さあゲームのかいし〜――妖怪席取坊のつぶやき
【席取りゲームのかいし〜】
坊は妖怪席取坊って言うの。
「その席とおーった!」
他の奴が憎い、奪いたい、代わりたい、なら——。
「いらないなら、坊がもらうもん。だっていらないんだよネェ? そうだよネェ?」
坊はね、人を羨んで取って代わりたいっていう人間の澱から生まれたんだ。
人間から垂れ流されたその澱は、アメーバみたいな姿でドローンとしていて、色は錆色。あちこちに錆を撒き散らしているんだあー。
なんだけど不思議なことに、人間にはヨチヨチ歩きの赤ちゃんに見える。服装は法衣と黒紫の袈裟を着ていて、その姿形はなんだかボッティチェリの絵みたいに愛らしいらしい。まあ、心も天使みたいだからネ。
人間は、自分がやらなかったことや、自分の行いの結果なのに、すぐに他の奴を見ては妬み、うらやましがる。
あいつの席と取って代わりたいとか、蹴倒して奪ってやりたいとか。
一番酷いのは、自分が落ちるときは「諸共」と、一緒に落ちようと巻き込むこと。
だから、坊はそんな人間の望み通り、席を取ってあげるだけ。
「いらない」って言うから、ボランティアで席をとってあげたの。なんて親切なんでしょう!
その重油みたいなドロドロの澱を持って、どこへ行くの?
一度坊がとった席は、もう坊のもの。相席なんてしてあげない。
狙った人間の席を乗っ取るも、蹴倒すも自由だからね。坊は自由主義なんだ。
だけど、相手の方が強くて追い払われたり、一緒に諸共になったときは、2人でコールタールのようになって、それが溶岩みたいにどこかへ流れ出すよ。
楽しい、永遠に続く楽しいたびだね。
もう戻れる"席"なんてないよ。だって、そこはもう坊の場所だもんネ。
あっ、また——陣取りゲームの開始だ!!
「その席とおーった!」




