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二十九章 ジェマノ島で行われる弔いの儀

同年、五月二十六日。

字江摩野島虐殺事件で虐殺された島民を追悼するため世界中の要人がジェマノ島に上陸した。

字江摩野島虐殺事件の首謀者であるアーヴァン陣営は参加を拒否。

極東連合からは月浜軍の元帥とサンティラ王国の女王が参加した。

この日は非公開ながら各国の要人が会談することができる。

そのため、多くの国が中立陣営の要人と会談する。

やはり、一番人気なのはディールズ貴国の統治者紅雷・グイードリヒとの会談だ。

しかし、一人だけ紅雷・グイードリヒではなく千蘭宮皇国の主、千蘭宮 千織に声をかける人物がいた。

その人物は、月浜四剣士の隊長にして月浜軍の元帥ビゼルである。

「本当に・・・シーモアの子も残ってくれていたのね・・・」

千蘭宮 千織はビゼルを見てそう言った。

「彼女によく似ている」

千織はビゼルを見てそう言った。

「千蘭宮陛下」

ビゼルは千織を見てそう言った。

「私の祖先は誰なのでしょうか。なぜ、千蘭宮皇国を離れたんですか?」

ビゼルはそう言いながら拳に握り込んだ。

「あなたの祖先は六柱の魔神の内の一柱、銀氷(ぎんひょう)・グヴァンゼァム」

千織がそう言うと、ビゼルの拳から力が抜けた。

「シーモア家襲撃事件があなたたちを千蘭宮皇国から引き離した」

「誰が・・・誰が・・・」

ビゼルは千織を見てそう言った。

「・・・」

千織はビゼルを見て首を横に振った。

「私は・・・ずっと悪夢を見て来た・・・誰が犯人か教えてください!あのお師匠様ですら教えてくれない真実を!!」

ビゼルは千織を見て悔しそうに言った。

「・・・・・・首謀者は・・・高咲 重海」

千織がそう言うと、ビゼルが酷く驚いて目を見開いた。

「か・・・閣下が・・・・・・」

ビゼルは震えながらそう言うと、拳を握り込んだ。

「私はッ!!私は奴が・・・私を苦しめた犯人がいる場所を守るために戦ってきたのかよ!!」

ビゼルはうつむいて怒鳴った。

「あなたは高咲 重海のためではなく、月浜国民のために戦ってきた。シゼルは国家のためではなく国民のために動けるあなたを評価していた」

千織はビゼルを見てそう言った。

「・・・」

ビゼルは黙ったまま泣き始めた。

ビゼルは千織にお礼を言って部屋から出た。


同年、五月二十七日。

ジェマノ島で弔いの礼が始まった。

ビゼルは会場へ行くため町の中を歩く。

(・・・高咲 重海・・・私たちは同じ目的に向かって進む同胞だと思っていた・・・)

ビゼルはフラフラと歩みを進める。

(だが・・・あんたがやったことはアーヴァン王国と同じだ・・・)

「力が欲しい・・・全てを破壊する力が!」

そう言いながら歩みを進めるビゼルの目から銀色の光が溢れ出す。


一方、弔いの礼の会場では弔いの儀の開催が告げられていた。

「今から九十一年前の今日、アーヴァン共栄圏に属する国家によってこの島の安寧は壊されました」

「二千五百十一名の島民が無惨にもアーヴァン共栄圏の国々によって殺害されました」

「私たちはアーヴァン共栄圏の行いを未来永劫許してはなりません。私たちはあの愚行を二度と許しはしません」

千織は石碑に向かって弔辞を読み上げていく。

(この六華は・・・銀氷?)

グイードリヒは舞い散る銀色の六華を見る。


「・・・」

月浜にある那瀬山の頂上に立つ邪眼、赫灰色髪縦ロール。奇妙な金属製の装飾品がついた黒色のミニコルセットドレスを着た乙女は昇華される魂を見つめる。

「気にかけるだけ無駄だった」

邪眼、赫灰色髪縦ロール。奇妙な金属製の装飾品がついた黒色のミニコルセットドレスを着た乙女はそう言うとどこかに去っていった。

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