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十章 陛下は俗世を救う守護神様

梨々香が仕事を再開するとシゼルとローラは奥の部屋で休み始めた。

畳の上に座ったローラは荷物をしまい終えたシゼルに話しかける。

「あの陛下と言う人物はなぜ数千万人に信仰されているんだ?」

ローラはシゼルを見てそう言った。

「東大陸文明の生みの親で歴史上のヤバ過ぎる事件の数々を解決して来た守護神だから」

シゼルはローラを見てそう言った。

「東大陸文明の生みの親?」

「グローニアキャット族はもちろん、燦水天狐族(さんすいてんこぞく)も陛下が居なかったら存在してたかどうか怪しいからね」

「グローニアキャット族はそうかもしれないが、燦水天狐族は陛下が居なくても生まれているだろう?」

「考えてもみなよ。燦水天狐族の故郷がどんな場所か」

マグカップを持ったシゼルはローラを見てそう言った。

「そうだな・・・南極にある永久凍土だったな」

「陛下が居なかったら聖火(せいか)を貰って生き延びたって歴史もなくなる」

マグカップを持ったシゼルはローラを見てそう言うと、お茶を飲んだ。

「そこまで言われると怪しいどころか九割九分存在してないだろ」

ローラは蔑んだ目でシゼルを見てそう言った。

「この大陸を発展させてきたのはほとんどがアヴァンヘスク島の七華族(しちかぞく)と燦水天狐族なわけよ」

シゼルはローラを見てそう言うと、マグカップを机の上に置いた。

「今ある魔人(まじん)の国家だって結局は陛下の考えとか行動に感化された魔神が建国したんだし」

シゼルはローラを見てそう言った。

「この大陸に居る全人類が崇めるべき存在ではないか・・・」

ローラはシゼルを見てそう言った。

「陛下に感化された魔神が多いとなると、一見関係なさそうなヒーリアズラビットやドレスフォンワイバーンも関わってそうだ」

ローラはそう言うと、お盆の上に重ねて置かれた湯飲みを取ってお茶を淹れた。

「ヒーリアズラビットを生み出した銀氷(ぎんひょう)も陛下と交流して変わった神だからね。影響は大きいと思う」

「ドレスフォンワイバーンも同じか」

ローラはシゼルを見てそう言うと、お茶を飲んだ。

「そうだね」

シゼルはそう言うと、マグカップを持ってお茶を飲んだ。

「少し疑問に思ったのだが、なぜ六柱の魔神は大陸中で嫌われているんだ?」

「無責任で感性と倫理が子供並みだから」

「例えば?」

「寒さと食料不足で生き物がたくさん死にました、略奪行為が横行してるけど私たちの責任じゃありません全部万象とか言う神が悪いです、この技術で助けてあげます、万象様の技術だと指摘されたら反逆者だとブチギレて自分たちの技術だと無理やり言ませます、万象とか言う神のせいで犠牲になった人々に追悼の儀を行います、全部万象とか言う神のせいです、これが六柱の魔神ね」

「いや待て・・・笑えない・・・」

ローラはシゼルを見て苦笑いしながらそう言った。

「その笑えない評判をこれから変えなきゃいけないんだよ・・・」

シゼルは机に突っ伏しながらだるそうに言った。

「まぁ・・・無理だろ」

ローラは諦めたようにそう言うとお茶を飲んだ。

「無理とか言うな・・・こっちだって半ば無理だってわかってんのに・・・」

シゼルはローラを見てそう言った。

「・・・そうだな」

ローラはシゼルを見てそう言った。

少しの間静寂が訪れる。

「そうだ、少し陛下の仕事を見てみない?」

シゼルは静寂を切り裂くようにそう言った。

「付き合おう」

ローラはシゼルを見てそう言った。



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