EP00 ネオンの光と火花が散り乱れる街
「アーマーファイト」。それは人が装甲を纏い、戦う競技のようなもの、だが普通の競技と違う点は「命の保証はできない」点だ。
アーマーファイトは世界各地で人気だが、その中心地とも言われる場所がある。
ブローケンシティ。
高層ビルとネオンの光が交差するこの都市では日夜アーマーファイトが繰り広げられ、その熱は冷めることを知らない。
アーマーファイト発祥の地とも言われたその都市にて、物語は始まる。
「………どこだここ」
ある1人の青年が路地裏で目を覚ました。直前の記憶は愚か、大部分の記憶が抜け落ちている。
体を起こすと全身が筋肉痛に襲われたような痛みを感じる。俺が誰で何が起こったのかを何も覚えていない。
俺は無意識のうちに路地裏の奥の光に向かって歩き出す。光が近づいてくるほど奥から聞こえる音も大きくなっていく。
路地裏を抜けた、眩しい光は路地裏の暗さに慣れた俺の視界を真っ白に染め上げ、明るさに慣れた目が映し出した次の光景はさっきまでの路地裏とは真反対とも言える光景だった。
車の往来が止まず人の気配しかなく、建物に巨大モニターがついておりそれが結構眩しい。
ぐううう………
「…腹減ったな。持ち合わせは………無し」
お腹が空いたとなると何もできない、だがお金がない。スーパーの試食コーナーでその場しのぎはできるが、絶対持たない。
「だからぁ!持ってんでしょ”デバイス”!」
「それをくれって言ってんだよね」
喧騒の中一際目立つ二つの声。若い男2人組が帽子を被った初老の男に詰め寄っている。
「君たちのようなものに売る気はない。ましてや力の正しい使い方も知らぬような子供など尚更」
2人の男に凄まれても動揺のかけらも見せずに毅然としている。
「ハハハ、そうか。なら力ずくだな」
「俺たち子供だし、欲しいものはどーゆ手を使っても手に入れるんで」
そう言い殴りかかろうとする2人。
「待ったーー!!」
「ヘブゥア!?」
気づけば俺は走り、2人のうちの1人に飛び蹴りをくらわせていた。視覚外からの攻撃に反応できずにろくな受け身も取れないまま吹っ飛んだ相方を見たもう1人が混乱しながら拳を振るう。
「テメ!?どっから湧いた……」
もう1人の拳が入る前に反射的に身体が動き、顎に1発入れてから大外刈りで地面に叩きつけ、戦闘終了。
「……嘘……」
俺は俺が思ったよりも動けるらしい。2人ともピクピクしながら地面に突っ伏している、周囲に徐々に人だかりが出来始めている。
(ハッ、感心してる場合じゃない)
「じいさん、怪我ねぇか?」
振り向くとじいさんの目は大きく見開いており、かなり驚いている様子。
「助けてくれて感謝する。ここじゃあれだから場所を……」
ぐうううう……
音の主は俺の腹だ、さっきまで飯をどうするか考えてたんだっけ?。
「……よければ何かご馳走するよ、何食べたい?」
「…腹が膨れるならなんでもいいっす」
少し恥ずかしい思いをしつつ、じいさんと共にその場を去った。
†
†
「うめぇ!美味ぇ!旨めぇ!!」
飯屋にて、皿の上の馳走を片っ端から腹の中にぶち込んでいる最中。腹は底知らず、食物を一切合切招き入れる。
「……何日も食べてないのかい?」
「ああ!おそらくな、俺自身今日目覚めたばかりだからよくわからんが。」
出された数枚の皿を平らげ、空になった皿をまとめている時に机の上に何かが置かれる。
「君、"アーマーファイト"に興味はないかい?」
飯を食べる手が止まる。
「これは『エントリー・デバイス』と言ってね、アーマーファイトの参加資格兼変身装置の役割を持つものだ」
そう言いデバイスをこちらにスーっと差し出してくる。
「勿論、市販はされていない。さっきの若者たちのような者が容易に扱っていい代物ではないのでね。私は数あるディーラーの内の1人だが、私は真にアーマーファイトに相応しいと思う者にしかデバイスを渡さない」
机のデバイスを食い気味にさらに押し込んでくる。
「…でも俺今待ち合わせが……」
「心配無用、真に扱えると判断した者には代金なしで渡すと決めているのでね」
そう言うじいさんの目は真剣に真っ直ぐ俺を見ていた。
(マジかよ……これ受け取るしか選択肢ねぇじゃん……)
断れずに貰い、そのまま解散した。あのじいさん、飯を食わせてくれた上に二日分の宿代もくれた。
「『エントリー・デバイス』ねぇ……。これどこにつけるんだ?いや、つけるんじゃなくてこれは……」
「この形状……なんか見覚えが……」
カチ
よくわからないままいじっていると何かボタンのような物を押した。
『ENTRY…』
「え?」




