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二十八章 終焉の烈炎

同年、五月二十二日。

新たに発足された字江摩野島自治団体が独立を宣言した。

中立陣営は島の歴史を重きに置いて話を進めるとの声明を出した。


同年、五月二十三日。

中立陣営ディールズ貴国の国際裁判所で字江摩野島独立の可否を決める裁判が行われると、全ての陣営の報道局がその裁判を放送し始めた。

この裁判で重要視されることは二つ。

古来よりアーヴァンや橘花や月浜といった国の一部ではないと証明できるか、平和を望む多くの国家にとって害にならないと証明できるか、この二つである。

ディールズ貴国の国際裁判所は多くの歴史資料を一つずつ書類や写真、映像を大型モニターで公開しながら確認していく。

しかし、アーヴァン陣営と極東陣営はこの歴史資料を規制して国民に見せなかった。

この映像はアーヴァン陣営にとっても極東陣営にとっても都合が悪いのだ。


同年、五月二十四日。

ディールズ貴国の国際裁判所は調査が終わったことを伝えた。

今から約九百九十八万年前に書かれた世界地図にカルフィル共和国として書かれていること、大量虐殺が起きる前に住んでいた字江摩野島民の身体的特徴がアーヴァン人とも橘花人とも月浜人とも一致しないこと、字江摩野島がアーヴァン陣営によって破壊される前に建っていた歴史的建造物がアーヴァン式でも橘花式でも月浜式でもないこと。

これらのことが淡々と説明されて字江摩野島の独立が半ば確定した。

数々の歴史資料を見せられたアーヴァン王国の高官たちは一言も発することなく頭を抱えている。

世界の歴史を始めて知った極東連合の報道局員はただただ茫然としている。


同年、五月二十五日。

百二十ヶ国中七十九ヶ国が字江摩野島の独立を認めて字江摩野島の独立が決まった。

字江摩野島に中立陣営ジェマノ共和国が建国されると、敵同士だった橘花と月浜が手を組んだ。

戦姫三百七機、疑似神姫五十七機、戦艦二十六隻、空母七十一隻、巡洋艦五十七隻、駆逐艦六十一隻を投入した字江摩野占領作戦が行われる。

橘花月浜連合軍は字江摩野島に飽和攻撃を行わんと戦姫と疑似神姫を空母から発艦させた。

「今日はあいにくの曇り空ですね」

雪風1は雪風秋谷専用機を見てそう言った。

「いや、今日はいい日になる」

秋谷 明子は笑みながらそう言った。

「第一次航空攻撃開始!!」

雪風秋谷専用機が曲がりながら降下していくと、それに続いて雪風が次々と曲がりながら降下していく。

「こんな短期間でこれだけの戦艦を用意するとは・・・」

橘 みより橘花国皇女は偵察機が撮影した字江摩野島の航空写真を見てそう言った。

「中立陣営は元から字江摩野を独立させるつもりだったということだな。今作戦が失敗しても良くなった」

重海は情報が映るモニターを見てそう言った。

字江摩野島沖に停泊する戦艦に攻撃を行うため戦姫と疑似神姫は上空百メートルから五百メートル上空を飛行する。

戦姫と疑似神姫が攻撃しようとしたその時、途轍もない熱風が吹き荒れた。

熱風によってバランスを崩した戦姫と疑似神姫は海に墜ち、何とか墜落を免れた戦姫や疑似神姫は空中で静止する。

熱風は分厚い雲を全て消し飛ばし、雲に隠れていた驚異の存在を見せる。

「・・・な、なんだ・・・あ、あれは・・・」

TF-1アン・マクスウェル・アーニム搭乗機は空に浮かぶ火の玉を見て困惑しながらそう言った。

次の瞬間、途轍もない耳鳴りと共に火の玉が光を放つ。

上空に居る操縦士や橘花月浜両軍の軍人たちが呆然とする中、扇状に広がった炎がゆっくりと確実に迫る。

多くの軍人が呆然としていたその時、途轍もない爆発音と轟音が轟き始めた。

呆然としていた軍人たちはやっと焦り始める。

しかし、もう何もかもが遅い。

扇状に広がった炎は一瞬にして戦姫や疑似神姫を呑み込み海面を激しく蒸発させる。

扇状に広がった炎は東和海に浮かぶ軍艦を全て呑み込んでいく。

赤熱した艦橋や船体は激しく軋みながら途轍もない勢いで融解し、急速に沸騰して蒸発する海面は小さな水蒸気爆発を連続で起こす。

強烈な熱は大陸東部の沿岸部にまで到達して沿岸部の町で激しい火災が発生した。

「凄まじい力だ・・・これが虎の力を持った龍の力か」

雪風秋谷専用機は黒銀の龍翼を羽ばたかせるグラディスを見てそう言った。

「これ、どうやって処理されるんでしょうね」

グラディスは静まり返った東和海を見てそう言った。

「さぁね。後は陛下たちなら何とでもするだろうよ」

雪風秋谷専用機はグラディスを見て笑みながらそう言った。

「そうですね・・・」

グラディスは雪風秋谷専用機を見てそう言った。

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