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二十四章 五十六年デモクラシー

同年、五月十八日。

字江摩野島の領有権が正式に月浜に渡った。

アーヴァン陣営は中立陣営に猛抗議するもお前たちが統治してた頃滅茶苦茶だったじゃねぇかと抗議を一脚された。

午後一時からは中立諸国の商船が次々と字江摩野島に寄港し始めた。

最初こそ商人たちは軽く商売する程度だったが、住民が通貨として金や銀の粒を使っていると知ると土地を購入して本格的に商売を開始した。

土地の売買によって発生した字江摩野バブルによって莫大なディールズリズを手に入れた政府と軍部は政府各省の強化と軍備の増強を行う計画を発表。

しかり、これに民衆が大反発し、溜まりに溜まった不満が政府と軍部に向けられることになる。


同年、五月十九日。

月浜で五十六年デモクラシーが発生した。

政府と軍部の独裁的な決断に憤慨(ふんがい)した多くの国民が民主化を求めて道路や施設を占領しながら大声で叫ぶ。

政府と軍部はこのデモクラシーを止めるために武力行使を行おうと月浜四剣士(つきはまよんけんし)を呼び出した。

「あのやかましい奴らを止めろ!政府に逆らう者は全て敵だ!」

ジェマ・高咲・コーデン月浜国副総帥は月浜四剣士を見て怒鳴った。

「閣下、私たちは民に剣を向けることはできません。これを行うと月浜憲章(つきはまけんしょう)に反してしまいます」

サスキア・ベアトリス・スミスはジェマの方を向いてそう言った。

「月浜憲章など知るか!!あんな古い考えは犬にでも食わせておけ!!」

ジェマはサスキアを見て怒鳴った。

「今は緊急事態だ。国家よりも月浜憲章を守る意味はないだろう」

キッド・ロイ・サマーはサスキアを見てそう言った。

「月浜憲章あっての国家でございますよ!月浜憲章がない月浜を誰が愛せるのですか!」

サスキアはキッドの方を向いて怒鳴った。

キッドとサスキアが一食触発になると、隊長のビゼル・オブ・シーモアが口を開いた。

「我々は誇り高き月浜の民だ。月浜憲章を破ることは決してない」

ビゼルはジェマを見てそう言った。

「隊長・・・」

ジェマはビゼルを見て怒りが籠った声でそう言った。

「故郷を奪われ、尊厳を奪われ、それでも生きようとした者たちから再び故郷と尊厳を奪おうというのなら・・・」

ビゼルはそう言うと、鞘に納まった剣を握り込んだ。

「私はこの剣をお前たちに振らなければならない・・・」

ビゼルがコツンと鞘の頭で床を突くと、全員が黙り込んだ。

ビゼルの説得によって最悪の事態は避けられた。

しかし、政府と軍部は何としてもこの事態を止めたいという考えを変えてはいない。

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