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美人の定時先輩は×××がしたい!!

作者: 白雪ぐみ

頑張ったので面白ろいと思います。

夕暮れ時の校舎には生徒達が部活に励む声が響いている。さぁ、古典部も活動の時間だ。

「定時先輩!!」

定時先輩は艶やかな髪をなびかせ、こちらを振り向く。そして、冷淡に一言。

「何?」

今日は帰らせない。だって僕は定時先輩が×××が好きだって分かったから。

「まだ帰ったらダメですよ。」

「古典部の定時は4時30分よ。」

いくら、クールぶったって無駄だ。決まり文句のそのセリフも効きやしない。だって定時先輩は...........

「定時先輩は×××がしたいんですか?」

 

これは定時に帰りたい先輩と定時に帰らせたくない僕との戦いの記録だ。



僕はついこの前、高校生になった。高校で一番楽しみにしていたのは、部活だ。それも文化系の部活。あのゆるっとした雰囲気で青春を謳歌したい(本当は文化系青春小説に憧れただけ)と思って古典部に入ったんだけど..............。


〜〜〜3日前〜〜〜

あれっ、どこなのかな。古典部の部室って。確か、歴史研究だったっけ?2階だよね?それにしても楽しみだなぁ〜。文化系ってどんな感じなんだろう?やっぱり、小説みたいに活動することがなくてゆるく過ごしているのかな?それでたまに事件が起こって古典部で解決したりするのかな?そして、学校に代々伝わる謎を解くのかな?分かんないけど、楽しみだなー。

あっ。あれか?歴史.....研究室....。やっと見つけた。

「失礼します!!新入部員です!!」

歴史研究室には1人の女の人がいた。

あれって、まさか.....。噂には聞いていたけど、スゴい美人だ.....。古典部には美人の先輩がいると噂で聞いていた。(もちろん、それ目的じゃない) 

長く下ろした黒髪。細い首筋。整った顔に大きい目。白い肌とかけている赤渕メガネとの色の対比が美しい.......。いやいや、そうじゃなくて、自己紹介しないと!

「あっ....あの!!僕、新入部員の.......。」

「私、帰るから。」 

「...はっ?」 

そう言うと美人先輩は僕を横切って、廊下を歩いていく。えっ?.......帰る?新入部員が来ました、名前も聞かずに帰る?は?どうゆうこと?

「ちょっと!待って下さい!」

僕は走って美人先輩を追いかける。だけど、美人先輩は歩く速度を緩めない。それどころか、ちょっと速くなった気がする。僕は美人先輩の前に立ち塞がる。

「ハァ.....ハァ....あの、僕は何をすれば......?」

美人先輩は少しムッとして言う。

「部活終了時間までに鍵を職員室に返すこと。それ以外は自由でいいわ。」

言い終わると美人先輩はまた歩き出した。僕は美人先輩に怖い顔をされたのでそれ以上、追いかけることが出来なかった。

結局、その日は鍵を返しただけだった。


〜〜〜2日前〜〜〜

僕は少し腹が立っていた。もちろん、昨日のことで。

美人といえども、あんな言い方をされたら僕でも腹が立つ。今日こそ美人先輩を帰さない。絶対にどうにかして古典部として活動したい。

僕は放課後になるとダッシュで歴史研究室に向かった。他のクラスはまだホームルームが終わってなかったし絶対に僕の方が早い。ん?鍵が開いてる.......?

そのとき歴史研究室の扉が開いた。 

「あら?遅かったわね。私、帰るから。」

ありえない速さだ。瞬間移動したのか?ダメだダメだ!昨日みたいにかえさないぞ!

「ちょっと!!先輩!!部活サボるんですか?」

美人先輩は得意げな顔をして言う。

「サボりじゃないわよ。あれを見なさい。」

僕は美人先輩が指差す方向を見た。そこ、歴史研究室の壁には大きな紙にこう書かれていた。。


“古典部の掟 


其の一、定時は四時半とす。 以上“


............なんだそれ?

「ってことで私、帰るから。」

いや、そんな理屈が通用するか!!

「先輩!お言葉ですが、そのルールは先輩が作ったものですよね?」

こんな都合の良いルールなんかあるわけない。絶対に美人先輩が勝手に作ったものだ。

「違うわ。その紙の端を見なさい。」 

紙の端?.......昭和四十年度......だと?

「....っ....これもどうせ偽装なんですよね? 」

美人先輩は余裕を持って答える。

「いいえ。私が入ったときからあったわ。紙を見たら分かるでしょ?その年季は偽装できないわ。一番いいのは、顧問の先生に聞くことね。」

これは本当に...........本物......?

「その掟は古典部の伝統よ?大切にしないといけないでしょ?」

美人先輩は唇の端をニッと上げた。

「じゃ、鍵よろしく。」

「.......................。」 

僕は何も言い返さず、呆然と美人先輩が帰る後ろ姿を見つめていた。



そして昨日、僕は美人先輩...いや定時先輩を尾行した。もちろん、やましいことは考えていない。定時先輩がただ家に早く帰りたいだけなのか調査をしただけだ。定時先輩が早く帰りたいのには何が特別な理由があって、その理由が分かれば切り札になると僕は考えた。全ては古典部としてゆるりとした活動をするためだ。

そしたら....................





「定時先輩は×××がしたいんですか?」

定時先輩は一瞬、明らかに動揺した。表情こそ変化しなかったが、僕は微妙な変化を見逃さなかった。耳が赤くなり、目が若干泳いでいる。

「いっ....いきなり何言い出すの?しかも、こんなところで?」

定時先輩は明らかに焦っている。僕はさらに追い討ちをかけるべく、あえてゆっくりと余裕を持って言った。

「実は僕.....見ちゃったんですよ。昨日。」

定時先輩はもう表情を保てなくなっていた。その整った顔は理性を失っていた。

「お願いだから!.......誰にもそのことは言わないで.....下さい....。」

半泣きで定時先輩は僕に縋ってきた。

「えっ?×××?どうしよっかなぁ〜。」

定時先輩はいよいよ本格的に泣き出した。廊下に座り込んで、泣きじゃくった。まるで小さな子供みたいに。だから僕は救いの手を差し述べてあげたんだ。

「先輩。僕もそんなに鬼じゃないですよ。定時に帰らないなら、誰にも言いません。」

「...本当?.......」

定時先輩は泣きじゃくった後の子供みたいにぐしゃぐしゃの顔だった。

「僕は古典部として活動したいだけどなので。」


こうして古典部は始動する訳だ。







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