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Transmigrate to Dragon  作者: 八部伍型
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07 侍女

Transmigrate to Dragonを開いて頂き、ありがとうございます。


おかげさまで、一昨日1万PV達成しました。お気に入りも50件を超え、感謝感謝です。

精一杯頑張るつもりですので、引き続きよろしくお願いいたします。

 眩しい光と一瞬の前後不覚とでも言おうか、ぐんにゃりとしか感覚がしたかと思ったら転移は終わっていた様だ。

 

「・・・ついたのか?」

「はい、無事に竜界へと転移した様です。」


 ペリィが俺の独り言に返事をくれた。

 思わず振り返って見てみると、ペリィはキョロキョロと周りを見渡していた。

 

 俺もまわりを観察してみる。

 魔界側の扉の間と全く同じような部屋の作りだった。

 違いと言えば、魔方陣が床ではなく天井に書いてある事位。

 そして何より


「誰もいないな・・・。」


 そう、魔界側にはたくさんの魔族と天使族の者たちがいたのに、この部屋には誰一人としていなかった。


「ケーフィヴ様、ジッとしていても仕方ありません。移動しましょう。」

「ん?あ、ああ。そうだな。確かにここにいても何の進展もなさそうだしな・・・。とりあえず、この部屋から出るか。」


 俺とペリィが初めての転移に驚いて、キョロキョロしている間に、ミリは荷物に異常がないか点検して移動する準備を終えていた様だ。

 移動を促してきた。

 扉を出るとやはり、廊下に出た。

 左右両方に広がる廊下だ。


「ぱっと見、魔界側の砦と同じに見えるな・・・。扉の間までついて来ただけだったから、はっきりとは言えないが・・・。」

「そうですね・・・。私にも魔界の砦と同じように思えます。」

「同じでしたら、左手の方に進みまして、左に2回曲がり、さらに右手に見える扉に入れば玄関ホールに着けるかと。」

「をを!でかしたぞ、ミリ!数回曲がったのは覚えているが、まさか案内がいないとは思ってもいなかったからなぁ。」

「お手柄です、ミリ。案外、冷静に観察していたのですね。」

「いえ、そんな・・・///」


 ペリィも道順までは覚えていなかった様だ。

 早速ミリの言った通りに進んでいく。

 そして2回曲がった所で俺達は立ち止った。


 右手の奥にはミリの言った様に確かに扉がある。

 そして左手にも扉があり、その扉の前だけ廊下の幅が広くなっており、向かって左手に天使族、右手側に魔族の衛兵らしき格好した者達が壁沿いにずらっと約20名ずつ位並んでいたのだった。


「なんだ、これは・・・。」

「魔界側はこんな風になってなかったですよね。」

「そうね・・・、確か普通の廊下と扉だったかと。もちろん、扉の前には衛兵がいたけれど。」


 圧巻な光景と、なにやら圧力らしき物を感じていたが、意を決して、そのまま進む。

 右手に扉がある所まで来たが、誰も話しかけてきたりしなかった。

 薄気味悪い感じもしたが、長く居たくはなかったのでさっさと扉をくぐった。




◇ ◇ ◇




「いらっしゃい、ケーフィヴ。」


 扉をくぐった途端にそんな声が聞こえてきた。

 えっ、この声はっ・・・


「メラ姉っ!!」


 メラニーの姿を確認するなり、ケーフィヴは駆け寄っていた。


「ようこそ、竜界へ。無事でよかったわ。疲れたでしょう?」

「ありがとう、メラ姉。大丈夫だよ、全然疲れてないよ。あ、でもペリィ達は疲れてるか。休憩なしに飛んで、すぐさま転移してきたし。」

「お気遣い有難うございます。しかし、私どもは平気でございますから、どうぞ・・・。」

「いやいや、お前たちこそ無理はするな。少し休ませてもらおう。いい?メラ姉。」


 気遣いは結構だと断るペリィの言葉に被せるようにして、ケーフィヴは休憩することをメラニーに告げた。


「ええ、もちろんよ。ここのホールの左右にも休憩出来る部屋はあるんだけれど、落ち着かないから一先ず、外に出ましょう。もう少し頑張ってちょうだい。」

「ああ、分かった。確かにここは全然落ち着けないからね。」


 そう言いながら、外に出て行くメラニー達の後ろに続いて行く。


 メラニーの後ろに控えていたメイド達は逆に、ペリィとミリの所に来て、荷物を分けていた。

 お疲れ様などの声をかけて労っている。

 うん、さすがメラ姉のメイド達だ。

 これならペリィ達も一緒に巧くやっていけるだろう。

 なにせ、これからは同じ屋敷で一緒に暮らすのだ。

 仲がいいに越したことはない。



 外に出ると、なんとものどかな風景が広がっていた。

 一面澄み渡る青空と緑の大地、ところどころに木が生えている草原だった。


「をを~!これはいい景色だ。のどかだなぁ。」


 ケーフィヴは雲ひとつない青空に、前の世界の事を久しぶりに思いだし感動していた。

 

 軽く5、6分はぼ~っと立ち尽くしていたのだろうか。

 はっと気づくと全員がケーフィヴを見ていた。


「あ、えっと・・・その・・・ごめん、ぼ~っとしちゃった。」

「ううん、ケーフィヴが竜界を気に入ってくれたようでなによりだわ。」


 優しく微笑んでくれた。

 くぅ~さすがメラ姉!優しいぜw

 

「メラ姉。休憩ってどこでするの?ぱっと見た感じ、近くに建物なんてないけど・・・。」


 後ろには、今出て来たばかりの魔界のような城壁こそなかったが、全く同じつくりの砦があるが、それだけ。

 あと見えるのは、右手の方角の林?森?の向こうに、塔の先端らしきものがかすかに見えるくらいだ。


「うん、ケーフィヴの荷物もたくさんあるだろうと思って馬車で来たから、それに乗って少し行った所の丘の木陰でゆっくりしましょう。」

「お~、ピクニックみたいだ。」

「ふふっ、そうね。さ、行きましょ。」


 砦から少し離れた木の下に、馬車が2台待たせてあったので、ケーフィヴ達は乗り込み出発した。


「ん~、こうゆうの~んびりしたのもいいなぁ。」


 初めて乗った馬車に揺られて、のどかな風景を眺めながら呟いた。


「そうですね、お屋敷でもケーフィヴ様はいつも何かしらなされていらっしゃいましたから。」

「あら?そうなの?」

「ええ。勉強やら武術やらを、まるで100年しか生きられない人族の様な過ごし方をされていましたから。」


 うわ、ぺリィ鋭いな・・・。

 

「ふ~ん・・・。昔から色々な事を聞いてきたり、本を読んでいたのは知っていたけれど、そんなにねぇ。どうせ、竜界(こっち)の学校でやらされるから普通は遊んで暮らしてるのにね。」

「ええ、まったくです。」


 なにやら、二人の会話がよろしくない感じになってきたので逸らす事にした。


「メ、メラ姉!ここらでいいんじゃない?休憩するの!」

「え?ええ、そうね。それでは・・・、あそこの木陰にしましょう。」


 丘をちょっと下り始めた所にある木陰に馬車を停めてくつろぐことにした。

 メラ姉は自分が実家を出てからの俺の生活が気になったのか、ペリィとミリと一緒に座ってさっきの続きを話している様だ。

 話を逸らす事には失敗したようだ。

 メラ姉が自分の事を知りたがっていると思うと嬉しい半面、恥ずかしい思いだ。

 

 そんなメラニーを横目で見つつ、ケーフィヴは木陰から少し離れて陽の当たる所に寝転がった。

 視界が全て空だけになった。

 

 30秒くらいだろうか、そのまま空を眺めていたらメイドの一人がギリギリ視界に入る所に立ち、話しかけてきた。


「ケーフィヴ様、お召し物が汚れてしまいますよ。」


 ちらっと、やってきたメイドの顔を見てから答えた。


「ハシャか・・・。久しぶりだな。メラ姉が竜界に行ってからだから・・・え~っと。」

「70年ぶりでございます。」

「そうか・・・。70年か・・・、と言うことは俺が30歳。大きくなっただろう?」

 

 視線だけ向け、笑いながら聞いてみた。

 ハシャは昔からいたメラニー専属のメイドだ。

 当然、俺の事も小さい時・・・と言うか産まれた時から知っている。


「ええ、ご立派になられて。メラニー様よりご実家に帰られる度に伺ってはおりましたが、やはり実際にお会いすると違いますね。」

 

 そう答えて、ハシャは座った様だ。

 俺の視界から消えた。

 俺が青空だけを見ていたのを気遣ったのだろう。

 さすがの気遣いだ。


 しばらくの間、かすかに聞こえるメラニー達の話声を聞きながら、ぼ~っと空を眺めていたら無性にこの青空を飛びたくなった。


 ケーフィヴはガバッと起きるとメラニーに小走りに近寄っていき


「メラ姉っ!一緒に飛ばない?この青空をっ!」


 メラニーは一瞬、驚いたような表情をしていたが、すぐに微笑んで「いいわよ。」と言ってくれた。


「それでは、ケーフィヴと先に飛んで戻っているから、あなた達は荷物を持ってゆっくりいらっしゃいな。」

「畏まりました。この竜界には危険な魔物等はおりませんが、十分に気を付けていってらっしゃいませ。ケーフィヴ様、メラニー様をよろしくお願いいたします。」

「分かったよ、ハシャ。任せて。」


 俺よりもメラニーの方がずっと強いのはお互い分かっているのだが、雄を立ててくれたのだろう。

 ハシャがそんな事を言った。



 そして、二人とも竜に変身し、ゆっくりと南東の方角へと飛んで行った。


「ケーフィヴと一緒に飛ぶなんて、初めてね。」


 何気なく言ったメラ姉の一言が嬉しくて、舞い上がってしまったのは内緒だ。




◇ ◇ ◇




 仲良く連れ添って、ゆっくりと飛んで行く2匹の竜を見送った後、ハシャ達メイドは、直ちに撤収を開始した。

 そんな中、ペリィとミリはハシャの所へ行き挨拶をしていた。


「ハシャ大尉、ご挨拶が遅れました。ペリィ少尉、只今、着任致しました。」

「ご無沙汰しております、ハシャ大尉。同じくミリ少尉、只今、着任致しました。」


「はい、着任を許可します。御苦労さま。二人とも久しぶりね。キチンとお勤めを果たしている様で何よりだわ。」

「「はい、ありがとうございます、大尉。」」

「では、撤収作業をしている皆を手伝って。作業が終わったら、みんなを紹介するから。」

「「はい、畏まりました。」」


 ハシャは踵を返した二人について行く前に、もう一度、南東の方角を見て、歩きだした。


予定より長くなってしまった為、分割となりました・・・。

会長出てくる予定だったのに・・・(>_<)

未熟だ。

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