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逃走冒険者(エスケープ・チャレンジャー) ゲーム世界からの脱出計画日誌  作者: 茶山 紅
事件発生 現実に帰れない現実と新しい街へ
22/54

新しい街での二日目(3) 図書館へ行こう


「このゲームがあっさりとハッキングされた。

 つまりだ。運営側がそのハッキングをちゃんと出来るのか? と、言う疑問だ。

 ま、ここのテストプレイにはわりと、有名な著名人とかもいると思うし」

 と、俺は言う。

 大会社などが、自分の娘を使ってのテストプレイと言う可能性もある。それを、考えるとその親はたとえ、どんな手段を使っても子供を助けるだろう。

 自分のような親に望まれずに生まれた子供ばかりではないのだから……。

 とにかく、その現状を考えるに運営側も必死でどうにかするだろうが……。

「このゲームを強制的に終了させたら、脳にどう言う影響を与えるかは解らないからな」

 このゲームのある種の危険性。それは、脳と言う人間が生きていく上で重要な器官。脳を機械が支配していると言う事だ。

 万が一、強力な電気を大量に流された場合……脳が破壊される。廃人にされて、なんらかの形で脳の機能を停止されれば、植物人間の出来上がりだ。

 そうなれば、法律が許したとしても世間も人も許しはしない。

 ただでさえ、運営側はこの事件でおそらくだが世間に叩かれる。

 どれだけ早く事件を解決しなければ致命的になるだろう。

 かといって、死傷者や意識不明の重症者を出しても致命的だ。

「まあ、運営側だけに任せるのは危険だな。

 やるからにいは、どっちかと言うと努力して事件を解決する方法を考えよう」

 それに何より、スプリングの話が事実ならばここの運営はゲームプログラムに対する知識が圧倒的に足りてない。どう言うプログラムなのか、下手をしたら分析から始める事になる。現実と、こちらとは時間の流れが違う。

 それを考えると、待っているほど俺たちに余裕は無いのだ。

「それを、考えるとまずはこの世界について調べる事だな」

 と、俺は冷静に言う。

「となると、情報収拾か……。

 それなら、この都市には図書館があるらしいぞ」

 と、ハヤテが言う。

「図書館かー。なるほどな。

 何かの情報が手に入るかもしれないしな」

 と、俺も言う。

 魔法の事、この世界の基礎情報を手に入れる。

 それを、考えるとまずは図書館だ。

「とは言え、他にも情報を集めた方がええからな。

 ハヤテにうちは街での情報収拾やな。

 スプリングとクレセントにユウは図書館で情報収拾をお願いするで」

 と、カエデが言う。

 まあ、たしかに金銭関係に限定されるが情報を得る事が出来る商売人。そして、情報収拾に特化している情報屋と言う職業。

 この二つの職業の二人ならば、一日もあればこの都市についての詳しい情報はたっぷりと手に入るだろう。

「ギルド登録したから、ギルドチャットも可能やしな」

 ギルドチャット。

 ギルドをする事で使用可能になるチャットである。

 チャットとは、まあ言ってしまえばリアルタイムでの文字での会話が可能の掲示板みたいなものだ。掲示板と違うのは不特定多数の相手へではなく、特定の人物にである。

 言ってしまえば、ギルド内での会話が可能と言う事だ。

「緊急連絡などがあったら、そっちで連絡するわ」

 と、言うとハヤテを釣れてカエデは人混みへと向かったのだった。

 ……カエデがギルドマスターになれば良かったのに……。

 と、俺は本気で思いながらも図書館へと向かう。

 街並を歩けば、いろんな人や露店もある。

 場合によったら、露店をプレイヤーがする事も可能だそうだ。

 とは言え、今はそれはないし、そうなるとも解らない。

 そう思っていると、図書館が見えてきた。

「うわ。でかいな」

 と、俺は素直に感想を言う。

 漆喰で作られた建物は、図書館と言うよりもお屋敷と言う印象だ。

 図書館へ入ると、

「いらっしゃいませ。お客様。

 お客様は初めてのお客様ですね」

 と、受付の人が言う。

 受付の人のそばには、肩乗りぐらいの小人がいる。

 サンタクロースのような服装をしているが、赤ではなく緑色。髭は生えて無くロングヘアーの小人である。

「あ。本の小人(ブック・フェアリル)だわ」

「ぶっくふぇありる?」

 メロンの言葉に俺は聞き返す。

「妖精族の中でも、本好きの一族よ。

 知識をため込む事を好んでいるわ。

 まあ、知識は豊富だけれど魔力はすくないわね。攻撃魔法は不得手だけれど、援助や支援の魔法が得意な種族よ。

 まあ、基本的に書庫とか図書館とか本が集まる場所に住み着いて、旅する種族ではないわね。だから、見られるのも基本的に町中」

「詳しいな」

「当然、あたしは凄い妖精族なのよ」

 俺の言葉にメロンが無い胸をはる。

 とにかく、メロンの話はスルーして俺は受付のお姉さんに初めて来た事を伝える。

「それでは、ご説明させていただきます。

 図書館の書物は基本的には自由に読めますが、冒険者のお客様しか入れないエリアもございます。また、エリアには冒険者のランクによって入れるエリアがあります。

 また、図書館内では戦闘を禁止しております。

 図書館での本の貸し出しは可能ですが、本の返却は借りた場所でとなっておりますし、二週間以内にの返却が義務づけられております。

 二週間過ぎても返却をしない事が、あまりにも多いようですと図書館の利用を禁止させて頂きます。そのため、借りる場合は身分を証明するもの……冒険者カードなどを見せて頂きます」

 と、受付のお姉さんは言った。

 なるほど、そう言うのは現実とあまり変わらないな。そして、借りたままログアウトした場合は、間違いなく返却が出来ない。そして、返却は同じ場所と言う事は、旅立つ前には必ず返却をしろ。と、言う事だ。

 とは言え、それはログアウトが出来たら……の話だ。

「解りました」

 と、俺たちは頷きとりあえず図書館に入る。本を借りるつもりはないが、それでも読み切れる保証もない。と、思わせるほどの本があった。

「えっと……本を読むのに担当は決めておくか。

 俺は魔法やスキル関連について調べるな」

 と、俺は言う。新しい魔法を覚える方法などがあれば、覚えて起きたいのも本音だ。

「それじゃ……私は歴史」

 と、スプリングが言う。

 腐女子だけじゃなく歴女なのか? と、思ったが黙っておく。

 歴女とは歴史を調べる事が趣味の女子である。

 ちなみに、歴史の成績が良い女子と言う意味ではないのであしからず。

 クレセントは魔物について調べると言う事になった。

 俺はそのまま、魔法やスキルについて書かれた書庫を見る。

「へー。結構あるな」

 と、俺は書物を見る。

 魔法の初歩。スキルの初歩。魔法大辞典等々……最初の簡単な部分の情報でも色々とある。ちゃんと調べておいた方がよいだろう。

 素朴な疑問なのだが、このゲームが本当にゲームオーバーの後に生き返る。と、言う保証があると言うのも謎だったりするのだ。

「えっと……魔法の種類っと……」

 と、言う本を読んでみる。

 どうやら、初心者用だけあって詳しい説明ではないが系統は書かれていた。

 火の魔法、水の魔法、木の魔法、土の魔法、金の魔法、光の魔法、闇の魔法、無の魔法と言うのが基本の魔法の属性であり、基本であるそうだ。

 ……そう言えば、魔法使いの職業を選んで覚える魔法を選んでください。の魔法だったな。と、俺は思い出す。

 さらに発展していけば、天候操作の魔法や死霊魔法などもあるそうだ。ちなみに、死霊魔法や系統としては闇属性だそうだ。

 魔法は最初に素質が決まるが、修行や熟練……そして、魔法屋などで修行する事で新しい属性の魔法を覚える事が出来る。

 ただし、有料でありさらにレベルに左右される。

 つまり、レベルが低ければお金を払っても新しい属性の魔法は覚えられない。と、言う事らしい。

「うーん。シビア」

 大金をかけて挑戦して、魔法は覚えられませんでした。と、なったら涙する。なんと言うか妙に現実的なゲームだ。と、思ってしまう。

 魔法を覚える条件はいろいろとある。

「えっと……火の魔法をレベル10以上でさらに上位の魔法が覚えられる。火と水の魔法でって……条件がまるで蔓草と言うか……」

 いろいろと条件がある魔法もあり、中には条件が解らない魔法もあるようだ。

 いや、正確に言えば今の状態では知る事が出来ない。と、言うやつだろう。知るには、おそらくだが調べて行く事やランクを上げることもあるのだろう。と、俺はランクが上の図書館を見る。

 情報を得るにもランクを上げる必要があるのかも知れない。

 お金も欲しいことを考えると、やはり仕事をしていくのも大切だろう。

「どんな魔法を覚えるつもり?」

「そうだな。まあ、基本属性の魔法は覚えて起きたいな」

 と、メロンの言葉に俺はそう答える。

「それ、効率が悪いわよ。

 まあ、いろいろと出来るんでしょうけれど」

 と、メロンが言う。

 まあ、たしかに成長して行けば万能な魔法使いになれるだろう。だが、それはやり込んでレベルが上がれば……である。初期の頃は言ってしまえば、得意分野がない。器用貧乏と言うべき状況なのだろう。

「良いんだよ。それに、うちの職業に魔法攻撃がまともに出来るのは今のところは、俺だけだからな。そうそう人員が増えるとも思えないし」

 と、俺は言う。

 魔法使いは比較的、人気の高い職業だろう。

 とは言え、これから先にプレイヤーが増えて行くとは……悲しいながら思えない。

 それに、仲間にするならば人間性にも気をつけたい。

 目的もちゃんと一致できるかとか……。脱出方法が解らない状況では、ここは遊戯ゲームではなく現実リアルとなっているのだから……。

「ま、時間だけはたっぷりあるんだしな」

 と、俺は言う。

 悲しい事ながら、ここでの一ヶ月は……驚く事に現実の時間ではたった四時間だ。現実の方が対策本部を立て始めるのに一日かかると、考える。

 すると、こちらの世界ではなんと三ヶ月もかかるのだ。

 解放に現実で一週間かかると考えたら驚くべき事に、こちらでは二十一ヶ月。一年と九ヶ月とほぼ二年だ。感覚としては二年間も延々とゲームをし続ける事が出来ると言う事なのだ。それほど、ゲームを熱中してやるほうではないが……それならば、それなりのレベルになると思う。

「まあ、万能なのは良いことだよ」

 と、俺は言う。

「後は、回復魔法を覚えたいんだよな」

 回復魔法は光の魔法のレベルを10覚える。さらに、聖職者や教会で祝福を受ける必要があるそうである。それなりに難易度が高そうだな。と、俺は思ったのだった。

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