表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元大魔導師、前世の教え子と歳の差婚をする 〜歳上になった元教え子が死んだ私への初恋を拗らせていた〜  作者: 岡崎マサムネ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/66

49.とっても、強そう

 すっと顔を上げた彼女は、最初のようにしゃんと背筋を伸ばして、凛とした姿で立っている。


 綺麗な人、だと、思うのだけれど。

 何だか圧倒されるような感じがして、あわあわと開閉していた口を噤んだ。


「もし将来、あなたやあなたの家族に何かあったら、遠慮せず言ってちょうだい」


 ノアのお母さんが私の手を握る。

 ノアとは違う青色の瞳が、鋭く光った。


 あれ。ノアも貴族のはずで、ノアのお母さんも、貴族の奥様、のはず――なんだけど。

 やさしくておっとりした私のお母様からは感じない「何か」を感じる気がする。


「我がヴォルテール家が、必ず力になることを約束します」


 にこりと微笑まれた。

 微笑まれているはず、なのに。どうしてこんなに――「圧」を感じるんだろう。


「必ず――どんなことでも」

「母さん」


 ノアが耐えきれないと言った様子で口を挟んだ。

 私の肩にそっと手を置いて、お母さんから引き離す。すっかり気圧されていた私はノアに導かれるまま彼の足元に寄り添った。


「怖がってる」

「え?」


 ノアのお母さんがノアの顔を見て、次に私の顔を見る。

 別に怖いわけじゃない、けれども。

 私に対して優しくしてくれようとしているのも分かる、けれども。

 どうしてこうも圧倒されるのか、分からない。


 ノアのお母さん、何というか一言で言うと――そう。とっても、強そうだった。


「ご、ごめんなさいね。伝え方が下手で」

「いえ」


 彼女は慌てた様子で言いつくろった。先ほどまでの圧が冗談のように、ちょっと困ったように眉を下げている。


「私はただ、アイシャさんを困らせる人は全員二度とお日様が拝めないようにしますから安心してくださいねと伝えたかっただけで」

「!!??」

「母さん」


 ノアがまたお母さんを窘めるように呼ぶ。

 はっと気が付いて、ノアのお母さんは「おほほ」と照れたように笑った。――笑って誤魔化した。


 しばらくお母さんのことをじとりとした目で見つめていたノアが、やがてため息をついた。


「……呼び出すような真似するから、何か言いたいことでもあるのかと思った」

「あら、ありますよ」


 彼女があっさりノアの言葉を肯定する。

 そしてノアに一歩、歩み寄る。またじわりと先ほどのプレッシャーが滲み出た気がして、咄嗟にノアの後ろに隠れた。


「謹慎してから会いに行っても居留守ばかり。結婚式の日もまともに顔を見せずにさっさと帰って」

「……」

「よそのお嬢さんを、しかもこんなに小さな子をお預かりして、不自由をさせていたら許しません。そのお小言くらいはくれてやるつもりでした」

「…………」

「ですが……」


 彼の母親はしばらくお説教のようにつらつらと並べ立てていたけれど、やがて居心地が悪そうに黙りこくっているノアに目を向けて、ふっと安心したように息をついた。


「しっかり務めを果たしているようで何よりです」


 お母さんの言葉に、ノアは「ああ」と「うん」の中間のような返事をして、そっぽを向いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしお気に召しましたら、
他のお話もご覧いただけると嬉しいです!

悪役令嬢がガチ男装するラブコメ↓
モブ同然の悪役令嬢に転生したので男装して主人公に攻略されることにしました

異世界ハイテンションラブコメ↓
当て馬ヒロインは今日も「カワイイ」を突き進む!

なんちゃってファンタジー短編↓
うちの聖騎士が追放されてくれない

なんちゃってファンタジー短編2↓
こちら、異世界サポートセンターのスズキが承ります

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ