事件当日から二日前 ゴーレムとの戦闘
夏は私生活が忙しいので、更新がかなり停滞します。お待たせします。申し訳ありません。
「どりゃぁぁぁぁ!」
一気に殴りかかるクレセント。
だが、曲がりなりにも岩の体である。
殴った岩は、問答無用で……壊れない。
HPを見て見ると、
「……悲しいな」
わずかに二つしか減っていない。
「うう。手が痛い」
逆にクレセントが手が痛そうだ。
幸いな事に、手に痛みを感じるだけでHPは減っていないが……。
「どりゃ!」
と、同じく剣で斬りかけたハヤテの攻撃も八割、無意味な形でありHPが減った量はわずか。
「なあ。いま、思ったんだけれど剣が壊れたりしないだろうな?」
「さあな」
ハヤテの言葉に俺はそう言いながら魔法スキルを発動させる。
「フレイムアロー」
発動させた魔法は、命中した。
「お。まともに聞いたな」
減ったHPは5ぐらいだ。
決定打にはならないが、まともに聞いている。
とは言え、火ではあまり相性が良く無さそうだ。
「土に火ってあまり相性が良くないんじゃないの?」
「あいにくと、まともな攻撃魔法が火だけなんでね」
水が効果があるのか怪しいし、光は論外だ。
本格的に、新しい魔法を覚えたい者だ。
そう思いながら、俺が攻撃の要となり、クレセントがかく乱。そして、ハヤテが防御という形、援護と補佐がメロンとウィンディの役目となって居た。
そして、戦闘を繰り広げる。
ゴーレムも高い。物理的な攻撃であり、魔法の攻撃が出来ないために、接近戦ばかりなのだがその一撃、一撃がしゃれにならないほど威力が高い。
岩の拳の一撃を、ハヤテは盾で受け止めるが、
「ぐおお!」
と、言う声と共に後ろに五メートル近く吹っ飛ぶハヤテ。
「大丈夫か?」
「大丈夫だ。腕がじんじんと痺れるけれどな」
俺の言葉にハヤテが言う。
ステータスを見て見ると、ヒットポイントがかなり減っている。こりゃ、俺なら一撃で即死だな。
「しっかりしてくれよ。ハヤテ。
まちがいなく、俺に命中したら俺は敗北だ。
俺が敗北したら、勝つ手段なんて無くなるぞ」
「志望した仲間を蘇生させるアイテムとか無いのかな」
俺の言葉にハヤテが言えば、
「そう言うのは、初心者の所には無いんでしょ」
と、言ってクレセントがゴーレムの脚を狙う。
「ハヤテ! 攻撃するなら、脚だけを狙ってちょうだい。出来れば、右足」
「その理由は?」
「足下を崩して転けさせる。これだけの重量なら、足がもろくなれば自分の体重を保つ事が難しいはずよ」
「なるほど」
クレセントの言葉に僕は納得をする。
そう思いながら、魔法を使っている。
しかし、持久戦だな。これは……。と、僕は思う。
ゴーレムのスキルはおそらくだが、三つ。
一つは、右拳のパンチ。これは、最も多用しており威力が高いが大ぶりなので、前もって解って居て身構えられる。
二つ目は、両腕を持ち上げて振り下ろすだ。
一度、ハヤテが盾で受け止めようとしたがヤバいと言うウィンディの鳴き声にとっさに後ろに跳んだら、風圧だけで全員が壁にたたき付けられていた。
受け止めていたら、今頃はハヤテはミンチになっていただろう。
いや、ゲームでそんなスプラッタな光景が広がるかどうかまではしらないけれどな。
そして、最後の三つ目。これがものすごく厄介だった。
三つ目は、周囲の岩を手に伸ばしてそれを使っての自己回復だ。
それが、無ければもっと早くに倒せていただろうに……。
HPも減って行き、それを道具やらメロンの魔法などで回復していき、ウィンディが密かにゴーレムの近くにある岩を運んで遠ざけたりして、MPを回復したりして魔法を使い、スキルを使う。
やがて、くたくたになって来たところでようやっとゴーレムを倒したのだった。
「つ、疲れたぁぁ」
と、クレセントが倒れ込む。
俺もぐったりと座り込む。
仮想現実の世界だと言うのに、疲労感を感じるのはどう言うことだろう。おそらくだが、脳が肉体に疲労していると言う疑似情報を与えられているのだろう。
ずいぶんと細かいものである。
良くできていると言うべきだろうが、怖いとも言える。
そんな中で、ステータスを見て見るとレベルが3つも跳ね上がっていた。
「うお。すごいな。さすが、ボスクラス」
と、俺は呟く。
やっぱり格上の相手を倒せば、その分だけレベルが上がると言う事だろう。……そう言えば、このゲームのレベルの上限ってどのくらいなのだろうか?
そう思いながら、メロンのステータスを見るとメロンのレベルは2つ一気に跳ね上がっている。新しい魔法とかも、覚えたらしい。
なるほど、レベルアップでもスキルのレベルが上がると言う事か……。
おそらくスキルを何度も使う事でスキルレベルが上がるが、それだけではなくレベルが上がることでもスキルが上がるのだろう。
ただし、スキルを早く上げたいならば魔法を何度も使うことが一番らしい。
そう思いながら、俺は立ち上がると宝箱を見る。
「……なあ。これで罠とかがあったりはしないよな?」
「あったら、腹が立つな」
俺の言葉にハヤテが顔をしかめて言う。
とにかく、じゃんけんポンでアイテムを開ける人間を決める。
……俺が負けた。
「動体視力の差だな」
「そうね」
何をしたんだ? なにを? と、俺は思わず叫んだ。
いや、何をしたのかは解る。
おそらくだが、手の動きを見てグーを出すのかチョキをだすのかあるいいは、パーをだすのかを見極めたのだ。グーならグーのままだが、チョキかパーなら手が少し緩む。
相手が、チョキかパーを出すと言うのがわかるのならば後は簡単だ。
チョキを出せば相打ちか勝利と言う分けである。
……今度からじゃんけんはしないぞ。と、俺は固く決意をしながら恐る恐る宝箱を開ける。すると、中から出て来たのは、
「「「おー!」」」
出て来たのは、杖だった。俺が現在、装備している杖とは一目でランクが違うと言うことがわかる杖だ。俺の持っている杖は、言ってはなんだが木の枝をそのまま加工したような良く言えば、シンプル。悪く言えば、しゃれっ気のないものだった。
だが、この杖は違う。まず先端にオレンジ色の水晶玉のような飾りがはめ込まれており、杖の持ち手の部分も漆かなにかで塗られており、黒光りしている。
【地の杖 レア度5 武器 魔法使い用武器
土属性の魔法の威力を+5上げる。火と金の属性の魔法を+3上げる事が可能の魔法の杖。伝承によると、繋がりのある残り四つの杖がありその全ての杖を手にするのが魔法使いの夢の一つである。魔法を使う上で必要な魔法の杖である】
と、ある。
「おお。魔法使い用のアイテム!」
と、俺は歓喜の声を上げる。
少なくとも初心者にしては、上等なアイテムだろう。
問題は、土属性の魔法を俺が覚えていない事だろうが……。それでも、俺がこれから先、覚えないという保証は無いわけである。
「これは、俺が貰って良いか?」
「ああ、良いぞ。
俺たちは換金するしか得る物がないしな」
「あたしも同感ね」
ハヤテの言葉にクレセントが頷く。
「別にあたしは正規のチームをしているわけじゃないけれど……。
あたしもそれを手に入れた所で使いこなせるわけじゃないしね」
と、クレセントが頷く。
そんな中で、僕はそれを装備する。まあ、装備したところで何かがかわるわけではないのだが……。
とにかく、装備が出来た事で俺たちは一息を着く。
その瞬間に、階段が現れる。
上へと進む階段である。
「おー」
俺たちは階段を登りそして、地上へと戻り俺たちは街へと戻った。
「あー。疲れた」
と、俺たちは宿に戻り一息つく。
手に入れたいらないアイテムは大半を売り払った。
そして、アイテムは補充した。
そして、俺たちは宿に戻る。お金は裕福になったしレベルも上がった。宿で寝れば体力は回復するはずであるが……。
何というか、
「しっかりと疲労感があるな」
「同感だ。今日はもう寝るか?」
と、言う言葉で俺たちは眠る事になったのだった。
ようやっと第一章が終わろうとしています。