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学校1のプロヒロイン

「残念、遅刻です」

先生は時計を見ることなく井ノ上さんに注意している。

4月から7月まででもう20回以上の遅刻をしているらしい。

こんな姿を晒しているのに自分では清楚で大人しいキャラを演じれていると思っているらしい。

それに、遅刻だけでなくこの間の期末テストも全教科赤点らしい。

絶対に、ご飯を食べている時の明るくて天真爛漫な性格の方が人気が出ると思うが。

「おはようございます。」

と、井ノ上さんが全員に挨拶をしている。

遅刻しているにも関わらず急ぐ様子もなく丁寧に挨拶をしている。

と、いつもはスルーしていた僕のとろこにもあの日以来来るようになっていた。

「お、おはよう・・・ございます。」

3ヶ月も同じようにしてきているが全く挨拶を返すことに対して体制がつかない。

こういうところが世でいう陰キャなのだろう。

井ノ上さんは全員に挨拶をし終えると落ち着いた様子で席につきそのままホームルームに参加している。

まるで遅刻してきた人とは思えない。

一切悪びれる様子がない。

それがいつもの井ノ上遥なのである。


4限目が終わり昼休みになり、僕はいつも通り人目につかない旧校舎の空き教室で弁当を食べ終え、漫画を読んでいた。

代わり映えのない日常、では無い。

なぜか分からないが隣には井ノ上さんがいる。

去年も同じクラスであり昼の様子は何度か目にしていたが、いつもならクラスメイトと仲良さげな雰囲気で食事している。

もちろん、弁当箱には小さいものを。

だったのだが、あの日以来何度かこういう日が続いている。

僕の前だと普段使っている小さい弁当箱ではなく、運動会で家族が食べる量用としか言いようのない巨大弁当箱を使っている。

僕の前なら、食べれるらしい。

秘密を知っているとは言えど油断しすぎでは無いだろうか。

仮に男子生徒でもこの教室に来てみろ、一瞬でバレてしまうだろうに。

「なんで井ノ上さんは僕の前だと大食いできるの?秘密を知ってるとは言え誰かが来たら・・・」

「誰かに見られたら君のものにすればいいんだよ。そうすれば学校でも沢山食べられるでしょ?」

僕が言い終える前に待ってましたと言わんばかりに井ノ上さんが宣言してくる。

そういう作戦だったのか。

だが、それで突き通せるとは思わない。

何よりこの学校には新聞部がある。

うちの新聞部はバレずに写真を撮ることに優れていると有名なのだ。

食べている瞬間を撮られてしまえば1発アウト。

言い訳が出来なくなってしまう。

自慢げに作戦を宣言した井ノ上さんに教えてあげようともしたが、やめておいた。

なぜなら彼女は自称プロヒロインである。

そんな彼女なら新聞部にいかにいい記事を作らせるかを意識しているに違いない。

というかそうでなければ『新聞部に最も記事にされた生徒1位』には入学して1年目でなるはずがないのだ。

そう、井ノ上さんはどこか抜けていてある意味プロヒロインなのだ。

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