そんなことって……
2話完結です
「お、おい!? 大丈夫か? ……っ、お前顔真っ赤じゃねぇか! 熱あったのかよ、それならこんな時間まで待ってないで一言いってくれりゃ「……だもん」………え?」
洸にもたれかかったままの優斗がポツリと呟く。
「洸のせいだもん。」
「なっ……なにがだよ。」
いきなり自分のせいだといわれて洸はうろたえる。
「洸がそうやっていっつも優しいから……。俺だけにじゃないことなんてわかってるけど、でもそんなことわかってるけど!」
「………っ。」
「洸が俺に笑顔見せてくれるだけでこんなに嬉しくなって、ほかの奴としゃべってるだけで嫉妬で狂いそうになるんだよ。男なのに、友達なのに、好きになったって結局惨めになるだけだ、って自分に言い聞かせても抑えきれないんだよ………。」
突然の告白に洸は何も言えず固まっている。
「なんて……いきなりこんなこと言われて驚いたよな、ごめん。」
初めて知った優斗の純粋な思いに洸は、自分の胸からドクッと心臓の音が聞こえた気がした。自分の目の前にいるはずの優斗がなぜか遠くに行ってしまいそうで洸は焦燥感に駆られる。
「優斗。」
「俺さ……、ずっとこの時間が続けばいいのにって思ってる。でもそれと同じくらい早く時間が過ぎてほしいって思うんだ。そうしたらこの思いにも整理がつくんじゃないかって。」
ふと優斗が顔を上げ、涙を浮かべたその顔に笑顔を作る。
「ごめんな、こんな話聞かせちゃって、もうこんなこといわねぇからこれからも友達として、チームメンバーとして接してくれると嬉しい……って、欲張りすぎかな……。じゃあな。早く服着て帰れよ!風邪引かないようにな。お前の事好きだったよ、ずっと前から……」
口早に告げ、逃げるように更衣室から出て行こうとする優斗の腕を洸は掴む。
「待てよ。」
普段の声より低いその声にビクッと身体が跳ね上がる。
「(絶対怒ってるよな……何をいわれても立ち直れる自信なかったから何か言われる前に出て行きたかったのに……。)」
一切洸の方を向こうとしない優斗に、洸は「チッ……。」としたうちを一つして強引に腕を引き寄せ、自分の腕の中に優斗を閉じ込める。
「えっ……。」
優斗は訳もわからずぽかんとした顔で洸を見上げる。
「自分だけ言いたい事いって「じゃあな。好きだったよ」だ?ふざけんなよ。」
「………っ。」
「俺だって、お前がいっつもニコニコしながら他の奴らとしゃべってるのを見て、あいつらにそんな笑顔見せんじゃねぇって。お前の一番は俺だろ、なんてみっともねぇ独占欲抱いてさ。そんな事いってもお前の事困らせるだけだと思ってたし、親友としての立場で満足だって気持ち誤魔化してきたっていうのによ………。」
洸の突然の告白に頭がついていかない優斗だったが、徐々に思考がついていき顔が真っ赤に染まる。
「ひかる……っ、洸っ! おれ…俺、お前の事好きでいて良いのか?」
「……あぁ。というか好きでいてくれねぇと俺が困るんだよ。」
少しぶっきらぼうな言い方だった洸だが、その頬は照れを隠し切れず赤くなっている。優斗は目に涙を溜めたまま満面の笑みで洸を見上げる。
「……っ!! それ反則だろ……。」
「えっ…? なに…っ、ふぁっ……ぅん、んっ、んん。」
優斗が言い終わらないうちに洸はその唇を奪った。
「んっ……。ひ…ひかるぅっ……。」
「……はぁ、はぁ、はぁっ。優斗、もう一回……いいよな?」
それは問いかけのはずなのに、有無を言わさない強引さが見え隠れして優斗はキュンと胸が高鳴る。
「……ひかるっ…もっと……。」
「……っ!! あんま煽んなよ優斗。」
がっつくように優斗の唇に自分の唇を重ねた洸は舌で優斗の口内をグチュグチュと犯すように舐める。
「ひゃぁっ……、んっ…あっ……ぁんっ、んっ……。」
ぴちゃぴちゃとお互いの絡ませた唾液が首筋を伝う。キスは数秒の間だったのかもしれないが、二人にとっては永遠であるかのような時間であった。唇を離すと、優斗は名残惜しそうに洸を見つめる。
「お前、いまめっちゃエロい顔してるぞ。」
洸はそう言うと、優斗の口元から首筋へと垂れている唾液をペロッと舐めた。
「なっ……!! お前の方がエロい事してんじゃねぇか! しかもなんか慣れてる感じだったし……。」
少し不満げに頬を膨らませて抗議する優斗だったが、
「昔から俺はお前のことしか見えてなかったぜ、優斗。」
そういいながら愛おしそうに自分の頬を撫でてくる洸に何もいえなくなってしまった。
「……うし。そろそろ帰るか。」
洸のその言葉でハッと外を見てみると、もうそこは真っ暗な世界が広がっており、月の光と街灯だけが夜道を照らしている。
「おう。……ってか、お前が服着ねぇと帰れねぇだろ。」
「誰かさんが服着させてくれなかったからな、なぁ?」
ニヤニヤと此方をからかうように言う洸に
「うっせ!! バカ。」
と服を投げつけ、優斗は更衣室からそそくさと出て行く。数分後に着替え終わって出てきたの一瞥すると、何も言わずに足早に歩き出す。
「おい、優斗! 待てって…。」
追いかけてきた恋人は自分の隣を歩く。歩くたびに少しずつ触れる手をいどちらとも無く繋ぐ。自然と自分の口元に笑顔が浮かぶのを感じる。
「どうした?」
それを見た洸が疑問に思ったのか聞いてくる。
「いや? なんでもねぇ。」
優斗は繋いだ手をもう一度ギュッと握り締めるのであった。
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