世界
あ~。不良殿下にしてやられたー。きっかけは教えて貰えたけど本心ははぐらかすんだもん。実習の時は品行方正なイメージだったけど、お見合いの後半戦が地ね。あれは皇位を諦める玉じゃない。フラウ男爵家じゃなんのメリットどころかデメリットしかないよね。皇位に野心無いと見せかけるカモフラージュ?デメリットの方が強くてお話にならないのよ。考え方が捻くれてる?私は貴族、最底辺男爵家でも権謀術数に生きる貴族。思考回路は裏を読まなきゃ気が済まない。気が済まないと言うより裏読みがデフォ、平常運転なのね。だから、貴族よりもシビアな皇族が裏があるのもデフォなのよ。確かに、ジークフリード様は第三皇子。継承権上位の兄君が二人いる。しかし、至尊の座に手が届く位置なのも事実。ジークフリード様の私を手玉に取る性格から、皇位に興味ありと私は予想する。それなら力のある有力貴族家と婚姻するべきですよ。そこを私パステルというチョイス。意表を突く点は評価するけど、極端過ぎる。うーん、ま、あの不良殿下の事ばかり考えていますので、恋してるの?という突っ込み受けそう。婚約破棄されなければ夫婦になるのだし、なってから聞きゃ良いか。というわけで思考停止。
うん、ノック。ラインハルトかぁ。
「姉上、勉強教えて下さい」
「良いですよ」
脳内思考と口調にギャップ?此れでも教育受けた男爵令嬢それなりの言葉遣いですよ。家族でもね。
「ラインハルト何を教えてほしいの?」
「世界についてのレポートです」
「じゃあ。おさらいからね。世界は4つの大陸、中央大陸、北極大陸、東西の2大陸に7つの国があり、大小の島から成る2国家がありますね。我がベルファスト皇国は北極大陸と中央大陸北部に渡る国家で、フラウ男爵領は中央大陸側に有り、私達が今居る皇都ベルファストは北極大陸側に有ります。北極大陸は最大の大陸で北半球の3分の2を占め極点を有する。此処までは良いでしょうか?」
「ハイ姉上」
「世界に暮らす人類は人族、獣人族、魔族、エルフ、ドワーフ、マーメイド、ケンタウロス、ラミアなど。これらは混血可能で世界中に散らばっており、一つの村落においてさえ混在するね。貴族も各種族が混在します。現在のフラウ男爵家は人族ですが、エルフと魔族の血が混じっていますね。自然界には動植物、魔獣、モンスターが存在し、人類の生存領域よりもそれ以外のほうが3倍もある。人類の人口は幾つですかラインハルト?」
「約8億です」
「よくできました。魔獣やモンスターの跋扈する世界において人類は様々なジョブに付き、それに伴うスキルや魔法で対抗しています。私はバード(吟遊詩人)で詩や調のスキル、魔法で戦うのです。ラインハルトあなたは?」
「アーチャー(弓使い)です。文字通り弓のスキルや魔法で戦います」
「此位で良いでしょう。此等にラインハルトの考察を添えて提出なさい」
「考察は自分でしなきゃ駄目ですか?」
「おさらいは調べれば解る事です。考察はラインハルトだけのものですよ。其処に口出しは出来ません」
「ハイ姉上」
ラインハルトは素直で良い子だから扱いやすいなぁ。それに比べて不良殿下はー。ラインハルトも腹芸や裏読み覚えていくんだけどね。