#5 期間限定の恋人
「すめら……王っ、一緒に食べよ!」
「……いい、よ?」
常盤さんとの期間限定恋人が始まって、三日。
自然と、僕も少しだけ慣れて来た。
「とき……」
「よすが!」
「よ……よす、が……さん?」
「よすが‼」
「よ……よす、が……」
「はいOK」
母親と姫のアドレスしか入れていなかったラインと電話の連絡先に、新たによすがの名が加わった。
「……え?」
僕がお弁当を広げると、よすがが
「なっ、何そのお弁当! 相当料理が上手くないと作れない奴だよねそれ!」
と言ったので、僕は首を傾げる。……そんなつもりはないけどな。
「僕ん家は母親が仕事してるから、家事は兄の僕がやってる」ということを伝えると、ぶるぶると小刻みに震えた指で、僕のお弁当を指した。
「じゃ、じゃあ、もしか、して……そのおべんとう……のんがつくった、もの?」
「え? うん、そうだよ」
「なあぁぁっ⁉」
「それよりよすが、食べなよ。もう少しで予鈴が鳴る」
「えっ⁉ 嘘っ! やっばい、早く食べないと!」
結局間に合わず、教師によすがだけ呼び出され、延々と説教されていた。
その日の夜。僕は姫も母さんも寝たのを確認し、自分も布団に潜り込んだ。
夢を見た。
冬だ。雪がちらちら降っている。
僕とよすががデートしている。手を繋いで、銀世界をゆっくりと歩いている。
突然、よすがが胸を押さえて苦しみ出した。そしてふつっと切れるように倒れる。夢の中の僕は、信じられないという顔をしている。
息も心臓も止まっている。脈拍もない。
もう、よすがは——
そこで、目が覚めた。汗をびっしょりと搔いている。
——不吉、だ。この頃、いつも夢に出る。
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