第三の彩
「あら、牡丹じゃない。任務お疲れ様!」
「姐さん。おおきに。」
ここは大浴場。日々の疲れや傷などを癒すのに隊員は使う。
地下シェルターとは思えないほど設備はいい。
そして広い。
先に入っていたのは〈白銀隊、隊長:メル=白銀〉だった。
ハーフだという顔立ちに、白銀に輝く長い髪をまとう姿はどこかの令嬢のようだった。
牡丹は白銀の浸かる湯に近いシャワーを使う。
「怪我はしたの?」
後ろから白銀が問いかける。
「いいえ。かすり傷程度です。」
そう答えると
「そう!それは良かったわ!でも、しっかり手当してもらうのよ?」
と、返ってくる。
「ええ、そうしてもらいます。姐さんはホンマに優しいわぁ。」
そう言って牡丹は微笑む。
「ば、バカね!後輩の心配をするのは先輩の特権でしょう!」
言葉とは裏腹にその顔は、にやけているはずだ。
ザパァ!
「背中流してあげるから向こう向いてなさい!向こう!」
「ふふ。おおきに。」
湯から上がった白銀が近づいてくる。
「ホンマにいいお人やわぁ…。」
「なにか言った?」
「いえ、お気になさらず。ただ、大好きです。言うただけです。」
「なっ!よくそんなことサラッと言えるわね…。」
ゆったりとした時間が流れていく…。