十二章 太知府を観光しよう
同年、四月二十四日。
久々に昼まで寝て午後起きたシゼルは梨々香の所へ挨拶しに行った。
「おはようございます」
シゼルは梨々香を見て笑みながらそう言った。
「おはようございます」
梨々香はシゼルを見て笑みながらそう言った。
「リッドもおはよう」
シゼルは基盤を見るローラを見て笑みながらそう言った。
「おはようは朝の挨拶だろう?今は午後だぞ」
ローラはシゼルを見てそう言った。
「起きた時が朝なの」
シゼルはお茶を淹れながらそう言った。
「太陽の神を信仰する宗教の信者だろう?それで良いのか?」
ローラは呆れたように言った。
「万象様が回帰してる時は常に太陽が出てるって認識だから良いの」
シゼルはローラを見て笑みながらそう言った。
「宗教と言うのは色々な考えがあるのだな」
ローラはめんどくさそうに言った。
「リッド、今日は町を観光しない?」
「あぁ、構わない」
ローラはシゼルを見てそう言った。
シゼルとローラは外に出て観光を始めた。
ここ太知府は世界有数の綺麗な水源がいくつもあり、高級品と言われる山菜がゴロゴロ採れる。
特に上質な山菜は楓印の品や太陽印の品と呼ばれ時々皇室に献上される。
「ハナタケを使った料理か」
ローラは少し分厚くて重たいタブレット端末に映るメニューを見てそう言った。
「ハナタケは高級品だと聞いたことがある」
ローラはシゼルを見てそう言った。
「まぁ、自家栽培できないし水と土が良くないと上手く育たないからね」
シゼルは少し分厚くて重たいタブレット端末を操作して次々と料理を注文する。
「美味いのか?」
「ホタテが好きなら好きだよ」
「あまり食べたことない」
「まぁ、気になるんだったら頼んじゃいな。残ったら食べてあげるから」
シゼルはローラを見て笑みながらそう言った。
料理が到着すると、シゼルとローラは食事を始めた。
「・・・普段足りているか?」
ローラは机の上に並べられた数々のご飯を見てそう言った。
「美味しい料理だけ一杯食べたいの。お腹を満たすためだけの料理は私には必要ないの」
箸を握ったシゼルはそう言いながら大きく口を開けてバクバクとご飯を食べる。
「・・・そうだな・・・」
箸を握ったローラは料理を見てそう言うと、ご飯を食べた。
「・・・そうかもな・・・」
咀嚼したローラは料理を見て笑みながらそう言った。
ローラは運ばれて来た天ぷらの盛り合わせを見た。
「天ぷらは橘花や月浜の料理じゃなかったのか」
ローラは天ぷらを食べるシゼルを見てそう言った。
「あそこら辺の国が独自の文化だって誇ってる文化って泣代連が始まりだからね」
シゼルはローラを見てそう言った。
「この国の国民は文化が盗用されても歴史が改ざんされても怒らないのか?」
「怒ってもしょうがないじゃん。そういうことしないと生きていけない人たちなんだからさ」
シゼルはそう言うと、てんぷらを食べた。
「・・・」
ローラは黙って料理を食べた。
「最近の冷凍技術ってすごいよね。うちが小さい頃はエビの天ぷらとか食べれなかったのに」
シゼルは箸でつままれたエビの天ぷらを見て嬉しそうに笑みながらそう言うと、エビの天ぷらを食べた。
「フィトミア博士は一体何年生まれなんだ?見た目通りではないだろう?」
ローラはシゼルを見てそう言った。
「まだまだ若手の二十六歳だよ」
「二十年ほどでここまでの冷凍技術を作ったということか」
「冷凍技術自体は相当昔からあったよ。技術のライセンスがフリーになって安く作れるようになったってだけ」
「この技術があれば月浜の食料事情も変わりそうだな」
「どうせ富裕層が牛耳るから無理」
シゼルはそう言いながら天ぷらを食べ尽くした。
「月浜はどうしようもない国だな・・・」
ローラは呆れたように言った。




