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事件当日から四日前(後編) 浪速の商人と不穏な噂

商人と書いてあきんどと読んでね。

関西弁はうろ理解のなんちゃってなので、ツッコミなしの方向性でお願いします。


「いやー。あんさんら、おおきにな」

 と、関西弁日本人形剣士が言う。

「気にするなよ。ああいうやり方は嫌いだし……。

 そもそも、ああいうことをするプレイヤーと言うのはマナー違反だ。

 ああいうやつらは、長く続かないしね」

 と、ハヤテが言う。

「まあ、見ていて気分が良いものじゃないし」

 と、僕は言う。

「まあ、たしかになぁ。ああいうのは良い客が逃げるちゅーのに、非常識やな。

 しかし、プレイヤーキルしてしもうたわ。あんま、良い経験や無いな。

 なんか、悪い称号とか手に入ってしもうたらどないしよ」

 と、関西弁日本人形剣士がそう言う。

「その時は、その時だよ。

 あ、それより君の名前は?」

 と、ハヤテが尋ねる。

「ああ、せやな。名前ぐらい名乗らへんとな。

 ウチは、カエデや。職業は、まあ見ていたならわかる思うけれど剣士や。

 サブは商売人。なんなら、フレンド登録でもするか?」

「良いのか?」

 と、尋ねれば、

「あんさんら、有名やで。

 正確に言えば、そこの魔法使いのお兄さんがな。

 いち早く、契約をしたうえに常に契約した魔物を連れている変わり種とな」

「あー」

 たしかに、普通なら契約した魔物は常時そばに居ないはずだ。

 なのに、どうしてかメロンは常にそばに居る。

 いろいろとイレギュラーらしい。

「その精霊もどうやら、隠れキャラみたいやしなー。

 その魔法使いのお兄さん、かなり有名やで……。

 まあ、テストプレイの段階でやけれどなー。

 本格的に始まったら、どうなるかはわからんで」

 と、けらけらと笑うカエデさん。

 外見こそ、日本人形みたいな美人なのに雰囲気はまったく違う。

 大阪のおばちゃんみたいだ。

 そう思いながら、俺たちはフレンド登録をする。

 女性とフレンド登録……。ドキドキして目眩がしてきた。

『カエデ レベル4 主職/剣士 副職/商売人

 HP5/80 MP3/30

 SP40/40  CP90/90

 PA(物理攻撃力)26 PD(物理防御力)23

 MA(魔法攻撃力)16 MD(魔法防御力)15 

 所持スキル『斬撃』レベル2 攻撃力を上げる。消費MP5

『突撃』レベル1 弓矢と同じ効果を持つ攻撃を可能とする。消費MP5

『魔法剣』レベル1【火剣フレイムソード】 剣に炎属性を追加する。消費MP5

『見切り』レベル1 攻撃を見切って避ける。回避確率が上がる。消費MP5

『相場の見極め』レベル2 売っている品が相場より何円高いか安いかわかる。

『商売交渉』レベル2 売る品を2%金額を上乗せして売れる。買う品を2%割安で変える。

 装備 武器/見習い剣士の剣 見習い剣士の剣。両手で扱いやすい。PAを+4する。

 鎧/見習い剣士の鎧 見習い剣士の鎧。軽く動きやすいが量産品なので耐久性に難がある。PDを+3する。

 手/見習い剣士の手袋 見習い剣士が使う手袋。剣の滑り止め。剣の熟練度を+1する』

「おお。すげえ。副職のレベルが2になっている」

 思わず俺は簡単の声を上げる。

 すごい。あと、魔法剣か……。おそらく、魔法で剣を強化するのだろう。

 関西弁日本人形剣士改め、カエデは肩をすくめる。

「しっかし、噂やとサングラスをしとるなんて聞いてないんやけれどな。

 サングラスって別になんも効果がないオシャレアイテムやろ。

 最初からそないなもん身に着けるなんて、なんでや?」

「ちょっと、体調の問題でな。

 女と顔を直接、会わせると吐き気に襲われるんだ」

「なんでやねん」

 俺の説明に裏手ツッコミが入った。

 おお、これが関西の裏手ツッコミというやつか……。

 だが、

「けれど、事実だ。

 ゲームの中でも変わらなくてな。この前も、それで吐いた。

 ゲームの中でも吐いた時の気分の悪さとかも、しっかりと再現されていたよ」

 と、俺は言う。

「まあ、なんか事情がありそうやな。

 気にならん言うたら嘘になってしまうんやけれど……。

 会って早々、腹割って話す関係になれるとも思えへんしな」

 と、日本人形のような外見を裏切るようなサバサバとした口調だ。

「なんか、見た目と性格があっていないね。

 もちろん、見た目も性格も魅力的だけれどね」

 と、ハヤテが口にする。確かに、サバサバしているが悪人ではないので一緒に居て不愉快になる性格ではない。外見もとても魅力的だ。

 だが、外見と性格が不釣り合いなのだ。

「ああ。この外見は母ちゃんの趣味や。

 日本人形みたいな大和撫子が欲しいってな。まあ、大和撫子は武芸にも長けているべきやー。言う意見に納得して、剣道を学ばせてくれたあたり頭がカチカチの石頭ちゅーわけではないようやけれどな。

 まあ、外見と性格が不釣り合いやー。言うのはよう言われるわ。

 公の父ちゃんの仕事では、猫を被っているんやけれどゲームの中でぐらい猫を脱ぎ捨ててもええと思わん?」

 と、ハヤテの聞きようによったら失礼な言葉にカエデはけらけらと笑って言った。

「しっかし、ほんまに変わった妖精やな」

 と、カエデはメロンを見る。

「そもそも、これだけ細かい喜怒哀楽があるんやで……。

 こないなスペックをどうやってやっているんやろうか?」

 と、呟くカエデ。

「どうかしたのか?」

「まあ、あんまり言いたくないんやけれど、あんたらは良い人そうやし教えておくわ。

 このゲーム会社……FORESTChestnutちゅー会社が作ったと言うのは、知っとるよな」

「まあね」

「で、ここだけの話なんやけれどこの会社ちゅーのが裏ではきな臭い噂ばかりなんや。

 あんまり評判が良くないんや。

 契約をしたゲームプログラマーから著作権を初めとした権利を全部、かっぱらってな。噂やと目をつけた面白そうなゲームを開発していたフリーのゲームプログラマーや小規模のゲーム会社からあこぎなまねをして、そのゲームをかっぱらった。

 つー話もあるほどや。

 せやから、このゲームもそうや。と、思われているんや」

 と、言うカエデ。

 そう言えば、姉さんもそんな話をしていたと聞く。

「ほんま、あんまり良い話やないで。

 この会社のせいで首をつった人間は仰山おると言う話やで」

「うーん」

 カエデの話を鵜呑みにするつもりはないが……。母さんもあの会社とあんたを関わらせたくなかった。と、言っている辺りまったくのでまかせとは思えない。

「で、あの会社が所属している三下プログラマーが作れるとはなー。

 このゲームの仕組みをあそこだけが独占するとなると……こりゃ、ゲーム業界があれるで……。まあ、とにかく気をつけたほうがええで。

 ここの会社はプログラマーを馬車馬のように働かせると言うからな。

 なんか、バグがあるかもしれへんで……。

 まあ、その妖精は悪いもんやなさそうやけれどな」

 と、カエデは言うと立ち去ろうとすると、

「キュー」

 と、言う鳴き声がした。

「ん?」

 その鳴き声がした方を見ると、小さな竜がいた。

 スモール・レッサー・リザード……ではない。もっと小さく、頭には卵の殻を被っており、トカゲどころかヤモリですらなく卵にしか見えない。しかも、卵から出て居るのは羽根と頭だけであり、体の大半はまだ卵から出て居ない。

『サリュ・ドラゴン・エッグ レベル1 状態・空腹

 HP5/5 MP5/5』

 パタパタと翼をはためかせながらハヤテに頭をこすりつけていた。

「ドラゴンか?」

「たぶん……ドラゴンと書いてあるし」

 ステータスを見て俺はそう答える。

 そんな中で、キューキューとサリュ・ドラゴン・エッグは鳴きながらハヤテに懐く。

「空腹って事は腹が減っているのか?

 ほら、食べるか?」

 と、ハヤテが出したのは俺が作ったステーキだ。

 小さな卵のくせにぺろりとステーキ肉を食べるサリュ・ドラゴン・エッグ。

 すると、

『契約が可能です。契約しますか?』

 と、言う疑問が出て来た。

「おお! 契約!」

 と、喜ぶハヤテ。だが、

「それ、弱そうやけれどええんか?」

「ええんや。だ。可愛いし。

 それに、まだレベル1だろ。卵って事は、これから成長するかもしれないじゃないか」

 カエデの質問にハヤテは断言する。

「まあ、たしかに」

 と、俺は頷く。

 見たところこのゲームのモンスターは進化する可能性が高い。

 メロンもチャイルドと言う子供と言う意味だし、こいつはエッグ。ベイビーですらないが、つまりはこれから成長する可能性が高い。

「それで名前は?」

「うーん。ポチ」

「「犬か」」

 ハヤテの言葉にカエデと言葉がハモる。

「タマ」

「猫か?」

「ぶち」

「白いぞ。卵の模様」

「シロ」

「まんまやないか」

「ミケ」

「だから、それはない」

 こいつ、ネーミングセンスが無いな。と、思う。つか、

「メロン。お前は名前があったのになんでこいつには無いんだ?」

「親が名前をつけなかったんじゃないの?」

 メロンに尋ねれば、そう答えられた。このゲームは妙な所で理不尽だな。

 俺はそう思いながらしばらく考えて、

「ウィンディはどうだ?」

 と、考える。ハヤテ……ハヤテと言う名前のキャラクターの相棒で風=ウィンディだ。何かのアニメか漫画の風属性のキャラクターにこう言う名前のキャラがいた。男女は解らないが、別に問題は無いだろう。たぶん……。と、俺は思う。

「じゃあ、そうするか」

 と、俺の言葉にハヤテが頷いた。

 どうやら、当人もタマだのポチはどうかと思っていたらしい。

「お前の名前は、ウィンディだ」

 そう名前を決めた途端に、ぴろりんと言う音がした。

『ウィンディ サリュ・ドラゴン・エッグ レベル1 

 HP5/5 MP5/5

 PA(物理攻撃力)1 PD(物理防御力)3

 MA(魔法攻撃力)1 MD(魔法防御力)3

 所持スキル

第六感(シックス・センス)】レベル1 MPを消費せずに未来予知が可能となるが、発動条件は不明であり、何時発動するか謎。

 『危機感知』命の危険を感知する。一日に一度だけ』

 うーん。微妙なステータスだ。

 攻撃力も守備力もレベルが低いからか、メロンより弱い。

 使えるのも正直な話、危険を教えてくれるぐらいだ。

 当人はこてんと小首をかしげて可愛らしいが……。

 そう思っている中で、

『サリュ・ドラゴン・エッグ

 希少種であるサリュ・ドラゴンの卵がごくまれに自我を持ち行動するようになった個体。卵なので弱いが、その将来の力は未知数である。周囲の心の機微に敏感であり、邪悪な存在の前には現れない』

 と、言う詳細も出て居る。

 メロンは解らないのに……。

 と、思っている。

「将来の力は未知数か……。つまり、成長すると言う事だな」

 と、ハヤテはウィンディの頭を撫でる。

 キューキューと嬉しそうに鳴き声を上げるウィンディ。

「ほお。つまり、行動で近づいて来る魔物も違うちゅーことやな」

 と、黙って見ていたカエデさんが言う。

「えらい細かいな。

 やっぱ、あの会社がそこまで細かいゲームを作るとはおもえへんな」

 と、呟く。

「まあ、ええわ。それより、わては基本的に一人で行動するけれどな。機会があったら、一緒にパーティーを組もうや。あんたらの掛け合いはおもろいし」

 そんな理由で良いのか? と、思う中でカエデは別れ俺たちも宿に戻ることにした。

 ウィンディは着いてこなかった。どうやら住み慣れた場所から離れたくないらしい。……これが普通と考えると、やっぱりメロンが特殊のようだ。

 メロンの異質さが際だった今日だった。

もう一度、書きますが関西弁はなんちゃってです。

間違っていると思ってください。

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