その後
あの二人が帰ったあとは警察の事情聴取とか学校関係者の訪問、怪我の説明やらなんやらで疲れ寝てしまった。これから一週間停学なんだ。羽を伸ばすとするかね。
それにしても…
『ありがとう…そして…』
何を言うつもりだったのだろうか?
…彼女ことだから何か励ましの言葉でもくれようとしたのだろう。気にしてもしょうがない。所詮僕ごときにかける言葉なんてそんなもんだろう。普通だよ普通。いい響きだな。
そんなことを考えていると姉の咲が入ってきた。
「よお、大丈夫かい?」
「えぇ平常運転ですわよ我が姉よ」
結構時間経ってるな…1番来るの遅いって家族とはよ。まぁ…忙しんだろうな。
「もぉ聞いたよ〜井上ちゃんから〜。」
「へー」
「全く…あんたもやるようになったわね〜別人の話かと思った〜」
「へー」
「さっきから冷たくない?なんなの?27なの?海軍大将なの?」
「27?…あぁ9×3(クザン)ね。分かりにくいわ!」
「ふふっ思ったより元気そうね…安心した。」
「迷惑かけますな。」
「ホントよぉあんた居ないと家に1人なんだから」
そう、うちの家は両親共働きの転勤族である。アニメによくありがちですな。
「まぁ…明日退院ですし。」
「そうね、まぁ今日は安静にってことで…じゃーね」
「あいよ」
全く…いい姉ですこと。ま、絶対本人には言わないけどね。付け上がるし。
この後、両親から電話が来た。詳細は姉ちゃんから聞いたらしい。父親が「暴力じゃなくて正義の鉄拳だ」とか言って褒めてた。
ちなみに、あの男は暴行と薬物所持でお縄になったらしい。暴行だけじゃなくて薬物って…怖ぇな。僕のかました1発は正当防衛に一応なるらしいが明らかに向こうの方が大怪我だった。でも1発しかやってないしね…でも少し罪悪感が…やっぱないわ。
おっと、もう消灯時間か…はよ寝よ。
翌日僕は退院し、残りの停学の日々を満喫した。
停学が明け、僕は学校に向かっていた。
「はぁ…」
「あ、おはようございます小林さん!」
「おー元気そうで何より」
「はい、おかげさまで…その…お見舞い行けず、すみませんでした。」
「あー気にすんな、勝手に相手煽って勝手に怪我しただけだ。」
「いえ!そんなことないです!助けてくださったじゃないですか!本当に…無事で良かったです!」
本当に僕の周りは…
「その…なんだ、ありがとう」
「っ!?はいっ!どういたしまして!」
…良い奴ばかりじゃないか。
ー教室ー
教室に入るとやはり少しざわついた。僕が頼んでなんで入院&停学だったのかは伏せてもらった。目立つのは嫌だし、これで喧嘩ふっかけられても困る。
そんなことを思いながら席に着いた。
「こばちゃん」
井上が話しかけてきた。すると彼女の後ろの方から「やめときなよ」という声が聞こえてきたが井上は続けた。
「こばちゃん、とんでもないことになってるよ」
「へ?」
聞くところによると、このクラスのDQN連中が僕が停学していたのは、他人の彼女を横取りし、取り戻しに来た彼氏や彼女本人にまで暴力を振るったのだという話を流したらしい。
はぁ…めんどくせぇ。
おそらく、原因は僕が水川、霧島とつるんでいるからだろう。この2人はとにかくモテる。だが水川はともかく霧島って…中坊はよく分からん。まぁそんな2人と最底辺の僕がつるむのが気に食わなかったんだろう。そこに、僕の停学という絶好のチャンスが舞い込んできたって感じか…
「あれ?クズ人間の小林君じゃないですか?あんなことまでして刑務所に入んなかったのはご両親のおかげですかね?」
はぁめんどいのが来たな。こいつは、DQN連中の1人。名前は知らん。こいつらの名前どころか生態にすら興味が無い。
そうだな…こいつはK1号と名付けよう。それにしても、こんな奴が人気者とか…やっぱり中坊はよく分からん。
「でさぁ井上ぇ」
「え?あ、うん」
「おいおい?無視かこの野郎!やっぱりクズ人間には言葉は通じなかったか…井上ぇ…お前こんな奴に関わらない方がいいんじゃないか?」
おいおい、井上までに迷惑かけようとすんなよ。せっかく無視してやったのに。
「そ、そうよ!」
「すずちゃんやめときなよ!」
「こんな奴に構ってないで!」
あーあ人気者ってすごいね。仲間がどんどん集まってくし、話も信憑性100%だしね。しょうがない…
「はぁ…ホントだよどっか行けよ井上」
「こばちゃん…」
「ね?話しかけてくれた人にこの態度だよ?やっぱりクズ人間だな」
「すずちゃん行こ?」
「うん…」
…これくらいは言っておかなくちゃな
「わりぃな井上…」
「うん…分かってる。ありがとう…」
最後に奴らに聞こえないくらいの声でこんな会話をした。
ごめんな井上。お前に飛び火させないためにはこれしか……
『2年3組 小林 裕也君 至急校長室へ』
「は?」
ご安心ください。もう少しでギャグパートに戻ります。
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