十六章 世界初の携帯ゲーム機、ゲーム・ワン
同年、四月二十八日。
携帯ゲーム機の感想を聞きに麗奈が國氷製作所に来た。
「へ、陛下!その・・・」
酷く緊張する麗奈は梨々香を見てそう言った。
「携帯ゲーム機、あれは本当に楽しいものですよ。夢と可能性の塊です」
梨々香が笑みながらそう言うと、麗奈が崩れるように座り込んだ。
「う・・・嬉しいです・・・」
麗奈は泣きながらそう言った。
「半導体製品の高騰を考えると二・五リズでも充分売れるでしょう」
梨々香は携帯ゲーム機を見て笑みながらそう言った。
「ありがとうございます!」
麗奈は頭を下げながらそう言った。
麗奈が帰ると、シゼルは梨々香に話しかけた。
「本当に売れるでしょうか・・・」
シゼルは梨々香を見てそう言った。
「売れますよ。また新しい雇用先が作れそうです」
梨々香はシゼルを見て笑みながらそう言った。
同年、四月三十日。
三上遊戯から満を持して発売された二リズ五サラの携帯ゲーム機ゲーム・ワンは、一年かけて十万台売られる予定だったが一瞬で完売して社会現象を引き起こした。
ゲーム・ワンを買うことができたのは梨々香とグラディスだけだ。
「マジでどこも売り切れ・・・」
シゼルはため息交じりにそう言うと椅子に座った。
「ここまで売れるとはな・・・」
ローラは新聞を睨みながらそう言った。
「ここまで売れると思っていたのか?数種類の簡単なゲームしかできないこんな小さな機械に二・五リズ払うと本気で思っていたのか?」
ローラは梨々香を見てそう言った。
「もちろん」
梨々香はローラを見て笑みながらそう言った。
「信じられんな・・・これが先見の明と言うやつか」
ローラはゲームをする梨々香を見て驚きながらそう言った。
「へぇ~対戦もできるんですね。マジで楽しそう」
シゼルはゲームをする梨々香とグラディスを見てそう言った。
「このキャラが3Dになって動く時代が来るかもしれないのか」
ローラはゲームを見てそう言った。
「夢しかないね」
シゼルはローラを見て笑みながらそう言った。
「あぁ」
ローラはシゼルを見てそう言った。
「しかし、ゲーム屋はゲーム・ワンを嫌うだろうな」
ローラは携帯ゲーム機を見てそう言った。
「ゲーム屋も商人です。需要があるとわかれば店に設置しますよ」
梨々香はゲームをしながらそう言った。