1日目
空調の効いた室内。
騒がしい笑い声。
ふと気が付くと――――
「ねぇねぇ、それ食べないの?後で貰っていい?」
そう言うと中山は目の前にある俺のおにぎりを指差した。
「...まだ食べてる途中だから」
そう言い放ち、俺はおにぎりを脇に寄せた。
時々、色々なことに疑問を抱くことがある。
地球以外になぜ人類がいないのか、とか、
幽霊は存在しないのか、とか。
勿論、そんなものは言ってしまえば科学で証明されてしまうし、疑問に思うこと自体が間違いなのかもしれないが、それでも気になるものは気になる。
―――そういう夢を見ていた気がする。
「5限何やるの?」
「えーっとぉ、うーんとぉ、うわ、道徳じゃん」
道徳か。社会的に「良い」回答をだけの授業だ。
生徒の価値基準を教育するのはいいことだと思う。が、答えのない授業は如何なものか。
社会的に強い人間を作り上げたところで、それは社会の家畜に過ぎない。
そういう事に腹を立てた人や、疑問を持った人たちが犯罪を犯していくのではないだろうか。
「起立」
「じゃ、電話切るね」
―――俺は今日も家畜として自宅警備を続けていく。