国王の憂鬱
以前似たような作品を書きましたが、似たようなアイデアが浮かんだ為書きました。
アルストリア王国の王は最近ある問題に代々頭を痛めていた。
それはマリウス侯爵家に付いてだった。
百年前まではマリウス伯爵として代々領地を富ませていたが、百年前の人と魔王による人魔大戦で、魔王を倒した異世界から女神により召喚された異世界勇者と共に魔王を倒し、勇者を領地へ招き、報奨として増えた領地を更に発展させた。
王家も縁を結ぼうとしたが年頃の姫が居らず、勇者はマリウス伯爵家の一人娘と結婚しマリウス伯爵と共に領地を富ませたので侯爵へ昇格させたが、それでも功績に足りないので公爵にしたいが、王家の血が流れていないので公爵にできないので悩んでいた。
アルストリア王国では王都を除けば発展した街はすべてマリウス侯爵領なのだった。
そんな悩みもついに年頃の合う子供が生まれた為3歳の時王家主導で王命により婚約が結ばれたことで解決した。
それがキール第3王子と一人娘のエリス侯爵令嬢の結婚で、キール第3王子の婿入りだった。
二人の結婚の後、侯爵家は公爵家に昇進する計画まで決まっていた。
既に年上の長男は王太子として仕事を始めており、第2王子も王弟として国に仕えると表明していて更に王太子には長男が生まれており後継者は決まっているので第三王子の処遇にも丁度良かった。
そして年が経つとエリス令嬢は美しく聡明に育つが、キール第3王子は愚鈍で剣も巧くなく悪知恵だけが高く見た目だけのダメ王子だった。
しかしマリウス侯爵家と王家には子供が必要なだけで、王子に侯爵家の仕事をさせなければ良いと王子の能力に期待はしていなかった。
しかし王子は月に一度の交流のお茶会は参加するだけでエリス令嬢を無視しお茶を飲むと一言も喋らずさっさと帰り、エリス令嬢の誕生日も他人に書かせた手紙だけで贈り物も贈らず、自分の誕生日には自筆の手紙と高価なプレゼントを要求していた。
その上王子は自身の唯一の取り柄である外見を使い恋人を作りまくっていた。
そして二人は15歳になり学校に入学した。
エリスは父と話し合い影を王子に付ける事を決めた。
そして第三王子は卒業間まぎわ迄の三年間浮気しまくり卒業が見えてきた頃に3人の愛人を決めた。
影が愛人達との話し合いを盗聴、録音した物を執事達に確認させて重要な部分を当主の父と聞いた。
其れを纏めると次の様になる。
「私達の生活費の為侯爵令嬢と結婚する、しかし私は妻となる侯爵令嬢を愛していない、しかし侯爵家には後継者が必要だ、しかし私は愛していない者との子供は作りたくない、だから愛する君達との間に出来た子を養子とし後継者とする、これが最高の結論だろう」
これを聞いた父と私は婚約破棄が出来ると準備を始める。
この発言以外にも法律違反の心当たりがあるので其方も纏めておく。
場所には婚約披露パーティーが貴族も集まるので丁度良い。
そして表向きは婚約披露パーティーで、実際は婚約破棄パーティーの準備を行う。
そして婚約披露パーティーの日が来た。
パーティーが始まる直前にエリスは一人で壇上に上がる。
そして良く通る声で発表する。
「今日は法律違反者を告発します」
すると会場からざわめきの声が上がる。
「ひとつ目は公金横領で犯人は第三王子で証拠はこちらです」
そう言って書類と領収書を貼ったホワイトボードを示す。
「この領収書は婚約者に送ったと提出されたそうですが私は貰っていません」
そう言って会場を見回すと続けて次の罪を告げる。
「ふたつ目は更に重罪な貴族家の乗っ取りです」
そう言って証拠の発言を再生する。
「この発言の様に正当後継者を無視して血の繋がらない自分の子供を後継者にするそうです」
回りを見回すと王家の顔が青く、貴族は怒りで顔を赤くしている。
「この国では貴族家の乗っ取りは王家への叛逆に次ぐ罪です」
そう言うと入り口で第三王子が愛人達と顔を青くしている。
「この罪はどう裁きますか国王様」
すると顔を青くした王が発言する。
「第三王子は王籍から抹消して去勢の上終身鉱山での強制労働とし、愛人達は家族全員が捕まるまで地下牢に放り込み家族全員捕まえたのち処刑とする」
そうしてかなりの騒ぎとなり婚約披露パーティーは終了した。
それから暫くして父と話し合う。
「これから私の婚約者は誰にしますか」
「優秀と評判なお前の又従兄弟のロナウドはどうだ」
「父が認める人なら構いません」
そうして新しい婚約者を決め挙式に向け準備を進める。