BBQ
「わーい。バーベキューだーいすきー」
とある月、とある日、とある曜日に、とある一家が三人揃って河川敷でバーベキューをしていた。
「おやおやまーくん。ちゃんとお野菜も食べないと駄目ですよ」
「やー。お肉がいい」
「好き嫌い言っちゃいけません! パパからも何か言ってあげてよ」
「そうか、マサアキはお肉が大好きか……よーし! パパ、じゃーんじゃん焼いちゃうぞ」
「んもう、パパったら! 野菜も焼いてよ」
ピーマン、タマネギ、ネギ、ニンジン、シイタケ、カボチャ。子供は緑黄赤白の色鮮やかな野菜たちには、ほとんど興味を示さないで焼けたと思った肉を片っ端からとっていく。
「ほら、シイタケ。美味しいよ」
お母さんが、お肉ばかりの我が子にシイタケのプレゼント。だけど……、
「お母さん、あげるー」
子供は、ポイッとすぐさま母の皿にシイタケを返してしまう。
「こんなに美味しいのになー」
もぐもぐと、お母さんは返されたシイタケを美味しそうに頬張って見せるものの、すでに子供の興味は次の焼けた肉に移っていた。
一家のバーベキューは終了し、子供は家へと帰る一家の車の後部座席で膨れたお腹をのぞかせてすやすやと眠っている。
「それにしても大はしゃぎだなあ驚いたよ。コイツ、一人であの肉を一キロも平らげたぞ。化物みたいだ」
「よく食べてよく眠って、きっとこの子は大きく育ってくれますよきっと」
運転席と助手席、父母二人は並んで我が子のことを話合い、仄々とした空気が車内に流れる。
「今度、またバーベキューしましょうよ」
「ああそうだな。それに思ったよりも費用はかからなかったし」
「子供は楽ですよね。お肉は、安くても美味しい美味しいていって喜んでくれるんですもの」
「お陰で、本当のメインディッシュだった高級野菜を、俺達二人がほとんど食べれたからな」
「あの子本当にもったいないわよね。あれほど『お野菜も食べなさい』と言ってあげたのに……」
お野菜の味の大半は品種で決まるんですってよ。
私は肉も野菜も好き嫌いなく大好きです。港町の育ちなので魚はより大好きです。ただし、船の燃料代の上昇に伴い、肉よりややお高いのがネック。