カウンセリングとは…。
昔書いていたカウンセラーのお話です。
おばちゃまカウンセラーと学生の助手、なずなのお話。
年齢不詳なカウンセラー。しっかり者の大学生が今日も
悩みを解決していく。
ここは、私のアルバイト先でもある
とあるマンション。
おばちゃまカウンセラーの自宅である。
そのマンションの一室はカウンセリングの部屋になっている。
大学で心理学を学ぶ私こと、なずなは、
毎日の様にこのマンションに通い、カウンセラーの助手として勉強がてら雑用をしたり、予約などの確認、謂わばスケジュール管理、事務…。仕事は多岐にわたる。
勿論カウンセリングの時間も、邪魔にならないように同席させてもらっている。
カウンセラーはおばちゃま。
しかし年齢不詳で、ツヤツヤの黒髪をユルフワに巻いて、白いブラウスにロングのタイトスカート。常におしゃれに気をつけている様で、だけどそれが過度ではない。
心理学者であり、大学の講師もしている。
業界では名の知れた人物だと知った時は
衝撃を受けた。
そんな私は、とあることがきっかけで、助手をさせて頂いている。
けれど…。この先生のカウンセリングは適当であり、やる気も感じられない。
先生曰く、「相談にきた時点で、答えは出ているものよ。 背中を押して欲しいだけ」だそうだ。
そうかなぁ。親身に話を聞いて欲しい人もいるのではないだろうか。
そんな疑問もあるけれど、話を終えた方は大体良い顔をして帰られて行く。
まぁ、上手く問題解決ができているのなら
それで良いのだろう。
さて、今日も相談の予約が入っている。
時間までまだあるので、私はお茶の準備や、部屋の片付けなどをする。
あらかた準備を終え、長い廊下を歩き先生の部屋の前に立つ。
そして先生の部屋のドアをノックした。
「先生、あと15分で相談者さんがみえますよ! 早く出て来てくださーい」
時間ギリギリにならなければ返事すらしない先生に声をかけた。
先生の部屋。この部屋は絶対に入ってはいけない。魔女の部屋と私は思っている。
不思議で、そして先生の趣味全開なのだろう。
もしかしたら異次元と繋がっているのかも知れない…。
そんな事を考えていたら、あくびを噛み殺しながら先生が出てきた。
「あら、もうそんな時間? 分かったわ。
なずなさん、今日はあのブレンドハーブティーにしてちょうだいな。ほら、こないだわたくしが調合した…」
「はい。分かりました。その様にしますね。先生は早くお部屋に行って下さい」
先生にそう言ってキッチンへ向かった。
このマンションのキッチンは広くて、そしてカントリー風と言うか、お洒落だし色々凝っている。先生の趣味だろう。
だけど、私が居る時は私の好きな様にできる。
ティーカップを2つ用意して、ケトルでお湯を沸かす。
ガラス瓶に入っている茶葉をティーポットの横に置いてから、自分専用の仕事部屋へと急いだ。
もうすぐ相談者さんが来るころだ。
予約状況をプリントアウトした用紙を手に取り、再度確認をした。
「今日の方は、二十代後半の女性…。転職しようか迷っている…。そして色々な悩みも持っている、と…」
確認が終わった頃、マンションのエントランスのチャイムが鳴った。
オートロックを解除し中へ入ってもらう。
モニター越しに名前を確認する事は忘れてはならない。
モニター越しの女性は小柄で、清潔感のある服装、きちんと整えられた髪の毛はセミロング。
小さい、呟く様な声で名前を告げた。
エントランスからエレベーターで部屋まで来て、再度玄関のチャイム音が響く。
もう一度モニターを確認し、玄関へと向かった。
開いた扉の先には、先程モニター越しに見た女性が、俯きがちに立っていた。




