不届き者
三
さきがけが野口英世に縋ったのには意味があった。新型コロナウイルスに翻弄された人間に、風化させて欲しくなかったこと。それに自らを犠牲にして、血清をと考えた偉人と併せ、記憶の片隅に残して欲しい。そんな繋がりを模索した結果であった。
偉人の成し得なかったものは、想いと一緒に未来の彩りを鮮やかにしたい、だろう。人の元はホモサピエンスと判明している現状を知ることはできない。まぁ、天国から見ている、と言われれば、それもありだ。そこで気付いて欲しいものがある。それが死後の世界だ。
天国を黄泉の国と考える人もいるはず。人それぞれの考え方でいうならば、転生事態が異次元、若しくは異世界となる。その世界が幸福の園と考えることが正しいのか?。それこそが曰くとすらならば、楽園はないことになる。怠け者のさきがけは、そう考えた。それを確かめるために、行動したのだった。
さきがけの想いが語りたいことは、それだけではなかった。
邪馬台国の卑弥呼。
昭和の時代に教わった記憶だが、宇宙に拡がるガス雲にその名がついている。知っている方には申し訳ないが、少しだけ語らせて欲しい。
〈ひみこ〉
ビックバンから8億年後の宇宙初期に形成された巨大なガス雲。距離約129億光年。水素のライマンα線を発し、大きさは銀河系の半分程度とみられる。
2009年にすばる望遠鏡で発見されたらしい。2013年にハップル宇宙望遠鏡とアルマ望遠鏡による観測から三つの星の集団が軽元素主体のガスで包まれ、星形成が激しく進んでいるものと推測されている。となっている。
邪馬台国の卑弥呼に因んだ名称ということは、日本の発表だからだろう。よしんば外国の発表としても、日本人が絡んでいることが判る。
問題なのは発表だ。地球温暖化の煽りで、世界中が気温の上昇に困難を極めている。雪が降らずに、川が干上がった。それだけでなく、熱波が引き起こすつむじ風が竜巻になり、犠牲者まで出ているのが現状。ニュースで知ったとしても、身近に起こらない限り解ろうとしない。
自然災害がもたらす犠牲者が増大しているのだ。その元を辿れば、水を形成する元素に起因する。なんちゃって科学者の物書きが記した物語は、元素殺人である。それを闇に葬り隠そうとすることが示したものは?。人の命を軽んじてまで行っていることは、ビックバンの再現だということに気付いていない。切羽詰まって困るのは、いつも庶民である。
無知識の政治家を騙してまで行っていることが今の現状なら、神様がそれを赦すはずがない。欲に魅入られた輩に堕ちたのは、企業と結託した学者たちだろうか?
神々からの信用を落としたことに、間違いない。だからかも知れないが、人を手懐けろ、という指令が出たのであった。たったひとりで何ができる、というのがおおよその意見だろうが。
さきがけの意識に取り込まれる電磁波が、お告げとして夢になっていた。次に向かうのは、名を貶められる卑弥呼だろう。しかしその存在そのものが謎に包まれている。気付いてはいるだろうが、人の前に現れないのが神様。その理由は、心に宿るからである。心優しい女神様だからこそ、人の前に現れてしまったのだ。
彷徨った結果たどり着いたのは、鎌倉時代であった。
源義経の暗殺時に卑弥呼が現れて、甦りを果たす。現実的にあり得ないことが、甦りだということに気付いたのだ。
「ご免なさい」さきがけは素直に詫びていた。
「俺が説明しようか?」
「大丈夫。気遣いありがとう」さきがけが野口英世に向かって言い、経緯が説明された。だが卑弥呼は刹那に姿を眩ました。
『わたくしは不死の存在です。何時の時にも存在しています』その場に居合わせた三名の心に思念を送って消えていた。
『神の頭領を拐おうとは、お前もしたたかだな』
さきがけを転生させた神からのお告げが、時空移動を終えたさきがけに届いていた。




