色々ありがとうございました、セラさん」

「はい、それではお気をつけて」

 再度ギルドカードを渡し、クエストを受注した。ギルドカードに対象となる魔物の名前と対象部位が表示されているのを確認し、受付を後にする。


「それじゃさっき買った情報を確認してみるか」

 早速さっきの情報を確認する事にした。

「あぁ、マリアのギルドカードにも表示されるんじゃないか? 共有されるって言ってたし」

「え? そうなの?」

 マリアが俺のギルドカードを見ようとしていたので、セラさんが言っていた事を思い出し助言する。共有されるってことは、マリアのギルドカードにも表示されるんだろう。仕組みは分からんが、きっと異世界パワーだ。

「表示……されてるわね。……残念」

 表示されているみたいだな。なんか変な事言っていたが、なんだろうか。まぁ気にしないで情報を見るか。

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