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アポカリプス Apocalypse   作者: 秦 元親
【第三章】新世界より From the New World
49/104

【序】 本日は誠にラリルレイン

此処からやっと書きたかった三章が始まりです。

血や死人はヤバい位に出ます。


気合い入れていくぞー

お~

 まだ耳に残るヘリコプターのプロペラが風を切る音。そしてドヴォルザーク交響曲第9番を数々の楽器たちが奏でている音色。

 

 ダダダダダダダダ。


 降りかかる雨。押し寄せる弾丸の雨。

 ヘリに付いた機銃が物凄い音を上げて地面を耕していく、そんな光景がそんな音が自分の耳元をグルグルと回っていた。

 天からの雨はゴミの様に全て物を薙ぎ払った。

 全ては音楽に合わせて流れるように、悲鳴と銃声という歌を付けて天は有象無象全てに向かって鉄の奇跡を見せた。


 今夜は晴れ所により人間なら命を散らすほどの強烈な雨が降り注ぐでしょう。

 

 しかし敵は死の理すら揺るがす歴史に取り残された化け物、いとも簡単に立ち上がり鉄の天馬に向かって弓を射かける武勇に優れた化け物もいれば、未だ地べたを這いずり苦しんでいるモノもいた。ただしそのような奴らも放っておくと体が再生されてまた戦力として数えられてしまう。


 ただし今は……。

 混乱混乱。

 さぁさぁこれはこれは作戦通りの反応で。


 ---こちらキング・ジョージ只今より弓での遠距離攻撃を行う。オーバー。

 インカムから流されるそんな声。


 ―――こちらアドミラル作戦に問題はない。其方も即刻作戦行動に入られよ、ただ無理攻めはされるな、弓矢を撃ちかけたら遠くに撤退されよ。オーバー。

 そうそうこれこれこーゆのが昔からやりたかったんだよね。

 

 ---了解‼ 


 さぁさぁ楽しくなってまいりました。 

 俺はスマホを握りながら耳元の無線がまた音を上げるのを、キング・ジョージからの続報を待った。


 お前とはもうお別れになりそうだな……。

 データは自宅のパソコンに保存してきた、今まで楽しかったぜ。電話帳もなんてほぼ誰も載ってないけど。

 

 

 待つこと120秒とちょっと。


 ----こちらキング・ジョージ只今より我々は後方に身を引く。敵の注意は完全に我々が引き付けた。繰り返す敵の注意は完全に我々が引き付けた。オーバー。

 そらきた、やっと来たぞ。時間にしてみれば此処まで僅か数分の事だが俺からしてみれば何時間も待たされているような感覚に襲われていた。

 遂に遂にこの時が来た。


こちらアドミラル。只今より作戦行動に入る。只今より敵の本陣に強襲を掛ける。オーバー。


 ----了解我らが英雄アドミラルお前は死ぬなよ。

 無線の主がそう意味あり気に呟いた。


 ―――神の加護が我らに在らんことを(棒) 世界は我々の手で勝ち取り切り開いてみせる。

 神などはいない。だからこそ我々が我々の力を使い戦うのだ。


 耳元に付けているインカムを地面に投げ捨てた。

 こっからの戦いにこれはいらない。

 

「さてお前ら仕事の時間だ。こっからは敵の大将が死ぬか俺らが全滅するか二つに一つだ」

 流石は世襲制の鬼と戦うことを生業としてやってきたものたちで作られた軍。誰も緊張も臆しも、震えもない。

「これは踊りだ。どちらかが死して相手がいなくなるまでまで踊りを止めることは絶対にない。歌い踊れそして殺せ。斬り捨てろ、大将の首以外は全て捨て置け、敵将の首以外斬って捨てろ」

 配下の者たちは皆武人の顔をしている。

 敵はすぐ目の前これを破ればダンスパーティーの始まりだ。

 

 部下の一人が突入の合図を俺に求めてくる。


 ふう……。ため息とも何とも言えない息を一つ、空にはなった。

 俺は立ち上がって何歩か足を引いた。

 

 一歩、また一歩と靴が渇いた土をしっかりと踏みしめていく。

 我が部隊の全員が俺を見て俺の一挙一動に注目し体を強張らせている。


 手の中のスマホにあるそうさをして静かに、音もなく鞘から剣を抜き放つ。と同時に。

 体を加速させて冬の乾いた風に靡いている笹竜胆が描かれた幕に向かって突進する。

 目の前の幕に向かって斬撃を放ち、死と狂乱の剣の舞の舞台の幕を切って落とした。


「征くぞ。すは、かかれっ」

 腹の底から俺は、大地を揺るがさんと大声を上げた。

 そして目の前の鬼に向かって剣戟の放ち首を飛ばす。

 血と硝煙の匂いが入り混じる幕内に部下たちも続々と乱入して次々と混乱状態にある鬼たちに怒りの鉄槌を振り下ろさんが如く剣を振るった。

 

 そこはまさに地獄だ。

 体の一部が欠損して黒い煙に覆われている足軽、自らを覆っていた影が消えて剣を取り再度立ち向かってくる幕末の幕府軍。

 振り向きざまに斬られる鎧武者、無理向く間もなく背中から腹にかけて剣を突き立てられる源平武者。


 我々の進軍は続く、我々の通った道は草も根も残さない。

 完全なる不意打ちだ。


 まだだ、まだまだ。

 まだ。

 

 全てを掻き消す無音の闇の世界で、怒号と悲鳴と声にならない声だけが音の世界を作り上げていた。


 血が刀を伝う。

 悲鳴が耳を伝う。

 敵の命を無くす衝撃が手を伝う。


 さぁ征け行け。

 殺せ殺せ。

 潰せ、滅せよ。

 

 あともう少し。

 あともう少しだな。


 将は誰よりも前を行くべしッ。誰よりも先で剣を持って戦っているべきだ。

 そうでなければ部下はついて来ない。

 そうでなければこんなあって数時間の男に命は預けられない。

 

 周囲の鬼に刃を突き立てる。


 そろそろ頃合いかな。


 仲間の死を踏み越えて繰り出した槍の一閃を後方に下がって回避。

 あと数歩後ろに下がり開いていた部下との差を完全になくす。


 あと十秒位。


 手に持った剣を投擲して俺に一撃を加えた鬼を地に落す。

 今となっては殆どの鬼が闇夜に紛れる敵の存在する方向を理解し其方を向いていた。

 

 全てを掻き消す闇。

 そして辺り一帯に広がる静寂。


あと5秒


 4


 3


 何もしかけない兵士。

 何も仕出かして来ない武士。


 いや兵士の方は既に動いていた。俺たちは持たされていたゴーグルを身に着けた。

 


 2


 1ッ


 世界に、地獄に音楽は響いた。

 

 愛知を救うかもしれない一戦で、愛知を掛けた大事な一戦でそれはそれはこの自分を救いだした、こんな糞みたいな男を此処まで生かさせた血と汚れに塗れた鉄火場に似合わぬような曲が大音量で奏でられた。


 俺の大好きな漫画の、俺が大好きなアニメの、俺が大好きな曲さ。

 死にたいと思っていた俺を止めてしまったそんなアニメだ。

 死にぞこないに死を諦めさせた。一人の男を弱く、そして強く大きくさせた作品だ。


 世界は美しい。二次元の世界はやっぱり美しい。

 こんなリビングデット染みた常識外れのことが起こるんだから近々彼女たちの一人や二人紙の中から、画面の中から出て来てはくれるんじゃないか。


 

 それは光と希望と優しさと可愛さと兎とコーヒーに溢れ返っていた。

 ただただ死の死のうと思い結局できずに終わり自分の事が嫌いになりそしてまた死のうと思う繰返しの日々を送っていた俺にきっぱりと死のうとするのを止めさせてしまったそんな作品だ。


 俺の希望。難民の希望。

 

 その扉を開けた途端、知りもしない素敵な世界へと俺を誘ってくれた。

 


 闇夜の中敵は音のする方を、即ち俺の方に目を向けた。

 場違いな音楽に、予想外な敵の動きに何も出来ず固まっていた。


 それは希望の光。

 それは世界を照らす希望。

 それは彼らが目に手を当てるほどの人類の希望の光。


 それは夢……。

 


 世界に放て……。

 俺の手から希望の光は放たれた。


 次の瞬間人類が作り上げた倫理の理を破りした科学の奇跡は闇夜に花を咲かせた。


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