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7.そうは言っても囲まれないように-了解デス、囲まれないように、ね-

全46話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です

 次の日もシュエメイたちは前線を押し上げていた。流石はレイドライバーといったところだろう。一時期のカズたち第一世代が投入されてエルミダス基地を完全占拠し、隣町のミラールまで何個大隊かを鉄くずに変えてきた、まさにその状況をここで行っているのだ。機械化部隊ももちろん付いて来ている。そして上空にはM三一がいる。その中には配備が間に合ったM三一DIも二機、それぞれリーダー機として飛んでいる。なので空は空、陸は陸と切り分けが出来ているのである。そして相手は一、いや二世代前の戦闘車両だ、これで弾を喰らって行動不能にでもなったら何と言われるか。


「そうは言っても囲まれないように、ライラは右側に回り込んで」


 シュエメイはそう指示を出す。


「了解デス、囲まれないように、ね」


 ライラはそれに応えるように敵車両にマシンガンを撃ちこんでいく。今回は消耗戦だ、補給はある程度[現地調達]と言われている。必然的にマシンガンの無駄打ちが出来ない、という意味を持つ。


 なので二体とも無駄弾はほとんど撃っていない。だが、それを差し引いてもやはりレイドライバーの機動力、破壊力は素晴らしい、と言えるだろう。


 ――これをリモートで見ておられるであろうクロイツェル参謀やクラウディア少佐も喜んでくださる。


 シュエメイはそう感じていたし、その手応えはあった。


 現に今日半日だけで何台の車両をくず鉄に変えたか。向こうだって素人、という訳ではないだろう。そしてこちらとて素人、という訳ではない。ただ、どちらにも言えるのが一つある。それは実戦経験がほぼゼロだろう、という点だ。


 ――――――――


 南米という土地は内戦が殆ど起きなかった。もちろん小競り合いはあったが、どこぞやの地方のように泥沼のような内戦というものは無かった。ただ、政治がなかなか一つに纏まらなかった、というのはある。それに、元々の経済状態が潤沢な場所ではない。必然、中々経済発展はしなかった。


 戦闘もない代わりに発展もしなかったのだ。


 一方のシュエメイたちである。彼女たち二名は戦場はこれが初体験である。もちろんシミュレーションは数えきれないほどやって来たし、戦場にありがちな[そういう遺体]もたくさん見せられてきた。[これがお前たちが行おうとしている現実だ]と何度も何度も、それこそ食事を吐く娘まで現れる程に何度も繰り返し見せられて、慣らされてきた。


 攻守、どちらの側にも言えるが、経験不足なのである。だからよけいツーマンセルにしないといけないのだが。


 ――――――――


 二人には[とにかく囲まれるな]と口を酸っぱくして言ってある。レイドライバーという兵器に限らず、囲まれればどんな兵器だって脆いものである。


 二人はそれを忠実に守っている。新人とはいえ、どちらも選抜された人間なのだ。戦場での立ち振る舞いは心得ているつもりだ。その証拠に囲まれる事もなく二体が連携して敵機械化部隊を各個撃破している。


 そうして気が付けば二つ先の都市まで来ていた。


「この様子なら、本当にこのアルゼンチンという州を二人だけで落とせそうですね」


 戦闘がひと段落してレイドライバーの中で待機しながら休憩をとっていた。機体のコックピットにはチューブが口元まで来ており、それを吸う事で水分を補給できる。そのチューブは二本出ており、もう片方は内径が若干太い。そう、流動食である。


 今回、帝国軍は侵攻軍である。それは防衛任務と違い、今いる敵の中に入っていくのを意味している。となれば休憩にしたって完全に制圧出来ていなければ警戒しながらの休憩という流れになる。そして今、彼女たちが落としたのは陥落したての場所である。もちろん機械化部隊が後ろから付いて来ているので、もう少しすれば完全制圧になるのだが、ひと段落したところで休息をとっている、という訳だ。


 ――しかし、全方位警戒システム、これは凄い。


 そうシュエメイに感じさせるほどこのシステムはよく出来ているのである。


全46話予定です



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