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エピローグ 宇宙最後のアメリカ人たち

 1970年3月17日 アポロ11号船長ニール・アームストロング記す。


 人類の新たなる一歩から早数か月。

 

 我々は絶望の航海を続けてきた。


 NASAとの連絡は未だに付いては居ない。


 最後のNASAとの通信は混乱する地球と日本からの攻撃があったことを最後に途絶えた。


 地球は祖国はいったいどうなってしまったのだろうか?


 アメリカは日本の魔の手に落ちたのか、それとも首尾良く撃退できたのか、答えは分からない。


 どの様な結果が待っていようとも、我々には地球に戻る以外の選択肢は無いのだ。


 二人の乗員は何とか正気を保とう努力しているが、この狭い船内には深い諦めの空気が漂っている。


 願わくば家族が無事であれば良いが。地球にたどり着けたとしても我々の着陸予定地は太平洋の真ん中だ、拾い上げてくれる者が居ないのであれば。そこに有るのは漂流、悪くすれば溺死であろう。


 そもそもNASAのサポート無しに無事、大気圏に突入できるか怪しい、それでも宇宙で死ぬよりは、一目地球を祖国の姿を目にしたい。


 1970年3月18日 今日は妙な夢を見た。遠く祖国に残した家族が私たちを呼ぶのだ。不思議な事にバズとマイケルも同じ夢を見たという。どうやら我々は精神的に参って来たようだ。


 1970年3月19日 今日も同じ夢を見た。家族の呼び声は昨日より鮮明に聞こえた。


 1970年3月20日 異常だ三人とも同じ夢を三日続けて見るなど。バズは夢の中で次姉が今迎えに行くと話しかけてきた言う。彼は宇宙のど真ん中でどう迎えに来ると言うのだと笑って返したそうだ。


 1970年3月21日 今日も同じ夢だ。自宅のリビングで、妻が私にもう少しで付くと話しかけてきた。バズの事は言えない。私も限界に来たのだろうか?


 1970年3月22日 マイケルがソワソワして落ち着きがない。夢の中で誰とも分からない人物が自分をジッと見ているのだと言う。その人物は一言「見つけた」と言うと消えたそうだ。


 念のため、船内の二酸化炭素濃度を再チェックしたが異常はなかった。

 

 1970年3月23日 マイケルと同じ夢を見た。あの人物の目が気にかかる。あの目は獲物を狙う獣の様に見えたのだ。


 1970年3月24日 これが最後の記録になるだろう。本船は何者かの襲撃を受けつつある。船外から何かが船を叩いている。


 なぜこの様な事になったかわからない。


 もう一度家族に会いたい。それも叶わぬ夢だ。


 マイケルは宇宙に放り出される前に、もしもの時に自決する為の毒薬を飲もうと提案してきた。


 私はここまで来たら襲撃者の顔を拝んでやろうと思い却下した。あれは何だ?窓に何か見える。船は軋みを上げ始めた。ああ神よ窓に!窓に!



 

 「まさか戻って来るとは思わなかった」

 

 ニール・アームストロングは数か月前の事を思い返しながら呟いた。呟いたと言っても真空中に声は響かないが、まあ癖のようなものだ。


 今彼は静かの海に再び立っている。今度は宇宙服無しで。

 

 彼は全裸であった。

 

 「しかし、救助ならもっとましな方法があったろうに」

 

 巨人となった彼はそうボヤくと後ろを振り返った、彼の視線の先には、荒涼たる大地を征服せんと、生い茂る森が見える。


 月は大日本帝国の宇宙開発前哨基地としてテラフォーミングが進められているのだ。

 

 そこには彼の地球帰還を待っていた家族がいる。


 ニール・アームストロング他二名は家族ともども宇宙移民第一号として月で暮らす事になっていた。

 


 地球への帰還ルートにあったアポロを捕まえたのは、悪魔に魂どころか国まで売った元親衛隊少佐であった。


 宇宙に取りつかれた元親衛隊少佐は、かなり早い段階で大日本帝国から接触を受けていたのだ

 

 勧誘文句は、不老不死と宇宙旅行。


 元親衛隊少佐は飽くなき憧れを胸に合衆国を高値で売り、見事権利を手にした。

 

 その元親衛隊少佐、ヴェルナー・フォン・ブラウンは次なる目的地へ出発しようとしている所だ。次なる目的地は火星。


 大日本帝国は今世紀中に太陽系全体を征服し、太陽系を集合意識星系へと変える大計画を行うつもりなのだ。

 

 月より飛び立つヴェルナー・フォン・ブラウンいや惑星開発生態船 富岳は太陽風をその身に受け火星への長い道のりへと加速した。

 

 大日本帝国はこれからも広がり続けるだろう、国を食らい、星を食らい、星系をも食らいながら。


 その先には、あの迷惑な来訪者たちが待っている。ではその先には?わからない、しかし彼らが止まらないことは確かだ。


 もしかしたら、自分自身が迷惑な来訪者として、時空を超え別の宇宙の大日本帝国の所まで行くやもしれない。

 

 ともかくも話は尽きないがこの話はここで終わりとしたい。また逢う日までさようなら。

 

 




 ところで君、家族とは良い物だよ。君も家族にならないか?


 

長々と駄文にお付き合い頂き誠にありがとうございました。これを読んでいた頂いた方々に感謝いたします。皆さまは家族も同然でございます。ねぇ家族になろうよ。



新シリーズ始めました。今度は可愛いメイドさんが出てきます。可愛いね。

 

 今度はノクターンで連載じゃあ!更なる馬鹿展開が見たい方はノクターンの方で作者名「ぼんじゃー」で検索お願い致します。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 理不尽過ぎて超笑ったです。ありがとうございました。
[一言] 面白かったんですが、 ジャンル宇宙〔SF〕じゃないかと?
[良い点] 最終話を読めて嬉しい。でも終わってしまって悲しい。それでも実際の文章量以上にイメージが膨らむすごい作品に出合えて超嬉しかった。 フィラデルフィア実験のような超空間ジャンプでも開発した米国…
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