三十五章 AZ-000 アゼェンダ
シゼルと邪眼、赫灰色髪縦ロール。奇妙な金属製の装飾品がついた黒色のミニコルセットドレスを着た乙女は見つめ合う。
滲み出す神気から邪悪さを感じ取ったシゼルの表情が徐々に変わる、
「ラーフィア様!こいつは狐共の主と繋がっております!俗世の大権を持つ魔神かもしれません!!」
山岸陸軍大臣は邪眼、赫灰色髪縦ロール。奇妙な金属製の装飾品がついた黒色のミニコルセットドレスを着た乙女、ラーフィアを見てそう言った。
「・・・魔神・・・」
ラーフィアはシゼルを見てそう言うと、シゼルに背を向けた。
「ら、ラーフィア様!?」
山岸陸軍大臣はラーフィアを見て驚きながらそう言った。
「興味ない。今日は秘密基地が開いていたから海を見に来たの」
ラーフィアはそう言うと、引き返していった。
「待て!!」
シゼルは大声でそう言うと、ラーフィアを追い始めた。
しかし、いくら通路を走ってもラーフィアはもう通路に居ない。
大きな通路と部屋を繋ぐ通路を抜けて大きな通路に出たシゼルは要塞の奥に向かって走った。
「・・・」
海が見える海域大防衛場という場所についたシゼルは海を見つめるラーフィアを見た。
「お前が・・・お前がラーフィアなのか!?」
シゼルはラーフィアを見てそう言った。
「そう」
ラーフィアがそう言うと、最上大業物極青浄炎を生成して握ったシゼルがラーフィアに斬りかかった。
最上大業物極青浄炎がラーフィアの首に触れた瞬間、青白い炎を灯す最上大業物極青浄炎の剣身が不自然に折れた。
ラーフィアは体勢を崩したシゼルを軽く押し飛ばした。
その瞬間、シゼルは激しく吹き飛び、大きな通路を抜けて第二海域大防衛場まで吹き飛んで壁に激突した。
「青白炎の力が・・・通じない・・・」
酷く驚くシゼルは冷や汗をかきながらそう言った。
「華千﨑 梨々香はいないの?すごく強い神なんでしょう?」
いつの間にかシゼルの目の前まで来ていたラーフィアはシゼルを見てそう言った。
「陛下を知ってるのか・・・」
冷や汗をかいたシゼルはラーフィアを見てそう言った。
「名前だけね」
ラーフィアはシゼルを見てそう言った。
「・・・」
シゼルはラーフィアを見て黙った。
「君たちが知りたいことを教えてあげる」
ラーフィアがそう言うと再び海を見始めた。
「天星ナハトはこの国にいる。場所は三葉邸地下、泣代連創設者神里 菊葉たちが作り出したAZ-000、通称アゼェンダにて眠っている」
ラーフィアは時化始めた海を見ながらそう言った。
「冷酷な乱世をいつか打ち壊すために」
ラーフィアがそう言って振り向くと、ミニコルセットドレスについている奇妙な金属製の装飾品が揺れて綺麗な音を立てた。
「アゼェンダを作り出した神里 菊葉たちは俗世改変の影響を受けて何も覚えてないだろうけれど」
ラーフィアはそう言うと、空間を引きちぎって界を生み出して界の中に消えていった。




