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魔王らしくない魔王様  作者: 説那


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魔王ゲーアハルト

 私の名はゲーアハルト。この地シルクトブルグを治める魔王である。


「ゲーアハルト様。魔王カミュスヤーナ様がいらっしゃいました。」

 従者が扉を上げて、声を上げる。

 その後ろから、プラチナブロンドの髪、赤い瞳を持つ青年が姿を見せた。


「お初にお目にかかりますゲーアハルト殿。いや、以前一度テラスティーネを介してお会いしていますね。」

 ニコニコと人の良さげな笑みを浮かべて、カミュスヤーナは声をかけた。

「あの時、ご挨拶差し上げると言いましたが、やっと約束を果たすことができました。」

「あの時の・・。」

 自分の顔に向かって熱波を放たれるところだったのを思い出し、顔が青ざめる。彼はそんな私の様子を嬉しそうに眺めた。


「無事戻ってくることができましたので、もうユグレイティの地に関しては干渉されませんように。」

「あ、あぁ。」

「テラスティーネをお渡しするわけにはいきません。その代わりと言っては何ですが。」

 カミュスヤーナは、自分の後ろから一人の女性を前に押し出した。

 白い身体に沿うドレスを身にまとい、紺色の濡れるような光沢の長い髪に、金色の瞳を持った女性だ。


「隣ジリンダの地の魔王ミルカトープの妹君ミルクレインテ嬢です。」

「存じてはいるが、なぜここに?」

「とある事情により、私が身元を引き受けることになったのですが、私では彼女の望みをかなえることができませんので、こうしてお連れしました。」

「その望みとは?」

「魔王の伴侶になることらしいです。」

「は?それをそなたが叶える必要はそもそもあるのか?」


「・・まぁ、ないですね。はっきり申し上げますと、私やユグレイティにとって、彼女は必要ないのです。人材は欲しいですが、有能でない者は必要ありません。また有能に育てる時間も惜しいのです。その点、私よりも魔王歴が長いゲーアハルト殿なら、彼女を育て上げることも、たやすいのではと思った次第です。」

「確かにそれは可能だが、私は一度受け取った者は手放さないぞ。」

「ええ、もちろん。彼女も含め、こちらへの干渉がなければそれでいいです。彼女をどうするかもお好きなように。」


 彼女は私の検分する視線を従順に受け取っている。

「少々口が過ぎるので、今は魅了の術をかけています。そちらでかけ直されますか? 多分私があらかじめ術を解除しておかないと、かからないと思います。」と彼は言葉を続ける。暗に自分の方が、魔力量が上だからそれを上書きするのは、至難の業だとほのめかしているのだ。とことん癪に障るやつだと思う。


「もう少し言葉遣いに気を付けたほうがいいのではないか?少しは目上の者を敬うべきでは?」

「・・これは失礼しました。このところ、丁寧にすると侮られることが多かったもので。」

 彼は苦笑して答えた。

「彼女は魔王の伴侶になったら、楽や贅沢ができると考えていると思われます。厳しく躾ければきっと素晴らしい淑女になることでしょう。」


 カミュスヤーナは彼女の両目に右手を当て、口の中で何かを呟いた。

 右手を外すと、隠されていた彼女の目に光がともる。

「カミュスヤーナ様。これは一体・・。」

「しっ、ミルクレインテ。ゲーアハルト殿の御前だ。口を慎め。」

 事情を問いただすミルクレインテの前で、カミュスヤーナは軽く人差し指を唇に当てて窘める。


「ミルクレインテ。」

 私は彼女の前に歩み寄り、その視線を合わせた。

「そなたは私のものとなった。伴侶にするかどうかはこれからのそなたの働き次第だ。」

「ゲーアハルト様・・。」

 私の差し出した左手に、彼女が自分の右手を重ねる。


 隣で不思議そうに私を見つめるカミュスヤーナを見返した。

「魅了などせずとも、これくらい御してみせる。」

 彼は私の言葉に目を見開いた後、ぎこちない笑みを浮かべた。

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