皇子の心配
ジークフリート様はこの際だから、護衛の騎士を寄越すと言って利かなかった。それを私とお父様は必死に辞退する。
「パステルに何か有ったら、取り返しつかない。是非腕利きの騎士をつけてほしい」
「皇子、我家にも腕の立つ騎士は居りますので。それに体面として痩せても枯れても男爵家、子女の安全確保も出来無いと言われる訳にはいけません。ご厚意は感謝致しますが騎士の派遣はご遠慮申し上げる」
「失礼した。只パステルの身を案じるあまり貴族の体面を無視してしまった。それに配慮するから極秘裏ならば」
「大丈夫ですから。当家の家臣たちも誇りに賭けて私の安全確保しますので」
「パステルもアーダベルト殿も頑固だな。原因は私なのだ。何もせぬわけにはいかぬ」
「自分の安全確保を他家に任せる訳にはいかぬのも又道理。お分かり下さい。殿下はかの女傑の始末に全力を尽くして下さいませ」
「そうか。心配だが致し方ない。パステルも十分用心深く行動するのだぞ」
「ありがとう御座います。私も若い身空で散りたくはないですので」
殿下はその後もくどい程身辺警護の陣容は手厚くするように言ってた。余程私が心配な様で悪い気はしないわね。巻き込んだと思って居るみたいだけどそれは少し違う。貴族の習性として敵を作るのはデフォ。敵対する貴族と鎬を削るのが日常なので、巻き込んだ巻き込まないではないのよ。取り敢えず、学園の行き帰りと実習演習さえ気を付ける様にすれば、危険度はある程度抑えられる。流石に暗殺者に四六時中付け狙われるのは勘弁。私が襲われたのは先の2つのシチュエーションだから、この2つに要注意というのは甘いのだろうか?あーん。勘弁だが四六時中付け狙われるのだろうか?禿げそう。
まぁ考え過ぎは良くないわ。家臣たちが守ってくれると信じて、耐え忍ぶしかないね。しかし、黒幕のおばはんよくもやってくれたわね。出来れば反撃してやりたいけど、痩せても枯れても皇子の生母、手が出せる相手じゃない。ジークフリート殿下が方を付けてくれるのを待つのが最善策。あ~もどかしい。
しかし、フラウ男爵家が国際的には十分名家なのは以外だったなぁ。単に、外国だけどお隣さんだから災害時に御見舞いしただけなんだよ。こっちとしては。まあ感謝してくれてるらしいから、悪い気はしないけどね。
あと家は貧乏男爵家だと認識してたけど、確かに借金はないわね。他所は借金漬けのとこがほとんどだって殿下はおっしゃってたけど、収入自体はうちよりも多いんだよね。うちの領は国の端しの田舎だから、税は抑えて少しでも領民を増やそうとしてたのね。国で一番税金が安いとは思わなかった。そのお陰で領民たちが豊かならそれはそれで良い事だわね。フラウ男爵家が富むよりもずっと。
まあ殿下が方を付けてくれる迄、耐え忍ぶしかできないのは業腹だけど、さてどんな方を付けてくれるのやら。




