第二の彩
ギギィ…ガコンッ
重い扉を開け、カンカン…と鉄製の階段を降りていくとそこには都市があった。
地下シェルターと言うには大きすぎるかもしれないが、かつての世界からすれば
ちっぽけなものだった。
「おかえり〜」
「怪我したやつは後で処置室来いよ〜」
「お疲れさまです!」
三隊を迎える声が響く。
「「「東雲隊、坂城隊、柳隊、ただ今戻りました!」」」
声を揃え、迎えてくれた仲間に無事帰ったことを伝える。
「任務ご苦労さま〜。」
皆の中から一歩出てきた女性は珊瑚色の髪をハーフアップにまとめている。
「元帥が待っているわ〜。隊長たちは報告をお願いしますね〜。」
ふわんとした喋り方で元帥の部屋へ行くようにうながす。
コンコン
「入れ。」
「「「失礼します。」」」
声を揃え返事をする。
ガチャ…金属のドアノブを回し扉を開ける。
部屋には執務用の机と椅子、ソファ、整頓された本棚があり、塵一つ無い。掃除が行き届いている。
その空間で椅子に座っている黒髪の男性は〈元帥:黒瀬 壱〉だ。
その前に呼ばれた三名は並ぶ。
「東雲隊、」
「坂城隊、」
「柳隊、」
「「「ただいま帰りました!」」」
元帥室へ促した女性は元帥の左側につく。
彼女の所作は柔らかいが一部の隙もない。
流石は〈大佐:園宮 珊瑚〉と言ったところだ。
「おかえり、ご苦労だった。軽く報告をしてくれ。」
「では、私が。」
〈東雲隊、隊長:東雲 慶心〉がそう言って前へ進み出る。
「では、慶心頼む。」
「はい!今回の任務ではまず、重症者は出ませんでした。今回怪我をおった隊員は処置室に行っております。」
「そうか。それは、良かった。では敵の数は。」
「敵の数は後に出現したものも含め全部で6体…」
「7です。小さいのがおったんですよ。」
というのは〈坂城隊、隊長:坂城 牡丹〉。
「……うむ。なるほど。近頃『空帰』の動きが活発化しているように感じられるな。」
「はい。ここ最近では一番多い数だと思われます。」
「…千歳、高台から見て何かいつまでとは違うことはあったか?」
「いえ、特になかったと思います。」
名前を呼ばれた〈柳隊、隊長:柳 千歳〉はそう答える。
「偶然ならばいいのだが…。」
元帥と隊長たちに沈黙が流れる。
「うむ。とりあえず任務ご苦労。報告書は後でもいい。しっかり休め。」
「「「はい!」」」
パタン…。
「園宮。」
「はい〜。」
「規則性を見出だせるかもしれん。報告書を見てデータを作成しておいてくれ。」
「早急にご用意いたしますね〜。」
隊長たちと大佐である園宮が出ていった部屋で黒瀬はふぅ…と一人、息をつく。
「まだまだだな…。これからだ。この組織も、……自分も。」
「では、うちは湯浴みに。」
「僕は銃の手入れを。」
「オレはとりあえず処置室に行くか。」
では。と元帥の部屋を出た三人はそれぞれ別方向へと別れていく。