第一の彩
『東雲隊、坂城隊!前方右に新たな敵を確認!』
インカムから聞こえてきた柳の声に
「「了解!」」
と、呼ばれた両部隊は応答する。
「牡丹!こっちは任せろ!」
東雲色の髪色をした青年が叫ぶ。
「よろしゅうたのんます。」
牡丹と呼ばれた少女は艶やかな牡丹色をしたショートヘアの髪をなびかせ敵、〈空帰〉に向かっていく。
「丹波!坂城隊の方に回れ!」
青年が再度指示を出す。
「はい!」
丹波と呼ばれた少年は牡丹の方に向かっていく。
《坂城流抜刀術…》
牡丹は刀に手を置き、集中する。
彼女が使うのは抜刀術。
《散り椿》
玖ある技のひとつ、〈散り椿〉を使い敵を薙ぎ払う。
空帰は煙のように消えていく…。
「っ!坂城さん、危ないです!」
丹波が叫ぶ。
が
空帰に背を取られた牡丹は動じない。
バシュッ!!
『命中。』
柳の声が静かに言う。
「ほな、またね?」
牡丹は微笑しながら散る敵を見る。
柳が銃で狙っているのはお見通しだったようだ。
「おぉ…。派手にやったな…。」
元々いた敵を倒し終わり合流した東雲が言った。
土はえぐれ、近くにあった建物は一部倒壊している。
「東雲さんの方もうちのことは言えないでしょう?」
牡丹が口元を袖で隠しつつ言うと、東雲が率いる隊の面々がビクリと肩を震わす。
「ま、まぁとりあえず柳の部隊と合流だ。」
「話をすり替えましたね。」
と、坂城隊の琥珀が言う。
インカムからクスッと笑い声が聞こえた。
「なんだ、柳まで。」
東雲が少し不機嫌そうに聞くと
『いえ、合流するのは先刻のところでいいですか?』
と柳が言う。
「あぁ。そうしよう。」
東雲隊、坂城隊、柳隊は荒れた世界で帰路についた。