実習訓練
実習訓練の時間が来た。
「今日もモンスター狩って行きますわよ」
人族の少女クリステルちゃんが、そう発破をかけた。
「行くにゃん」
猫人族の獣人アリスちゃんが応じる。戦略戦術作戦を確認して私は声をかけるわ。
「他パーティーと横一線に並列前進。パメラちゃん索敵。会敵したら速やかに排除此れで行きますわよ」
「「「「「おう!!」」」」」
パーティーメンバー全員が今度は応じる。ハーフエルフの美少年ケインを先頭に前進していく。
「進軍のマーチ!」
私は集中力上昇と移動能力上昇、攻撃力上昇のバフの唄を奏でる。パメラちゃんとクリステルちゃんも防御力上昇のバフの魔法をパーティー全員にかけるわ。バードの唄のスキルは複数のバフを一つでこなすのよね。
「前方100mエビルスパイダー1大物ですわ」
人族の美少女パメラちゃんが報告してきたわ。
「先行します」
ドラゴニュートの少年タツマ君が隠密のスキル発動させて言う。
「アリスちゃん詠唱開始」
「了解にゃ」
「パステルは輪唱のキャロル」
「了解」
「ケインは目視次第アンカーハウル」
クリステルちゃんは次々と指示を飛ばすわ。因みに『輪唱のキャロル』は魔法(指定した人今回もアリスちゃん)が発動すると追撃でもう一撃。『アンカーハウル』は攻撃を引き付け他を攻撃しようとすると追撃で大打撃与える。といったスキルであるのよね。
「後は50m5秒で会敵」
「「「「了解」」」」
エビルスパイダー、硬い甲殻の巨大蜘蛛が現れた。
「アンカーハウル!」
ケイン君が蜘蛛の攻撃を引き付けて捌き始めた。クリステルちゃんがエビルスパイダーの複眼をボウガンの矢で潰していった。蜘蛛はクリステルちゃんに攻撃の的を変えた。刹那エビルスパイダーの脚が二本切飛ばされる。ケインの仕業だ。
「アサシネイト!」
今度はタツマ君のアサシンの暗殺剣でまた二本切飛ばされる。片側の脚を無くしエビルスパイダーは動きが鈍くなった。こうなったらこっちのもんよね。
「距離取って」
クリステルちゃんの指示に従うと。
「煉獄の爆炎!にゃ」
アリスちゃんの初級爆裂火炎魔法が放たれる。初級とはいえ爆裂火炎魔法だ威力は絶大。それが2撃。跡形もなく消し炭と化したわね。
「にゃはは。見たかにゃ我が親友との渾身の力を」
アリスちゃんの魔力回復ポーション飲みながらの高笑いが響く。
「戦線が私達パーティーだけ遅れています。追いつくわよ」
私は注意喚起するわ。
「その通り。急いで」
リーダーであるクリステルちゃんも促す。又ケイン君が先頭のフォーメーションを組み、効果の切れたバフをかけ直す。
「進軍のマーチ!」
この前進を一時間続けるのが今日の実習訓練の内容だったのよ。