【三章第二十九話】 名前のない怪物
「随分と見違えるように若くなったな」
「お前も随分と戦場に染まったようだな」
「法師、一度しか言わん。どうだ我と共に来る気はないか? またあの時の様に我を守ってはくれないだろうか」
「断る、私には命も忠誠も預けている人間が居る」
「残念だ、法師。我はお主と過ごした時間中々悪くは無かったぞ、お主が我にくれたこの名前も我は案外好いているのじゃぞ」
憎い、あのにこりと嗤う、にこりと此方を蔑んだようにくそ生意気に嗤うあの銀髪の少女の全てが憎い。
「蘆屋道満、陰陽師道摩法師よ、消えよ、我の思い出となれ……」
眼を閉じそっと憐れむように鬼は法師に祈りを捧げた、まるで死人でも相手にしているかのように。
どけよ。
突き出される槍、防ごうが躱そうが槍は必要以上にしつこく此方を攻め立ててくる。
「通しはせぬぞ」
穂先を刀身で受け止めたところで叩き付ける様な槍の連打で反撃を受ける。
敵の踏み込みからの一撃ッ。
「ハハハハ、これは驚いたぞ。なぜ人間なんぞの味方を鬼がするかと疑問におもおておったが、法師やはりお前も普通の鬼とは違うか」
「ああ、私は最早普通の鬼などでは無いな。私はお前とは違う、だが私はお前の様に多くの事を知りたいと思うようにもなったし、他の鬼とは違い停滞することを辞めた」
「向上心か……。確かに法師も我と同じ可笑しな鬼だな」
姫君を守る憐れな餓鬼たち……。
俺も此処を切り抜けねばな、押し通ってあの裏切り者の人間をぶち殺さなければ。
刀を握る。
命を握る。
想いを込める。
復讐を籠める。
人外を相手にするなら自らもまた人外の域に足を踏み入れなければならない。
ただ死ね。
暗黒の刃が遠間から森長可に向かって突進する。
「他愛なし」
防がれる剣戟、そしてそこからの追撃を……。
「私が相手だ、葉武者よ」
敵の一閃は法師によって防がれ、いとも簡単に勢いを無くした。
「だぁれが葉武者だ。邪魔をするな坊主」
「私は坊主などでは無い、私は陰陽師。寺の奴らとは同じにするな、あのような迷信・ハッタリばかりの連中と同じにされては困る」
敵の鬼武蔵も、味方の鬼も皆が皆自分の信じる者の為に刃を相対する者へと向けている。
「坊主よ、鬼に付くなら領土の一つや二つを保証しよう。それが出来ななら中立を保て、もし人類に付くのなら、もし草薙大和の味方をするのなら俺はお主をここで焼き討ちにする」
法師の無言の否定である強襲。
「殿行って下さい、この葉武者は私が押さえておきます」
「父を坊主に殺された、弟たちは父を殺した坊主の籠る寺の領主に殺された。そして俺自身もあの紅き井の字の軍隊の坊主に殺されやがった。コレダカラボウズハ、ナンドモナンドモオレノマエニタチハダカリヤガッテ、コレダカラボウズハソッコクホロビルベキダ」
炎が渦巻く、焔が蠢く。
微かに映った敵はみめかたち全て偽りなく鬼となり、怒りを実体化させるかのように炎を帯び法師と相対していた。
「知らんな貴様の過去など興味ないわ……」
微かに背から聞こえる法師の返し、だがそんなことはどうでもいい。
刀がすんなりと皮膚も肉も断ち切る。
憎悪に塗れた怒りの一撃が敵を断絶する。
邪魔だ、邪魔だ、餓鬼はすっこん出ろ、雑魚が群れるな。
「おお、おお、頑張るねぇ、草薙大和」
姫様を守るために次々と群がってくる鬼たち。
知性も理性も品性もあったもんではないこの憎き者達。アブラムシと同等なアブラムシ以下でしかないこの廃産共。
親指が人差し指の第一関節を撫でる。
パチン、指と指とを擦り合わせ音を鳴らす。
邪魔だッ。
地面をしっかりと踏みしめ、大地を揺るがすくらいの踏み込みからなる一点集中の一閃。
豆腐の様にするりと影は頭を捕らえ、そのまま貫通し後ろの銀髪の鬼へ。
貫いたはずの鬼が赤くドロドロに溶け突進交じりの突きの勢いが止められる。鬼は大胆不敵に笑みを浮かべる。
次の瞬間。
赤黒い液体は刀を握ったままでいる、そして両脇から鋭い斬撃を放つ鬼……。
山城を闇に消し、再度刀を顕現させるが、これでは間に合わない……。
回避?
どろどろとした液体が左足に絡みつき、此方の動きを鈍らせる。
このままでは避けられん、足を斬るか。
いいや……。
一匹の鬼は眉間を矢に打ち抜かれそのまま地面に崩れ落ち、もう片方はまひるによって断頭され命を絶たれていた。
「隊長、勝手に突出されては私に下された命令が守れなくなる」
淡々と刀にこびり付いた血を振り払いながらまひる呟く。
「英雄たちには当てるなよ。放てぇぇぇぇ」
飛来する矢の雨。
飛散する血飛沫。
キングジョージの援護射撃だろうか……。
「本部からの命令だ、此処は死守しろ、命に代えても此処は抜かれるな」
一人の当主の声が戦場に響き渡る。
この瞬間だけは、その時だけは皆々が、敵も味方も餓鬼も法師も鬼武蔵も銀髪の姫君までもが彼女に見入っている様だった。
「目に付く鬼は全て殺せ、此処での働きは全てが今回の戦いの勝敗に直結する。殺せ、殺せ、敵討ちだ、我々の仲間の仇討ちだ」
莉乃の指図と共に鬼に我先にと群がる隊の皆々。
復讐に身を委ねた畠山は喜々として鬼を刈り取り那智を殺した人間のいる方へ走っている。
「まひる、手を出すな、何があっても絶対に手を出すな」
「でも……」
「邪魔するようならお前も斬る」
まひるの眼が俺を映す、そして諦めた様にクルリと向き直りまひるは餓鬼どもに向かって神器の作り出す光を薙いだ。
敵の数は多い。
倒せども倒せども次々に姫君の盾となり俺の前に立つ。
「我は下がれと言ったよな?」
銀髪の姫君を中心にして多くの鬼たちに赤い斬撃が走り血が飛散する。
「我の元に集まれ」
姫君は自らの腕を短刀で斬り集まってくる赤黒い液体の中にそれを混ぜた。
「これは我の戦いだ、邪魔は許さん、さぁ我と共に踊ろうではないか、英雄」
紅く光るものが飛ばされる、飛ばされる、飛ばされる。
宙に浮く血の塊に刃を入れる。
血は真っ二つに割れ、刃の形となり再び彼女の周囲を舞った。
「行け」
剣が彼女の元から飛ばされる、舞うように剣が軽やかに飛来する。
刀で剣を斬った……。次の瞬間剣は真っ二つに割れ後方へと消え去った。
グッ……。
後方へと消えた刀は勢い良くまた彼女の元に戻ってくる、途中にいる俺を斬らんと狙いを定めクルリと戻ってくる。
「掠っただけか、これではまだ足りないか」
餓鬼どもが血を暁の刃に体を貫かれ姿形が液体に成り果て彼女の取り巻きに変化する。
逃すか。
彼女に向かっての大振りの一撃。
パチン。
彼女は指を鳴らす。その音と共に彼女の周りをグルグルと回っていた血のようなものが姿を作り出し盾となり剣戟から体を救った。
透かさず刀による一撃。
刃と刃が擦れ合い、鍔と鍔がガチガチと音を上げる。
「何故我が最初に血を流したか分るか?」
彼女の腕から血が流れ刀に巻き付きそして鋭い棘となり……。
「我は血を司る、死した血と自身に流れる血をを自由に操る、そしてこうすることにより他人の血と私の血が一体化する」
刀と刀は競り合う。白い腕から流れる深紅の液体は周囲を舞っているどす黒い液体と混ざり合い色を変える。
「一体化したことにより、他者と我はより強い結びつきに、餓鬼の血も最早我の血と変わりない。血はより濃くなり、我の想像した物に近い形に」
赤黒いものは姿形を成しそして硬化する、より精密により武器らしくより緻密に凝った狂気的な凶器へと変貌する。
いくつもの刃が周囲から俺に照準を合わせた状態で宙に浮き待機している。
「一度しか言わない、草薙大和、我と共に、いいや紫水と共に行く気は、紫水の元に来る気は無いか?」
刀を闇に消し腰の神器を投擲する。
「多少痛いがやむなし」
飛来する刀をその細く白いか細い腕一本で受け止める。
「イタッ」
一瞬、一瞬だがあの姫様は眼を閉じた。
周囲から剣の形をした何かが迫る。
一斉に刃が迫る。
だが俺は……。
一足飛びに間合いを詰めて斬撃を放つ。
「我が何故斬撃を受けたと思う?」
銀髪はさらりと揺れる、血が染みついた白銀の髪はふわりと揺蕩う。
姫君は切り口の血をさっと拭き取り逆の腕を振った。
ただ姫君は腕を振っただけだ。
膨大な緋色に染まった手裏剣が飛ばされ宙を舞う。
刀では凌ぎきれないほどの数の手裏剣が身体を切り裂いていく。
血が流れる、血が零れ落ちる。
ひゅっと身を屈める。
後方から襲撃に来た剣はスピードを落とすことなく姫君に向かって……。
まだだ、残りの後方からの剣に対して斬撃を飛ばす。
血で出来た剣はその創造者に触れた瞬間に形を変えまた彼の者の周りをグルグルと回る。
「敵に背を向けるとはいい度胸をしているな」
迫り来る攻撃を本能のままに、勘に従い地を転がり回避する。
「まだまだだ」
体勢を立て直したところを狙い触手状の硬化した鋭い棘が二本致命打を狙い放たれる。
薙ぎッ……。
予想以上の強い圧によって態勢があらぬ方向へと傾く。
「血とは魂の通貨、血とは生命の記録、血とは生前の意志を記憶するもの。さぁ死して我の役に立つが良い」
手に刺さった刀を抜き取り銀色の姫君は自らを守る騎士共を召喚する。
暁の軍隊、正しく文字通りの赤備えの騎兵達。
斬撃が飛ばされる、よろめく身体に時代違いの中世ヨーロッパの騎士のような姿の騎士たちが此方に斬撃を加える。
「紫水はもっと痛かったぞ、紫水はもっと痛い思いをしている、お前のせいで」
腕が斬られる、足が斬られれる、体に斬撃が飛ぶ。
血が流れる、固まった血によって体中に刃を刻み付けられる。
ただでさえ黒い軍服が赤黒く染まる。
一瞬の出来事だがとても長く長く感じる、あの世に片足を踏み入れた気分だ。
「ではお開きと行こうか、英雄よ」
先程投げた剣が眩しく赤く光り輝く、剣は血を纏い長太刀へと姿を変える。
騎士たちは一瞬で消え失せる。
血がべっとりと付いていた髪も服も、姫君の周りに転がった鬼の死骸が作った池も綺麗さっぱり血は消え失せ皆刀へと参集する。
「鉄も血も紛う事無き同胞、硬化」
透き通った液体は濁り透明度を無くし、受け入れていた光さえも反射する。
赤い艶の帯びた長太刀が振り下ろされる。
勢いよく刀を振りその一撃を防いで……。
「解除」
ふわっと刀は空を切り裂く。
渾身の空振り。
そこに隙は生まれる、そこの隙を相手は見逃すことなどない。
刀の片割れは手裏剣となって側面を切り裂く。
その瞬間を利用して距離を詰めて切り返し様に刀を振り下ろす。
血は姫君の周りを翔け斬撃を緩める。
だが此処を逃す気はない。
防衛に入った神器が宙を舞う。
「ハハハハ、そうかそうか、そーゆことか、貴様とても愛されているな、英雄貴様は寵愛を受けているな」
敵は憐れむようにな顔をする。
「全ては因果の中か、初めから彼奴の掌の中なのか、それとも貴様はどこかで彼奴に選ばれたのか……。我は使い捨てか、我はもう役立たずなのか? それとも我に神託を下した奴はお主らとは別のものか?」
敵は何かに問いかけるように言葉を発する。
「そうかそうか、貴様の力の源が分かった。神が人間に定めたリミッターがどやら貴様は壊れかけている、貴様は急に強くなった質だな、今の貴様は痛みなど微塵も感じてはおらんだろう。命を燃やし限界の力を使う、だが確実に体は蝕まれておる貴様長生きは出来んな」
刀を構える、敵の話などに耳を貸す気などない。
俺は此奴を殺し、此奴の先の那智をやった人間を……。
「英雄、この世界の敵は何だと思う? 鬼は何のために人類を攻め立てていると思うか?」
「敵? それはお前ら鬼だ。それにさっきから自分の能力を明かしたり、べらべらとお喋りだな、敵よ」
「人を知るには話すことが一番だ。我は知りたいのじゃ人間そのものを、だから我は貴様らの世を人として生きた、人として学校にも会社にも通った」
一足飛びに距離を詰めて……。
「貴様とは此方の方が会話できそうだな」
姫君の手の中に刀が顕現し剣と剣が衝突する。
「貴様敵は我々鬼だと思っておるだろう、まぁそれも間違いではない。だがとてもとても小さな視野じゃ」
剣を薙ぐ、斬り下ろす、下段から上段への一撃。
「そうだ、その紫水は俺になんて言ったんだ?」
敵の一撃。
「お主を救うと」
姫君の腰辺りから固まった血で出来た触手が伸びる。
「彼奴らしい」
血を切り落とす、すぐさま刀による追撃が走る。
「それが紫水だ、それが我の始めて惚れた者だ」
硬化した触手で牽制を行いつつ距離を取る姫君。
「それ故我は危ういと思う、だから死ね、紫水の為に、だから死ね世界の為に」
「なら俺を殺してみろよ」
鋭く尖れた細い血の波が幾重にも折り重なり襲来する。
「言われなくても我はお主を殺す、我は因果を打ち砕く」
刀を下段に尾を引くように構える。
襲い来る血の線の波の到来を待たずして俺は一気にそれに向かって駆ける。
斬る、斬る、斬る。
斬れども斬れども刃は襲い来る。
刀を振る、血を断つ、命の残り香を断絶する。
「さぁ我に力を貸せ」
数人の鬼人知れずして倒れ血を流す。
手数が足りない……。
【約束された勝利の剣】を抜き取り二刀となる。
俺は俺の復讐をするだけだ。
親友の仇を討つだけだ。
親友の……。
修羅の道も、血の道も、ただ斬り抜けるのみ。
血の波全てを打ち払った。
だがッ……。
姫君の前に二体の朱色の仁王が現れ此方に攻撃を加える。
幾らか体が宙に浮き吹き飛ばされる。
「終わりだ英雄」
前方から血の兵隊、後方からは吹き返しの血で出来た線による綿密に折り重ねられた斬撃。
この身を削ってでも奴に一矢報いる。
棍による攻撃を躱し、すぐさま襲い来る大剣の一撃を……。
血は流れる……。
刃は首の皮膚をなぞる、だが、俺はまだ死んでない。
殺す、コロス、ころす。
山城による斬撃、最後の一撃、最期の一振り。
背中から感じる悍ましいほど猛々しい圧。
「鬼神様ッ」
姫君は死した血を操れるらしい、人・鬼関わらず死者ならば容易く血を参集させられる。そして姫君は周りの死した餓鬼を糧に自らの力とした。
もう奴以外に奴の周囲に奴を守る鬼など残ってはいなかった。
鬼はな、鬼は。
どうやら俺の負けみたいだ。
いいやこの戦い、あの状況は最初から負けていた。
例え良くても相打ち。
影は防がれる、鬼に寝返った狂信者の一振りにより。
後方から斬撃が、迫る、迫る、迫る、迫る。
「二対一とは卑怯ですね」
聞き慣れた声に背から感じる凍てる様な寒気。
「大和君」
一体の仁王が氷像と化す。
本身による剣戟で残りの一体を胴と足を斬り離す。
「氷による斬撃……」
「貴方の血もこれではもうどうしよもありませんね」
「ほぉう、お主我と同じだな、この男にも貴様のようなものがいるのだな。その愛、その温もりとても良いものだ、とても美しくとても愛しく思うぞ」
銀髪の姫君は狂信者の肩をポンッと叩いた。
彼女に残された、最後の仁王の血は舞い戻り鬼の周囲を回る。
「これはちと状況が変わった、ここでは少々分が悪い。草薙大和、我は次こそお主を殺して見せるぞ、神よ我は貴様らが作り出したシナリオを全てぶち壊してやる」
血が包む、包む、包む。暁が降りる。
剣を振るう。
姫君は憎らし気に笑って見せる。
「覚えたぞ、俺は必ずお前を殺す、俺は命を賭しても親友の仇を討つ」
「悲しき事かな、紫水はお前にとって親友では無くなってしまったのか。お前はあれ程この男の事を気にかけていたのにな」
血は霧となり周囲に降り注ぐ、剣の手応えは無い。
奴らは消えた。奴らを殺すことは出来なかった。
「彼奴好き放題やって勝手に撤退とはな」
炎を帯びた森長可と法師の間にも拮抗状態が出来る。
「さぁ続きをしようか葉武者よ、これからが一騎打ちの本尊だろ? 先程の様に炎の化身でも出して私を攻撃して見ろ」
鬼武蔵はススっと法師との距離を開く。
「昔の俺ならこれ以上に戦っていただろう、だが俺にもあのお方以外に忠誠を捧げた主君がいる。それに目標は叶った、俺達の役目はあくまで足止め、今頃将軍が御出馬なさってお前らの仲間は大変な目に遭ってるだろうな」
敵の将の言葉一つで鬼が次々に撤退を開始する。
ただ俺達は一人を除いて鬼を追おうとする者はいない。
振り返ると本陣のあった所から黒煙が上がっている。
「離せ、ハナセヨ、大河。私は那智の仇を取るんだ、私は」
仲間に抑えられ引きずられている畠山榛名は必死に撤退する鬼に一撃を加えようともがくが段々と双方の距離が開いていく。
多分、皆の脳裏に同じことがよぎった、この戦、人類は鬼にしてやられた、人類の負けだろうと。
俺も整理がつかない、確かにある絶望と、確実にある復讐心、そして色々な思いが入り混じって最早何か分からないモノへと変貌している。
奴は言った。
奴は確実に紫水の名を語った。
奴は紛うことなく仲間を殺した。
そして俺は……。
こうして俺は……。
今でも俺は……。
「大和君、血が……」
自分を呼ぶ声に振り返る。
「別に死ぬほどの深い傷などはない」
――パチン
鈍くて重い音。
痛い……。
莉乃の躊躇の無い、力を込めた平手打ちが頬を叩いた。




