五章 誰もが恐れる疑似神姫
同年、一月十五日。
月浜西部にあるH.開発局が爆撃を受けるという事件が発生した。
この爆撃によって疑似神姫の研究・開発を支えているフィトミア組の技術者たちが全滅したのである。
シゼル率いる緊急調査隊はH.開発局跡地を探索していた。
「このありさまじゃ資料も焼失しているでしょうね・・・」
月浜軍人1は焼け焦げたH.開発局跡地を見てそう言った。
「あれだけの防衛網を突破するなんて・・・やっぱり煌桜はヤバい戦姫ですね」
「迎撃用の疑似神姫もいたはずだ。フィトミア博士の言う通り、煌桜はもう量産されているのかもしれないな・・・」
月浜軍人たちはH.開発局跡地を見てそう言った。
「・・・」
H.開発局跡地を見るシゼルは耳を澄ませている。
「噴射音。隠れろ」
シゼルはそう言うと、TT-42B-4 ゼノヴァーンを装備した。
月浜軍人たちは慌てて瓦礫やくぼみに身を隠した。
音もなく浮かび上がったシゼル・ゼノヴァーンはエンジン出力を一気に上げて途轍もない速度で直上した。
「敵姫接近」
雪風1がそう言った瞬間、雪風1に低出力エネルギー弾が命中してバリアが激しく燃え始めた。
シゼル・ゼノヴァーンは雪風部隊の中央にある小さな隙間を突っ切って縦に旋回する。
「なんて奴だ!狂ってやがる!!」
雪風1は紫色の光を見て冷や汗をかきながらそう言った。
「クソ!火が消えない!!助けてくれ!!」
雪風2は旋回しながらそう言った。
雪風2は突如として装備から激しい炎を噴き出して翼が折れた。
この間に二機の雪風が燃やされている。
「なんだこいつは!」
空中で静止した雪風4はシゼル・ゼノヴァーンに向かってエネルギー砲を撃ちながらそう言った。
弾道計算装置を搭載したエネルギー砲は命中率九十パーセントを越えている。
しかし、シゼル・ゼノヴァーンはそんなエネルギー砲から放たれるエネルギー弾をいとも簡単に回避しながら旋回を続ける。
「ッ!」
雪風4がシゼル・ゼノヴァーンの射線から逃れようと動こうとしたその時には低出力エネルギー弾が雪風4のバリアを燃やしていた。
「武装展開・・・」
手を広げたシゼル・ゼノヴァーンがそう言うと、シゼルの手に光が集まった。
光は形となり、最上大業物青浄炎華と言う剣になった。
最上大業物青浄炎華を握ったシゼル・ゼノヴァーンは弾幕の間をすり抜けて雪風たちを次々と斬っていく。
雪風8が振るうエネルギーブレイドを避けたシゼル・ゼノヴァーンは雪風8に最上大業物青浄炎華を突き刺してバリアを破り、高出力エネルギー弾を撃ち込んで木端微塵に粉砕した。
「て、撤退!」
「化け物だ!!」
雪風たちは慌てて撤退していった。
最上大業物青浄炎華を消滅させたシゼル・ゼノヴァーンは背面から急降下していった。