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三十七章 疑似神姫の時代、再び

同年、七月二日。

国境戦線にアーヴァン連合軍が参戦した。

早期に国境を突破して月浜本土を占領できるだろうというアーヴァン共栄圏の考えはわずか一分で消えることになる。

塹壕への集中砲火を始めた矢先、第一次改修を終えた疑似神姫たちが飛来。

高度四十メートル前後という超低空域を飛行する疑似神姫たちは時速千五百キロメートルでアーヴァン連合軍の砲兵部隊へ接近して特殊爆薬を使用した新型爆弾百七号爆弾を投下した。

超精密爆撃照準を使って投下された百七号爆弾は全部で七発。

そして、その全てが陣地内に的確に刺さった。

千キロ爆弾並みの威力がある百七号爆弾は大爆発を起こしてアーヴァン連合軍の陣地を跡形もなく破壊する。

砲撃によって位置が特定された陣地が全て爆撃されると、アーヴァン王国軍の軍人たちが焦り出した。

焦ったアーヴァン王国軍の軍人たちは橘花軍に疑似神姫を迎撃するように命令を出した。

しかし、この命令が更なる大惨事を招くことになる。

学校に見せかけた偽装飛行場(ぎそうひこうじょう)に雪風が集まった時、周辺を偵察していたTT-42B-2 レリー・ベレルシアが偽装飛行場を発見。

雪風を発見したレリー・ベレルシアは容赦なく偽装飛行場を携帯式中型エネルギー砲で攻撃を始めた。

偽装飛行場は修理不能な状態まで破壊され、出撃準備をしていた雪風を含めて約四十七機の雪風が破壊された。


午前十時五十八分。

疑似神姫が兵士が逃げ込んだ塹壕に向かってとにかくエネルギー砲を乱射するという心理作戦を展開した。

風を切る甲高い音と雷のような荒々しい爆発音が鳴り響く度にアーヴァン連合軍の兵士たちは耳を塞いで体を丸める。

エネルギー弾によって粉砕された塹壕の木枠と湿った土が広範囲に飛び散り、兵士たちの所にもわずかながら届く。

この恐怖の心理作戦はアーヴァン王国の兵士たちの精神を破壊していく。


正午十二時十八分。

エネルギー弾によって完全に破壊され、崩れた塹壕を見たアーヴァン連合軍の兵士たちの精神が完全に壊れた。

アーヴァン連合軍の兵士たちは疑似神姫の噴射音を聞いては発狂して震える生活を送る。


同年、七月三日。

アーヴァン連合軍の指揮官、ロージー・オブ・フィッシモンズが首に白い布を巻いて塹壕の上に上がった。

ロージーは巡回飛行をする疑似神姫に向かって必死に白旗を振る。

巡回飛行する疑似神姫が緑の煙幕を炊きながら飛行を始めると、ロージーは塹壕に白旗を刺してしゃがみ込んだ。

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