★ルナの本当の笑顔★
「そんなことが・・。私何も覚えてないよ。」
ゆかたちがすべて説明すると、みみは頭を少し抱え込む。
ゆかはあの言葉がよみがえった。
<私はこのさいみん術をすることで、自分の思い通りに動かせるから。>
ゆかは解除魔法をかけたが、ちっとも効かない。
「なにこれ?強力すぎ。」
ゆかがおどろくのは無理もない。なぜなら、いままで魔法をつかって、失敗したことがないから。
「これは、ルナが解くしかないみたいね。」
さえはルナの顔を思い出した。
ゆかは少し考えた後、ダッシュで公園を出ていく。
「私、ルナの家に行く!」
そして、ゆかたちは近くの交番に行くことにした。
「月野さんの家、どこですか?」
「はい、月野さんの家ですね。・・・あそこを右にまがって・・・・・・」
ゆかたちは、ルナの家の前でとまった。
(ここがルナの家・・・)
ピンポーン
「ハーイ♪」
お母さんのノーてんきな声。
「あっ。お友達?よかった、ルナ、なかなかともだち連れてこないから心配してたのよ♪あがってあがって!」
ルナママにあきれるゆかたちであった。ふと、リビングで小さな写真立てを見つけた。その絵には、ルナのやさしそうな笑顔がのっていた。
「あの、これ。」
「それね、ルナが3年生だったころの写真。このころは、友達10人ぐらい毎日つれてきたっけ、今は私のこと、いつも無視して、友達もつれてこないし、もう反抗期なのかな。反抗期って意外と、早くくるのね。」
ゆかは、この顔が信じられなかった。あのつり上がった目がこんな笑顔になるなんて。
「あっ、そうだ!ルナよぶの忘れてた。おーい、ルナーーーーおーとーもーだーちーだーよー。じゃ、仲良くね。お買い物にでもいってこようかしら。」
そうして、いってしまった。そして、ルナが2回からおりてきた。
「私に友達なんて・・・あ、あなたたち、よくここまできたわね。」
交番に聞けばすぐだけど。
「解除魔法をかけて!いくら魔法を教えない学校でも、そのぐらいはできるでしょ!」
「まあね、でも解除魔法なんか3年生いらい、使った事もないわ。」
つり上がり、いじわるそうに笑うルナは写真とは大ちがいだった。ゆかはふと、考えた。そして、
「はっ!」
【解除 解除 解除 解除 解除 ルナの魔力、解除】
ゆかは五芒星を描くように全身で解除魔法をかける。
そういった瞬間、ルナの体はやわらぐようにゆっくりと、ゆかにちかずいた。あと一メートルほどのところで、
「あ・・・り・・が・・・・と・・う。」
ルナはそうやさしく笑顔で言うと、バタンとたおれてしまった。あの笑顔はうそなんかじゃない、やさしい本当の笑顔だ。