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世界観  作者: うさぎ赤瞳
17/25

時代背景が望むもの

    十八


 日毎に成長するのが、今生の運命である。

 人に限らず生命の神秘は、身近に存在するからだ。ともすればそれは、寝ている時にも起きている。時間が刻み続ける理由が、そこにあるからだ。時には色褪せて、趣きに感じる。またある時は、睡眠学習でもしたかのように、自然に対応できたりもする。


「血に宿るものは、身を護るための礎ですからね」

 うさぎは簡単に言った。

 核酸が造られたことで、遺伝子は飛躍を遂げた。DNA ・RNA という伝承機能を持ったのだ。元は糖類で、脳を酷使すると甘いものを欲する。厄介なのは、蓄えることができる点だ。狩猟民族となった所以(ゆえん)は紐解けず、消費量が人それぞれとなった。

 不謹慎な話しだが、死を覚悟してからも、生存することになるのだ。

 人でありながら、人のことを知らないのが、現代人の特徴である。先人たちは、迷信と言われながら、それを伝達した。科学が発展したのは、組織図を提唱した偉人のお陰でしかない。いつしか当たり前になり、素人が簡単に兵器を作り出せる世の中になってしまった。こんな世の中になるなんて、偉人たちだけでなく先人たちも予知できなかったはずだ。どこでどう踏み違えたのか。それこそが謎だ、と、うさぎは口にした。


 さきがけも、うさぎが言いたいことを、読み解けた。ただ、理解してもどうするべきか決めかねている。選択肢の多さばかりでなく、お他人様の選択を強制できないからだった。それでも、正しい選択肢はひとつではない。時代背景が、人を惑わせるからである。


 時代が流れるのは、英雄を求めるからだろうか。群雄割拠というのは、野望にまみれた者たちの合い言葉のように飛び交い、命を軽んじている。自分だけはと、都合よく括り纏めて、格差が助長された。そのくせ、被害妄想に打ち負け、臆病に声を荒げる。可能性と同じだけの無茶を行い、世の中心とばかりに摸倣にうつつをぬかす始末であった。


 前世のさきがけは、お粗末な日常にやる気を削がれた。見失った序でに、夢を見なくなった。悪循環は墜ちた先にとぐろを巻き、底無し沼のように脱出できない。救いの手を差し伸べる神様は存在しない。よしんば居たとして、(もが)く姿を嘲笑い、努力を課すだけ。知恵の使い(みち)に、創意工夫と臨機応変を求めるのが運命となる。棚からぼた餅は、夢の中にぶら下げられた。それすらをくすねる輩が、暗躍するご時世であるのだ。


「昔々から、悪役が存在します。悪を定めないと、正義の必要性が要りませんからね」

「悪とは、正義を語るためにあるのかぁ」

「勝てば官軍ですが、負ければ賊軍ですからね」

「それに靡くことが、要領になったのかぁ」

「生きる知恵、とでも言い訳したのでしょうね。日の本の国は、流浪民族ですからね」

「神の国じゃなかったっけ」

「不死の神々を討てるのは人間、と、ギリシャ神話が教えています。それを口にしたのは、卑弥呼さんなんですがね」

「卑弥呼様?。巫女さんだったんだよね」

「ただの巫女に、中華の皇帝が献上物を送りますかね」

「少なくとも格上に送るよね」

「序でに教えて措きますが、イエス様を産んだのも、卑弥呼さんなんですよ」

「本人が言ったの?」

「そんなことを言う方ではないです。創世主が教えてくれました」

「万物の母が言ったなら、満更ウソじゃないよね」

「宇宙の中心すら知らないのが人間ですからね」

「宇宙の中心なんてあるの」

「無の世界を終わらせたのが、ビッグバンとでも想っているのですか」

「?。想ってた」

「息吹きをしたのが、感性母さんです。何もなくて『つまらない』って、嗚咽を漏らすのが当たり前ですからね」

「そうだったのかぁ」

「三種の神器で解るように、器(無)からこぼれだしたものが、感性母さんと、刻と量子です」

「なんで三種なの」

「公正にするためでしょうね」

「それは教えてくれなかったの」

「今、があるのですから、考えてみなさい。と言われました」

「考えるのかぁ」

「答えを探すのが、知恵を与えられた理由です。努力の結果がもたらしたものが、今生の彩りなんですからね」

「だとして、努力すると、何かご褒美がもらえるのかなぁ」

「ステップアップです。一段ずつ踏みしめながら上るのが、量子の階段、ということでしょうね」

「たどり着く先が、宇宙の中心ってことかぁ」

「楽園・理想郷・桃源郷。人それぞれの感性で、見定めることが大事です。目標までに見える(しるし)が、先人たちの残したもの。人が人を超えろ、ということでしょうね」

「今は標も多いだろうけど、はじめの頃は大変だったんだろうね」

「悪が生まれたのは、ずるするためでしょうね。歴史が血塗られた理由です。視ているのが、神々だけでなく、三元主もですからね」

「審判ってことなの」

「公正ですからね。それでも、可能性に期待しているから、依怙贔屓が見え隠れしています」

「どんな依怙贔屓なの」

「私は、宇宙の中心に招待されました」

「行ったことあるの」

「はい」

「どんな所なの」

「居心地の良い空間です。玉手箱というよりも、無限大の空間です」

「それって、ブラックホールの中だったんじゃないの」

「かもしれません。私の感覚では、生命の揺りかご、でした」

「僕が目指すべき『頂』なんだよね」

「頑張って下さいね」

 ふたりの息も同調して、同じ理想(ゆめ)を共有していた。


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