判明者リシア
私の名はリシア。エステンダッシュ領領主、アルスカインにここまでに至った経緯を説明している。
もちろん天仕であるということは除いて。アルフォンスにも、天仕であることは他の者に話していない可能性が高いので、テラスティーネ以外には話さないよう言われていた。
問題はテラスティーネに会う目的をどう説明するかだった。テラスティーネが天仕だとは言えないし、人間は魔力を他人に与えることなどできないからだ。正しい目的は会って魔力を与えてもらい、それに伴い記憶を取り戻すことなのだが。
経緯を説明しながら、どうするか考えていると、フォルネスが口を挟んだ。
「魔力を失ったことにより、記憶がなくなったということは理解できます。以前、テラスティーネ様が、魔王に身体と魔力を奪われ、記憶がなくなったことがあると聞いておりますので。」
「それは誰が言っていたのだ?」
「カミュスヤーナ様が。。」
フォルネスが私の方をちらりと見やった。
アルスカインは、更にフォルネスに向かって問いかけを続けた。
「その時はどうやって、テラスティーネの記憶を戻したのかは聞いているか?」
「詳しい方法までは・・ただ身体を取り戻した時には、記憶も普通に戻っているようでした。」
「すると、失った魔力が戻れば、記憶も戻るということか。。」
アルスカインは考え込むように顎に手を当て、その後私の方を見つめた。
「貴方は命を助けられた時は、致命傷を治すために魔力を使いすぎたのでしょう?その後は自然回復しているのですか?」
「ああ、それは。」
私は首飾りを取り出して、アルスカインに見せた。
「この首飾りから魔力が流れてきて、私の魔力回復を促してくれたのです。」
「・・最初からそれを見せてくれれば、話は早かったのに。」
「え?」
アルスカインは、大きく息を吐いた後苦笑した。
「それは婚姻の証です。私は、貴方とテラスティーネの婚姻式でそれを見ています。貴方はカミュスヤーナですよ。兄上。」
ずっと黙って話を聞いていたシルフィーユが、その紫の瞳をにじませて頷く。
「婚姻の証は、婚姻式までにお互いが作成して、婚姻式で交換するのです。お二人の婚姻の証は、あまり見たことのない乳白色の宝石がついていましたので、よく覚えています。」
私がカミュスヤーナ・・。
テラスティーネは、私の命の恩人でもあるアルフォンスの娘で、一対になった守護石の相手方で、しかも私の妻だった。
あまりにもできすぎている。でもこれが現実か。
「記憶が戻るかどうかはともかく、テラスティーネにお会いになってください。兄上。テラスティーネの様子は、今私も直接確認できないのです。フォルネス、あれを持ってきてくれ。」
「かしこまりました。」
「シルフィーユ。これから兄上がテラスティーネと会えるよう手配するので、自室に下がって待っていてくれるかい?」
シルフィーユは椅子から立ち上がって、私に向かって礼をとると、フォルネスと共に広間を出て行った。




