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世界観  作者: うさぎ赤瞳
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信長の本音

    二十


 降り立った時代は、安土と言われる戦国時代だった。


 安土城の完成披露前夜、胡蝶のところに訪ない、女神の策略に嵌まって終った。信長は、ただならぬ悪寒を覚え、神との訣別を感じ取ったようだ。

 桶狭間の強襲前夜に、それと同じ武者震いに陥っている。それで、好運(神の運ぶもの)の終わりを感じ取った。ならば、という踏ん切りが、第六天魔王を吹聴する結果になった、と語ってくれた。


 プラスの領域で、上げ下げしていた運が、急速に下落した。現代社会でいうバイオリズムを感知したのだろう。それを操作できるものが、『神』だけと気付いたことになる。

 当時ならば、取り憑かれた、と感じ取ったということだ。それが二度在れば、二度めは取り払われた、となる。運に見離されたならば、魔王となるしかない、と(うそぶ)くしかなかったはずだ。心の何処かにある慢心は、自尊心と連携しやすいようだ。


 神の教えとは、最後の最期に決定するのは己自身なり、である。縋るのも、頼るのも、できないという戒めだ。行くか戻るか、選択肢は、限りなく単純明快らしい。こればかりは、一生に一度なので、信じるより他はない。ならば、進みながら煙に巻く。神を手本にした筋書きは、恩恵に預かりし者にしか判らない、ということだった。


 功績を残した名に未練はない。両親から蔑まれた経験は、家督に未練もないらしい。一人前と認めてくれたのは義理の父、斎藤道三(マムシ)だった。亡き現状は、今生すら浮き世にしか想えなかった、と言い切った。

 胡蝶も同じであった。三妹が育てた心だから、それが導きなら、万民を欺くなど訳のないことらしい。

 時代背景は安寧を求めている。(いくさ)が残す死骸の数だけ、怨念が生まれるのだ。武家の家督なんてものは、欲にまみれた特権階級の、(ほまれ)にもならないものであった。百姓が天下を取ることを誉に思う歴史なんてものは、媚びをうる特権階級の、お世辞だということなのだった。

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