東を尋ぬる
掲載日:2013/02/02
嗚呼…
嗚呼…
間に合わなかった
先程まで晴れ渡った空が
突如黒に染まり
嵐を呼んだ
その時に悟ったのだ
もう
あの方には
二度と
合間見える事はないでしょうと
力強く
一騎当千という剛を持ちながら
仏のごとき
優しさと学をもっていた方
それなのに
幼き頃の
粗暴の悪さに恥じ入り
未だ
修行足りぬと言う姿に
心惹かれぬ女がおりましょうか
結ばれぬ事を知りながら
お慕いするのは愚かな事だと
知っております
いつか
アコと呼ばれる事でしょう
それでも
それでもよいと
思うていたのに
嗚呼…
嗚呼…
せめて一目逢いたい
雷鳴轟く中
暴風が吹き荒れる中
あの方の元へひた走る
髪が乱れ
鼻緒が切れ
見れぬ姿となろうとも
それでよい
逢えればよいのだと
生きていてくれればよいのだと
あの方に説法された悪僧が
改心すれば良いものを
逆恨みしていた事を知っている
そして
殺めてしまおうと
計画していた事も
悪僧一味の侍なんぞが
私に懸想して
嫁がさせようと
計算していた事も
岩壁まで来てみれば
あまりの惨事に
足元から崩れそうになる
叱咤しながら
あの方を探すが
何もない
ただ
ただ
風に遊ばれる
見たことのある杯が
転がるだけだった
参考文献:日本の民話6(諸事情により他の文献の公開は控えさせて頂きます)




